画像提供:マイナビニュース「今さら聞けない」バイクに関するさまざまな疑問や不安に、バイクライターがやさしく回答する本連載。今回は、「ブレーキメンテナンス」に関するお悩みです。
ブレーキパッドの交換時期がわからない…(男性/49歳)
○ブレーキのパッドの種類はどんなものがある?
前編では、ブレーキの寿命や確認方法について解説しました。
ブレーキディスク用のパッドは純正品以外にもパーツメーカーなどからさまざまな種類が販売されています。これらは摩擦材の違いで、大まかに分類すると合成繊維などを樹脂で固めた「レジン系」と、銅などの金属を高温で成型(焼結)した「メタル系(シンタード)」に分類されます。
「レジン系」は安価でディスクへの攻撃性も少ないため、街乗りやツーリング用途に向いていますが、近年は金属成分を配合して雨天時などの性能を向上させた「セミメタル」が主流になっています。一般的なユーザーならこちらを選んでおけばよいでしょう。
対して「メタル系」はブレーキを酷使するサーキット走行や重量車でも熱ダレすることなく強力な制動力を発揮しますが、レジン系よりも高価なうえ、ディスクが削れやすいなどのデメリットもあります。ドラムブレーキ用のシューにもストリート用とレーシング用がありましたが、現在は採用車種が減っているため種類は多くありません。
○パッドやシューの残量以外にもチェックすべきことは?
ブレーキのメンテナンスに関しては、摩擦材の残量確認のほかにも点検すべき点がいくつかあります。ディスクブレーキの場合、油圧の伝達に「ブレーキフルード」というサラダ油のような色の液体を使っており、量や汚れはレバーやペダル近くにある「マスタ―シリンダー」の窓や半透明のカップで確認できます。量が少なかったり、濁っていた場合は補充や交換が必要ですが、大気中の水分を吸って性能が落ちるため、1〜2年か10,000〜20,000kmで交換が推奨されています。
また、ブレーキホースもヒビや接続部に漏れがあった場合は放置せず、すぐにバイクショップに相談してください。ホース自体に問題があれば交換になりますが、そのままでは走行中にブレーキが効かなくなるリスクがあるため非常に危険です。特に社外製のホースで接続部がアルミ製のもの(赤や青が多い)はフルードの管理が悪いと経年劣化で割れることもあるので要注意です。
ディスクブレーキのパッドを押し付けるキャリパーも、内部の部品が固着して動きが悪くなるものがあります。特に長期放置していた個体は腐食によってピストンやゴム製シールなどの交換が必要になるケースは少なくありません。分解清掃や研磨で改善することもありますが、これらの部品は特殊なコーティングがされていたり、摩耗しているものは元に戻らないので新品に交換するのが無難です。
○ブレーキメンテに必要な費用の相場は?DIYはできる?
パッドやシューの価格はバイクメーカー純正品や有名なパーツメーカー製で1セット2,000〜6,000円、ブレーキフルードは1台分に十分な0.5〜1リッターで2,000〜4,000円ほどです。近年はネット通販で安価な海外製のノーブランド品が販売されていますが、中には摩擦材が剥がれてしまうような粗悪品もあるのでおススメはできません。
前後ブレーキパッドやシューの交換をショップに依頼した場合のコストは車種によって異なりますが、部品代込みで10,000〜30,000円、ブレーキフルード交換はフルード代込みで3,000〜15,000円くらいが相場です。単純にパッドやシューを交換するだけではなく、丁寧に清掃やグリスアップを行い、ブレーキ部品を外したことで点検できる箇所もチェックしてくれるようなショップは信頼ができると言ってよいでしょう。
ブレーキパッドやシュー、フルードの交換は特殊工具もそれほど使わないため、昔からバイク雑誌のメンテ記事を参考にしたり、メカに詳しい仲間から教わってDIYで行うユーザーは一定数いました。最近は交換手順などを動画サイトで見ることもできますが、実際の作業では車種やブレーキ形式の違いや、個体の状態によって異なるため、デリケートな調整や経験値が必要になります。ブレーキの整備ミスは命を落とすリスクもあるため、無理に行わずプロに依頼してください。
津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら(津原リョウ)