「アパートローン」の金利上昇でサラリーマン大家がアリ地獄に墜ちていく!?

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2026年08月28日 10:20  週プレNEWS

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ローン金利上昇により、サラリーマン大家の多くは収益性の低下と物件価格の低下というダブルパンチに見舞われることが予想される


ローン金利上昇により、サラリーマン大家の多くは収益性の低下と物件価格の低下というダブルパンチに見舞われることが予想される


マイナス金利の時代が終焉し、金利がある世界に戻ってきた今、住宅ローン返済中の世帯の最大の懸案事項のひとつが変動金利の上昇だ。住宅ローン金利は現状、大幅な上昇には至っていないようだが、それ以上に危惧すべきはサラリーマン大家などが収益用物件を購入する際に利用する「アパートローン」の金利上昇だ。

【写真】利上げスピードの加速を検討する日銀

【過去10年で増殖したサラリーマン大家】

ここ10年ほどのある種の不動産投資ブームは、サラリーマン大家を大量発生させた。

10年ほど前、私のところに相談にやってきたあるエリートサラリーマン氏もそのひとり。数年後に迫る定年を見据え、サラリーマン大家をめざしておられた。

そういうお方は、何といっても頭がいい。いわゆる高偏差値である。大量の情報を短時間でインプットして理解する能力に長けている。

「20冊くらいは読む予定です」

市販の不動産投資本を読み漁っておられた。そして、しばらくすると次々と物件を購入し始めた。

数年後、彼は数十室から賃料を得る「メガ大家」に成長。いつの間にか投資サークルの講師役まで務めておられた。個人の不動産投資家としてのスキルは凄まじいものがある。

しかし、投資を始めた頃の彼に大きな資金があったわけではない。サラリーマンとしては「ちょっと貯めましたね」程度の貯金があったに過ぎない。では、そんな彼がなぜ、数年でメガ大家になれたのか?

もちろん、彼は優良な物件を見抜く眼力を会得した。しかし、それだけではない。何よりも、彼が不動産投資家として踏み出した最初の頃に、有力な資金の出し手がいたのである。それは親せきや親兄弟ではなく、銀行だ。

彼の勤務先は誰もが知る有名企業。だから、銀行は喜んで彼の不動産投資に協力する。彼が失敗しても、とりっぱぐれる心配は小さいからだ。


日銀は今後、利上げスピードを加速させることも検討しており、政策金利は来年中に2%台になることも予想されている


そこを足掛かりに、彼は投資を拡大させた。新たに買う物件は、その前に買った物件を担保に引き出すことができた。時はあたかも異次元金融緩和が世間から何の違和感も持たれずに続いていた頃。時流が彼に味方した、ともいえる。

どんな物件に投資したのかを聞いてみると、やや「難あり」物件が主流。例えば、地方のアパートで格安で売り出された物件を、よく調べてから買う。満室なら家賃収入で投資利回りが20%だが、現状は4割しか入居していないから8%......そんな物件を買うのだ。

そういった物件は、一見してオンボロ。素人にはちょっと手を出しづらい雰囲気がある。くだんのエリートサラリーマン氏はそんな物件を購入後、自らいろいろ手を入れて、満室近くまで持って行く。そのノウハウはかなり泥臭い。しかし、それが彼が会得した不動産投資の「勝利の方程式」だった。

【過信された錬金術】

しかし、多くのサラリーマン投資家はもう少しピカピカした「満室で7%だけど、今は5%」みたいな物件を買う。その方が見栄えがいいし、低金利時代であればそれでも十分に投資の計算は合う。

その仕組みを大雑把に説明しよう。

まず、1%で引っ張った融資で利回り5%の物件を購入して運用すれば、その差額の4%が儲かるはずだ。そこから借入金を返済していき、借り入れがゼロになったら家賃はすべて利益......のはずだが、返し切るまでには25年から30年程度、というのが通常のパターンだ。

個人レベルの不動産投資家たちが物件を購入する際に利用する銀行融資は「アパートローン」と呼ばれる。多くの個人投資家は金利の安い変動タイプを利用しているのだが、ゼロ金利時代は1%台から2%台でも融資を受けられた。中には「5年固定で0.6%」というのもあった。しかし、基本は変動タイプである。中央銀行が決める政策金利、市場で変動する市中金利が上がれば連動して融資金利も上がる仕組みだ。だが、1%程度の低金利が続けば「利回り5%」でも、手元に十分資金は残る。

この仕組みを甘く見たのが、ブームに乗って不動産投資を始めた多くのサラリーマン大家たちである。彼らは低金利がいつまでも続くと思っていた。無理もない、日本では1999年2月の導入から2024年3月の解除まで、実質25年もゼロ金利が続いていたのだから。

【回り始めた負のスパイラル】

ところが、時の流れが変わり始めたのは2024年の春。日銀総裁の植田氏は渋々ながらゼロ金利解消を打ち出した。そして徐々に金利を上げ始めて2026年6月、政策金利はとうとう1%に達した。当然、アパートローンの変動金利も上がる。現在は3.5%から5%程度。金融機関によって異なるが、中央値はそのあたりだろう。

多くのサラリーマン大家が5年前に1%台やコンマ未満で借り入れた融資の金利は今、軒並み3%以上に引き上げられている。例えば、「利回り5%」で購入した物件の借入金利が1%から3.5%に上がってしまうと、利ザヤは0.5%になる。返済どころか賃貸経営の日常経費も賄えなくなる水準だ。

それで、物件を売却して借り入れ金を精算しようとしても、金利上昇局面では値下がりしているので「売るに売れない」状況となる。

そこでサラリーマン大家たちは、泣く泣く自分の給料から赤字分を補填することになる。

前出のエリサラ氏も今は多額の借入金の利払いに戸惑っておられる。ただ、彼はさすがに「利回り5%」などというリスキーな物件には手を出していないので、キャッシュフローはまだまだ黒字。以前ほどは儲からない、といった程度で済んでいる。

しかし、不動産投資ブームに乗って「利回り5%」程度の物件に手を出したサラリーマン大家諸氏は今、地獄の1丁目に入っているのではないか。持っていれば赤字(持ち出し)はどんどん膨らむ。所有物件は売るに売れず、手持ち資金が減っていく。

そして、今後もさらに金利は上がる。来る9月18日に日銀が政策金利を引き上げるのは確実と言われている。それ以後も、アメリカからの圧力で金利は上がり続けるだろう。ブームに乗って安易に不動産投資を始めたサラリーマン大家の何割かには、この先「アリ地獄」が待っている可能性が高い。

文/榊淳司 写真/photo-ac.com、pixta.jp

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  • 先を読む力が無かったのね。 本では教えてくれません(笑)
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