
その10円玉は2026年8月9日に終了した第129回入札誌「銀座」に出品されました。落札価格は26万円、手数料込みで30万2900円。手数料込みでいえば額面の約3万倍にあたります。このような高額落札となったポイントは、年号、後期、状態のよさ、鑑定機関による評価にあります。それでは、具体的にどのような10円玉なのか確認していきましょう。
昭和61年の後期タイプは希少
今回落札された10円玉は大変きれいなものです。昭和61年(1986年)発行のものであり、すでに発行から40年経過しているにもかかわらず、非常に高い美しさを保っています。いわゆる未使用レベルの10円玉です。しかし、未使用という理由だけでは3万倍の価値にはなりません。一番のポイントは、“後期”製造のものであることです。昭和61年発行の10円玉には前期タイプと後期タイプの2種類があり、その多くが前期のものといわれています。後期のものは数が少なく希少なのです。
なお、前後期を見分けるポイントは3つあります。表面の平等院鳳凰堂のデザインが少し異なっています。
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【ポイント1:中央階段部分】
前期のものは階段の左右にある縦線が、上下で途切れていますが、後期のものは縦線が上部の横線とくっついています。
【ポイント2:一番左側の屋根の上部】
前期のものは屋根の先端がきれいに斜めに描かれていますが、後期のものは屋根の部分が突き出していて、とがっているように描かれています。
【ポイント3:一番左の屋根の下部】
前期のものは二重の屋根に切れ目が入っていますが、後期のものは切れ目がなく先がするどくとがっているのです。
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鑑定機関も後期表記を入れるように
今回の落札物は、PCGS(Professional Coin Grading Service:世界でも評判の高いアメリカの第三者格付け鑑定会社)による鑑定のお墨付きです。評価は「MS64RD」となっています。64は完全未使用に近い未使用レベルの品につく数字です。また、RDは銅貨において元の赤い色を95%以上保っている場合に記載されます。つまり、発行当初と遜色ない美しさを保った昭和61年後期の10円玉だからこそ、30万円の値がついたといえるのです。
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価値を保つ、価値を高めるためにもコインの鑑定は今や必須となっています。鑑定機関に依頼すると、専用のケース(スラブ)に収められるため、裸のまま保管するよりも劣化を防げるのが最大のメリットです。加えて、客観的なグレードが明確になることで、将来手放す際にも、買う側・売る側の双方が安心して取引できます。
昭和61年の未使用レベルの10円玉を探すのは難しいかもしれませんが、流通している10円玉から昭和61年のものをピックアップし、後期のものがないかどうか探してみましょう。もしも発見したら、鑑定に出してお墨付きを得ておくと、10円玉が数千倍などのお宝となることでしょう。
<参考>
第129回入札誌「銀座」 Lot番号:421 10円青銅貨 昭和61年 後期 PCGS(MS64RD)
伊藤 亮太プロフィール
慶應義塾大学大学院商学研究科修了。一般社団法人資産運用総合研究所代表理事。ファイナンシャルプランナーとして、家計・保険等の相談、執筆、講演、大学講師を主軸に活動。大学院時代の専門は社会保障で、経済・金融に関する解説も得意。コイン収集マニアの一面も。(文:伊藤 亮太(株式・ファイナンシャルプランナーガイド))
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