
物理キーボードを搭載した“変態端末”を展開するメーカーとして知られるUnihertzから、Titanシリーズの最新モデルとなる「Titan 2 Elite」が登場した。
本機が初めて公開されたのは、バルセロナで開催された「MWC 2026」の会場だった。筆者も現地のUnihertzブースで実機に触れたが、展示段階の試作機とは思えない完成度の高さに驚かされた。
そして今回、発売に先立って製品版が手元に届いたため、改めて実機をじっくりと試用したレビューをお届けする。
●手になじむコンパクトサイズ。金属フレームの質感も価格以上
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Titan 2 Eliteを手に取って最初に感じるのが、キーボードデバイスとしての「絶妙なサイズ感」だ。従来のTitanシリーズは武骨で大柄なモデルが多かったが、今作はシリーズ中で最もコンパクトなボディーに仕上がっており、両手で持って容易に親指でタイプできる。
約117.8(幅)×75(奥行き)×10.4(高さ)mmというサイズは、かつてのBlackBerry端末をほうふつとさせる大きさだ。物理キーボード端末は、このサイズ感でこそ真価を発揮すると改めて感じた。
横幅こそ約75mmとやや広めだが、高さや厚みは「BlackBerry Bold 9900」(約115×10.5mm)に近いため、ポケットに入れた際の感覚は往年のBlackBerry端末そのものだ。
本体フレームには、インモールド成形のアルミニウム合金を採用している。CNC加工とアノダイズ処理を重ねた仕上げは、8万円前後という価格を考えれば十分に上質だ。カラーはブラックとオレンジの2色展開で、いずれもキーボード面はマット仕上げとなっている。
一方で、本体の角がややとがっており、文字入力時に手のひらへ当たる感触が少々気になった。キーボードで長文を打ち込むデバイスという性格上、もう少し丸みを持たせたデザインでもよかったのではないだろうか。ケースを装着すればある程度緩和できると思われるが、素の状態での握り心地は、XperiaやiPhoneのような洗練されたハードウェアには一歩及ばない。
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●今作最大の魅力は物理キーボード キータッチ感も機能性も「道具」として仕上がっている
今作最大の見どころは、やはりQWERTY物理キーボードだ。キーレイアウトはクラシックなスマートフォンスタイルに設計されており、BlackBerryを使ってきたユーザーならすぐに手になじむはずだ。
キーには明確なクリック感がありつつも底打ちは硬すぎず、長文入力でも指が疲れにくい。スマートフォンの物理キーボードとして、極めて完成度の高い仕上がりといえる。
特筆すべきは、キーボードが単なる文字入力装置にとどまらない点だ。表面が静電容量式のタッチパッドを兼ねており、指先でスワイプするだけで画面のスクロールやカーソル移動が行える。マウスモードにも対応している。
SNSやWebブラウジングの際、画面に触れずキーボード上のスワイプだけで読み進められる操作感は、一度慣れると手放せなくなる。
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さらに、A〜Zの全キーに短押し・長押しのショートカットを割り当てられるカスタマイズ性や、テキスト編集を快適にするユニバーサルショートカット、キーボードのバックライトなど、機能面の作り込みも徹底されている。
このあたりの操作性は往年のBlackBerry端末に準拠しており、キーボードスワイプは「BlackBerry Passport」や「KEYone」といったAndroid世代の操作感と同等だ。名機の操作性を踏襲しているため、かつてのユーザーもすんなりなじめるはずだ。
最下段にはホームキーやバックキーも備えるが、その配置にはやや癖がある。しかし、これらのキーの割り当ては任意で変更可能だ。筆者としては、ホームキーをスペースキーに割り当てることで、往年のBlackBerry端末に近い感覚で利用するカスタマイズをおすすめしたい。
●120Hz AMOLEDの美しいディスプレイ 「ほぼ正方形」ゆえの弱点も
ディスプレイは4.03型AMOLEDパネルを採用している。解像度は1080×1200ピクセル、リフレッシュレートは120Hzに対応する。ピーク輝度1600ニト、2160HzのPWM調光も備えた仕様だ。
この手のキーボード端末はディスプレイの質が妥協されがちだったが、Titan 2 Eliteの画面は発色・精細さともに良好でスクロールも滑らかだ。小画面ながら表示品質はミドルクラスのスマートフォンと遜色なく、素直に評価できる。
