
筆者のような中年世代にとって、「レトロ」といえば昭和初期を懐かしむ言葉だ。しかし、いつの間にか「平成レトロ」という表現を頻繁に目にするようになり、もはや隔世の感がある。
そうした中、ポータブルCDプレーヤーをほうふつとさせるデザインのデジタルオーディオプレーヤー「Snowsky DISC」をポータブルオーディオ機器メーカーのFIIOが発売した。カラーバリエーションはピンク、ブルー、ブラックの計3色で、実売価格は1万7930円となっている。
かつてポータブルCDプレーヤーを「近未来的!」と迎えた世代からすると、Snowsky DISCのデザインを「レトロ」と表現することには少々抵抗があるものの、どうやらこれは「懐かしさを醸し出す」レトロデザインということらしい。
今回は、単なる見た目の可愛らしさにとどまらないSnowsky DISCの実力を徹底レビューしていく。
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●かわいい見た目でもハイレゾ対応の本格派
Snowsky DISCは、手のひらサイズでコンパクトなエントリークラスのデジタルオーディオプレーヤーだ。サイズは実測値で68(幅)×68(奥行き)×13(高さ)mm、重量は74.1gと軽量で、洋服やバッグのポケットに入れてもかさばらない。
印象的なパッケージを開けると、本体の他に多国語対応の取扱説明書(1言語につき3ページ程度)、USB Standard-A to USB Type-Cケーブル、ステッカー4枚が付属していた。
デジタルオーディオプレーヤーとしての心臓部には、Cirrus LogicのCS43131 DACチップを2基搭載し、省電力化と高音質化を両立させているという。最大出力はシングルエンドで125mW、バランスで280mWを誇り、3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスの各出力端子を備える。
さらに、最大2TB対応のmicroSDメモリカードスロットも搭載する。内蔵ストレージを備えていないため、楽曲再生にはmicroSDメモリカードが必須となる。
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特徴的な円形の1.8型タッチスクリーンディスプレイでは、再生/一時停止/停止/曲送り/曲戻しといった直感的な操作の他、システム設定やイコライザーの設定が行える。
さらに、アルバムアートや歌詞の表示に対応する。好みの画像をロック画面に設定できる「カスタムロック画面」機能も備えている。
オーディオジャックによる有線接続のイヤフォンやヘッドフォンに加え、Bluetooth接続にも対応する。対応コーデックはLDACとSBCで、AACには非対応となっている。
対応ファイル形式は、MP3、WAV、Apple Lossless、AIFF、FLACをはじめ、ISO、APE FAST、WMA、WMA Losslessと幅広くカバーしている。
挿入したmicroSDメモリカード内の楽曲再生にとどまらず、スマートフォンやPCと有線接続してUSB DACとして活用することも可能だ。さらに、MacBookやiPad、iPhoneなどのAirPlay機能を介したストリーミング再生にも対応している。
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思いのほか多機能だが、実際の使い勝手はどうだろうか。早速試していこう。
●日本語メニューはないが操作性は直感的
本体への充電を開始すると自動的に電源が入り、言語設定画面が表示された。選択肢は初期状態だと「簡体中文」「繁體中文」「English」の3言語だけだったが、ファームウェアのアップデートで日本語などもサポートした。
言語を選択すると即座にホーム画面へ遷移する。タッチディスプレイを左右にスワイプすると、「Browse Files」「Now Playing」「Streaming」「Category」「Settings」という5つのメニューアイコンが現れる。
まずは「Settings」から自宅のWi-Fiへ接続しておこう。必須ではないものの、AirPlayの利用や正確な日時表示を求める場合はあらかじめ設定しておくのがおすすめだ。
続いて、ハイレゾ楽曲を格納したmicroSDメモリカードを挿入し、ハイレゾ対応イヤフォンを接続した。今回は「Samsung Galaxy S8+」付属の「AKG EO-IG955」を使用した。
イコライザーをオフにした状態でも、音の細部まで克明に描写されている印象だ。ボーカル曲の再生時にイコライザーで「Pop」を選択すると、歌声の輪郭がより際立ち、みずみずしさが増した。
Snowsky DISC単体で運用する場合、Bluetooth接続のイヤフォンやヘッドフォン、スピーカーが使用できる。今回はFLAC対応イヤフォン「viaim RecDot」を試した。画面サイズにゆとりがあり、タッチのレスポンスも良好で、設定操作も非常にスムーズに行えた。
円形ディスプレイには曲名やアーティスト名とともに、背景へアルバムアートがうっすら浮かび上がる演出が施されている。左右のスワイプ操作でアートワークのみの表示に切り替えられる他、「Playback theme」設定からレコード盤風の表示に変更することも可能だ。
スリープ復帰時に現れるロック画面は初期状態でアナログ時計となっているが、「FIIO Sheep」や「Starry sea」といった全5種類のテーマから選択して変更できる。ロック画面上でも再生中の曲名を確認できるのは重宝する。
●オーディオプレーヤー以外の使い勝手は
一通り楽曲再生を楽しめたので、次はUSB DACとしての使い勝手も見ていこう。
接続方法はシンプルで、OTG対応のUSB Type-Cポートを備えたスマートフォンやタブレット、PCとケーブルでつなぐだけで完了する。ただしWindows PCで使用する際は、あらかじめ専用ドライバの導入が必要だ。
一方、スマートフォンの接続時には注意が必要だ。端末の給電能力不足により「接続と切断」を繰り返す現象や、本機をモバイルバッテリーと誤認識してバッテリーを消費しようとする挙動が一部モデルで観察された。
なお、手元の検証機のうち、サムスン電子「Galaxy Z Flip7」およびApple「iPhone 16」では支障なくUSB DACとして動作した。
専用ドライバをセットアップしたWindows PCにて、Google ドライブ上のハイレゾ音源を直接再生してみたところ、高解像度ならではの濃密なサウンドが広がり、思わず息をのむほどであった。
AirPlayを利用する際は、再生機器と本機を同一ネットワークへ接続する必要がある。Snowsky DISC側のWi-Fi機能は2.4GHz帯のみ対応となるため、ルーター側で5GHz帯や6GHz帯とSSIDを分けて設定している場合は接続先に注意しよう。
AirPlayの操作は至ってスムーズだ。iPhone 16の画面右上から下へスワイプしてコントロールセンターを開き、再生コントロール内の出力アイコンから再生先にSnowsky DISCを指定するだけで連携が完了する。
設定完了後は、Snowsky DISCに接続したイヤフォンからクリアなサウンドが出力される。
注意すべき点として、USB DAC機能やAirPlayの利用時にはBluetoothイヤフォン/ヘッドフォンへ音声出力できない仕様が挙げられる。本体のmicroSDメモリカード内楽曲を再生する際はワイヤレス出力が可能だが、外部機器を音源とする場合は有線接続のみの対応となる。
Bluetooth接続の安定性やスマートフォンとの互換性などいくつかの課題も見受けられるが、これらは今後のファームウェアアップデートでの改善が期待される。
とはいえ、約1万8000円という手頃な価格帯でありながら、手のひらサイズでハイレゾ再生やUSB DAC機能をこなす汎用(はんよう)性の高さには感心させられる。ポータブル音楽プレーヤーとしての活用にとどまらず、内蔵スピーカーの音質に物足りなさを感じるPCのサウンド環境強化にも一役買ってくれるはずだ。
高額なポータブルオーディオプレーヤーの導入をためらっていた層や、USB DACの導入を検討しつつ機種選びに迷っていたユーザーにとって、軽量コンパクトでデザインにも優れたSnowsky DISCは有力な選択肢の1つとなるだろう。
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