画像提供:マイナビニュース「会社を辞めたい」「もっといい職場があるはず」と思いながら、なかなか転職に踏み切れない――。そんな経験はありませんか。実は、人が今の環境を手放せない背景には、利益を得る喜びよりも損失を強く感じる「損失回避」の本能が関係しているといいます。
『科学が解明した 悩んでもしょうがないことリスト』(石川幹人/サンマーク出版)から、嫌な職場でも「現状維持」を選んでしまう理由を紹介します。
○会社辞めたいのに辞められない
損失回避の本能で「現状維持が安全」と感じてしまう。
人間関係の蓄積が転職のハードルをさらに上げる。
今の職場で楽しみを見つけるのもひとつの選択肢。
○いざ転職! でも……
今の職場には、不平ばかり言って仕事もしない人ばかりだし、メンバーの成果を「自分の成果」にして上にアピールする上司がいる。同僚もあきらめ顔でやる気をなくしている。……ああ、いっそのこと、転職しようかなぁ。
でも「いざ転職」となると腰が引けます。
転職先を探して、面接試験を受けて、これまで働いた実績をアピールして……と考えると、途方もない道のりに感じます。それに、転職が決まっても、「新しい同僚とうまくやっていけるかな」「今よりもっとひどい上司がいるかも」と思うと、実際に職場に行ってみるまでは喜んでいられません。こうして多くの人は「やっぱり、今のままでダラダラしているのがいいや!」となってしまうのです。
今の職場がダラダラできる幸せな職場なのかもしれません。動物は衣食住が足りていれば現状維持になってしまい、やる気が出ません。ましてや「転職」となると、たとえ「もっといい職場があるにちがいない」と思っていても、「万一、もっと悪い職場を選んでしまったら……」と警戒心が先行するのです。
○5万円もらった喜びと失った悲しみは同じじゃない
想像してみてください。もしあなたが、棚からボタモチ的に「5万円もらった」ならば、かなりうれしいですよね。では、別の機会に、うっかり「5万円失った」ならば、かなりのショックを受けますよね。
前者と後者は同じ「5万円」なのですが、程度に差があると感じませんか。多くの方々は、前者よりも後者の「5万円」のほうが大きいと感じます。現状がそこそこ生きられる状態ならば、利得と損失を比較すると損失のほうが、問題が大きく感じられるのです。損失には生き残れなくなるかもしれないという恐怖感が伴うからです。
それに対して利得は、依然として生きられる状態のため「それほどでもない」となります。これも動物的な行動に相当します。
こうした原因で、転職はハードルが高いのです。
今の職場に長くいればいるほど、人間関係の蓄積も大きくなっているので、それが一気にまたスタート地点に戻るという損失感も高まり、ハードルが一層高くなります。冒険心があれば、損失以上の利得を上げようと、挑戦できます。しかし、多くの人は、現状維持を選んでしまいます。
今の職場で楽しみを見つけられれば、それでいいのではないでしょうか。
○『科学が解明した 悩んでもしょうがないことリスト』(石川幹人/サンマーク出版)
人類はこの100年で、いくつもの病や感染症を制圧し、宇宙に人を送り込み、世界中の情報を手のひらに収めました。「無理だ」と思われていたことを、科学は次々と可能にしてきたのです。それなのに、なぜ人間の「悩み」だけは消えないのでしょうか。むしろ、豊かになるほど、便利になるほど、悩みは増えているようにすら見えます。その答えが、「進化心理学」という科学にあります。たとえば、「人前で話すのが苦手」という悩み。これは意志が弱いからではありません。太古の時代、見知らぬ者の視線を「敵の脅威」と認識した者だけが、確実に生き延びてこられた。その脳の警戒システムが、今もあなたの中で正常に作動しているだけなのです。どれだけ「気にしないようにしよう」と頑張っても解決しないのは、当たり前なのです。この世界は「悩んでどうにかなること」と、「悩んでもしょうがないこと」の2つでできています。そしてほとんどの人は、その違いを見分けることなく、悩んでもしょうがないことに人生の膨大な時間を注いでしまっているのです。本書では、人々がとくに深みにはまりやすく、それでいて科学が「これは悩んでもしょうがない」と解明した51の悩みを取り上げます。