夫の「40年前の不倫」がやっぱり許せない……。定年夫との生活で熟年離婚を考えるように

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2026年08月25日 22:10  All About

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定年後、昔のアルバムをよく見るようになった夫。過去に浸る姿を、65歳の女性はうっとうしく感じていた。ある日、夫が開いていた長男の幼いころの写真を目にした瞬間、女性の胸に、長年封印していた「過去の屈辱」が一気によみがえってきた。※画像:PIXTA
人生100年時代と言われ、60代半ば、定年で仕事を辞めてからは夫婦だけの時間が長くなる人たちは多い。どうしても過去を思い出すことが増えていくのだろうが、そこで封印したつもりの火種がまだ消えていないことに気付き、再度、燃え上がってしまう可能性もある。

夫婦二人で生活するようになって

67歳になる夫と二人で生活しているルミさん(65歳)。夫は2年ほど前に退職、アルバイトとして週に3度ほど仕事をしていたが、それも1年でやめた。

「体がきついと言いだして。年金ももらうようになったし、私はパートで働いているので、二人ならなんとか食べていけると判断しました」

ルミさんにとって、夫は学生時代のサークルの先輩。卒業してから付き合うようになり、彼女が27歳のときに結婚した。男女女と3人の子を育て、全員が独立した。遠方に住む長男には子どももいる。

「子どもたちが大人になっても、同居しているときはある程度にぎやかだったんですが、ここ数年は家の中がひっそりとしていますね。あまりに寂しいので保護犬を飼おうかと思ったんですが、私自身が外に出て活動する時間を増やそうと考え方を変えました」

ほとんど家から出ない夫

というのは、完全定年後の夫があまりにも外へ出ていかないからだ。家にいるようになったら、地域のサークルで「俳句をやりたい。かつてやった釣りもしたい。体を動かさないといけないから卓球もいいかも」と言っていた夫だが、実際に家にいるようになると、ほとんど外へ出ないのだ。

「行くところがない寂しさは分からなくはない。でも自分の置かれた状況が変わったのだから、それを機に別の人生を歩むしかないわけですよね。夫はそうは考えられないみたいです。何度も何か始めた方がいいよと言ったけど動かない。

そのうち、家にいるのが当然になって出ていくのがおっくうになっていった……。そんな感じみたいですね。だから私が外へ出ることにしたんです」

顔を突き合わせているとイライラするからとルミさんは笑った。近所で評判の仲よし夫婦でも、ずっと一緒にいると息がつまる感じがするのだそうだ。

かつての恨みがよみがえってきて

夫はよく昔のアルバムを見るようになった。過去に浸っている時間が長くなる。ルミさんには、それが「なんだか辛気くさくてうっとうしい」と思えた。まだまだ前を見て生きていきたいのに、夫は一人で過去にひきこもる。

「夫がアルバムを開いて置いていたので、私もチラッと見たことがあるんです。その途端、もう忘れた、乗り越えたと思ったことがよみがえってきてしまって」

それは長男の子どものころの写真がたくさん貼られたアルバムだった。結婚して半年で妊娠が分かり、夫婦は大喜びした。

ところが出産前後に夫が不倫していたことが分かり、ルミさんは「子どもが生まれてうれしいのに、夫に裏切られてつらい」という葛藤を抱えることになった。

「鬱々(うつうつ)として生後2カ月の子を連れて実家に戻ったこともあります。結局、夫は『相手とはほんの遊びで、もう会わないことにしたから。大丈夫だよ』と迎えに来ました。何が『大丈夫』なのか、そもそも『遊び』で女性と付き合うようなタイプだったのかと、またいろいろ考えてしまった」

だが、実際には乳児を抱えて離婚はできない。腹を立てながらも自宅に戻った。信頼関係は崩れたが、夫はそれからはよく頑張ってくれた。

「子どもは二人でいいと思っていたけど、夫がどうしても3人ほしいと言いだした。長男にも長女にも、『もっとこうしてあげたかった』という気持ちが残っているからと言ってましたね。その言葉にほだされて次女も出産。夫は本当に『いいパパ』になりました。

私のことは裏切ったけど、子どもたちを裏切ったことはなかった。いつでも子どもたちの気持ちを考えて行動していた。だからあのころの不倫の件は、私も封印したんです。誰にでも間違いはあるのだからと」

あと数十年を一緒に生きるのは無理

それなのに長男のアルバムを見て、当時の気持ちが一気によみがえってきたのだ。赤ちゃんを抱きながら、夫を待って泣いて過ごした夜のことを。「遊びだからさあ」とにやついた夫の顔が憎らしかった日のことを。

「それ以降の夫がどんなに素晴らしくても、あの一件がある限り、私はやはりこの人を信頼できない。このままあと数十年を一緒に生きていくのは無理だと思ったんです」

その気持ちは日を追うごとに強くなっている。だが、現実を考えると、離婚したら経済的に損をするのは自分の方だと分かっている。

「パートをしたり友達と遊びに行ったり趣味に没頭したりしても、すっきりとした気持ちにはなれない。夫はもう忘れているかもしれないし、今さらあの一件を蒸し返されても困るだけでしょう。それが分かっているから話題に出しづらい」

どこかで夫に話すかどうか決断しなければいけないと思いながら、どうしてそこまで自分があの一件にこだわっているのかも考え直しているとルミさんは言う。

「前を見て生きたいと思っている私が、一番過去にとらわれているのかもしれない。どうしたら気持ちをなだめることができるのか、今はそれを探っている状態です」

40年近く前のことにこだわっている自分にイライラすると、ルミさんは少し苦しそうに言った。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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