
花火大会会場の最寄り駅に到着しました。駅の改札を出た瞬間、空気の層がひとつ変わったような熱気と、押し寄せる人の波が私に襲いかかります。そこには私のシミュレーションをはるかに超える光景があったのです。
帽子を深く被り、私は群衆の隙間から、ピンク色の浴衣を着たチナツを必死に探しました。

私は人波を泳ぐようにしてチナツを追いました。するとチナツの足が止まりました。2人はきょろきょろと辺りを見回し、困ったような表情を浮かべています。
ヒロユキくんがスマホで地図を確認している様子ですが、通信環境が悪いのか、困ったようにしています。あれは……チナツはトイレを探しているんだわ!!



想像を絶する熱気と人波のなか、私は必死にチナツを追いました。
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するとトイレに行きたがっているらしく、困り果てた様子の2人の姿が……。
私は物陰に潜み、自宅で思い出したふりをして、穴場トイレの情報をチナツにLINEしました。
返信はいらない、ただ無事に難所を切り抜けてほしい。
母としてのプライドを捨て、私は執念の遠隔サポートにすべてを賭けていました。
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