ただし、画面のアスペクト比がほぼ正方形(1080×1200)である点は、実用面における最大の癖といえる。縦画面前提で設計された昨今のSNSや縦動画コンテンツでは、表示領域が窮屈に感じられる場面が多い。
例えば、ブラウザ表示は1画面当たりの情報量が限られ、InstagramのリールやTikTokでは上下が大きくクロップされてしまう。
この点は物理キーボードとのトレードオフとして割り切る必要がある。「SNSや動画視聴が主用途」という人には不向きだが、メールやメッセージ、メモ作成などテキスト主体の用途であれば、正方形ディスプレイとキーボードの組み合わせはむしろ非常に快適だ。
●基本スペックは実用十分 5年間のアップデート保証も心強い
プロセッサはMediaTek Dimensity 7400、メモリは12GB、ストレージは256GBという構成だ(上位の「Pro」はDimensity 8400/512GBを搭載)。
フラグシップには及ばないものの、Web閲覧やメッセージングなど本機が得意とする用途で動作に不満を覚える場面はほぼない。テキスト入力マシンとしての性質を考慮すれば、ハイエンドではなく電力効率に優れるミドルクラスSoCの採用は理にかなっている。
カメラは約5000万画素のメインと約5000万画素の2倍望遠で構成される。スペック自体は並みだが、本機の用途を思えば十分だ。実際に撮影したところミッドレンジ相応の描写力は見せたものの、同価格帯の競合機と比較するとやや見劣りする。
バッテリー容量は4050mAhだ。シリコン・カーボン負極セルを採用し、33W急速充電に対応する。省電力なAMOLEDとの組み合わせにより、テキスト中心の運用であれば電池持ちに不安はない。コンパクトなボディーに4000mAh超を凝縮した点は評価に値する。
この他、デュアルnanoSIM+eSIM対応や最大2TBのmicroSD対応(排他仕様)、Bluetooth 6.0、NFC、赤外線ポート、FMラジオなど、機能の「全部盛り」ぶりはUnihertzならではだ。
OSはAndroid 16を搭載している。Android 20までのアップデートと2031年までのセキュリティ更新(5年間)が予告されており、長期間使う道具として心強い。
●2026年に物理キーボードスマホへ挑むUnihertz 台頭する競合の存在も
Titan 2 Eliteが他機と一線を画す最大の要素は、言うまでもなくQWERTY物理キーボードの存在だ。BlackBerryの撤退とフルスクリーン化の波をへた2026年現在、5G対応の物理キーボード搭載機を新品で供給するメーカーは、事実上Unihertzのみとなった。
本機は単なる消去法の代替品にとどまらず、打鍵感や機能性が緻密に作り込まれている点に真の価値がある。軽快なキータッチに加え、面スワイプ操作や全キーへのショートカット割り当てなど、長年キーボード端末を手掛けてきた同社ならではの強みが詰まっており、ソフトウェアキーボードでは到底味わえない体験を提供してくれる。
一方で、キーボード付きiPhoneケースを手掛けるClicksが年内出荷を予定している「Clicks Communicator」の存在も見逃せない。BlackBerry出身チームが開発に携わる同機は、Titan 2 Elite以上にBlackBerryの血統を感じさせるプロダクトだ。サイズや仕様も近しいため、2026年はコンパクトキーボードスマホというニッチ市場で興味深い「競合」が生まれることになる。
●8万円で手に入る「テキスト入力専用機」 刺さる人には唯一無二の選択肢
Titan 2 Eliteの価格は12GB+256GBモデルで8万円台前半から。ミドルクラスSoC搭載機としては決して安価ではないが、本機の神髄はスペック表の数字ではなく「物理キーボード」という体験そのものにある。
一方で、特性上万人向けではない点には注意したい。ほぼ正方形の画面は縦型SNSや動画に合わず、キーボードの存在ゆえ片手操作にも向きづらい。メイン端末として1台で全方位に活用したいなら後悔する恐れがある。
また、ボディー下部の角が文字入力時に手に当たる点や、キートップの傾斜処理など細部の作り込みでは、BlackBerryの血統を引くClicksに引けを取る部分も散見される。
それでも、日常的に長文メールやメモを打ち込む人、BlackBerryの操作感が忘れられない人、スマホをテキスト重視の対話ツールと割り切る人にとって、本機は現状唯一無二の選択肢だ。高品位なAMOLEDと洗練されたキーボードを備えた「テキスト入力専用機」として、8万円の価値を見いだせるユーザーは間違いなく存在する。
Titan 2 EliteはUnihertz公式サイトにて販売中だ。物理キーボードという言葉に少しでも心が躍るなら、この独特な「道具感」をぜひ体感してほしい。
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