ひろゆき―[ひろゆきの兵法〜われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?〜]―
就職氷河期世代はこれまでの人生においてさまざまな困難を乗り越えてきたわけだが、40〜50代になって改めて向き合う難問が「保険」だ。将来不安から必要以上に貯蓄を追い求めてしまう彼らに、同世代のひろゆき氏がシンプルな指針を示す。
◆健康への不安は「不安ビジネス」のカモにされやすい
氷河期世代ともなると、周りで大病を患う人が出てきて、死や病気が急にリアリティを持ち始めたりします。独り身ならまだしも、晩婚化で子どもがまだ小さい人もいますし、「もし病気で働けなくなったら……」というのはなかなか切実な恐怖だったりします。
そこで転ばぬ先の杖とばかりに多くの人が考えるのが、民間の保険です。ただ、日本に住んでいるほとんどの人にとって民間保険は「コスパ最悪のギャンブル」でしかないと思っています。
そもそも日本には「高額療養費制度」というセーフティネットがあります。年収にもよりますが、1か月に100万円かかるような治療を受けたとしても、窓口で払う自己負担額は8万7000円程度。高額の治療が必要になったとしても、心配せずに済む制度が用意されているのが日本の保険制度なのですね。
ただ保険営業マンはこの制度を詳しく説明せず「高額の費用がかかる病気になったら大変ですよね」とか脅してきます。しかも、保険会社は保険金の支払いを渋るほど利益が上がる商売。なかには年間数万件の苦情が入っている会社もあるし、裁判沙汰になるケースも山ほどあります。困った時のための保険なのに、さらに揉め事という別の困った状況が生まれるわけです。
◆保険にお金をかけるより、コスパがいい運用方法
「家族に資産を残したい」と考えて生命保険に入る人もいるでしょうが、それなら保険金額を投資に回したほうが利回りはいいし、ローンを組んで家を買うほうが合理的。というのも、住宅ローンを組んだ際に加入できる「団体信用生命保険(団信)」が最強の生命保険なのです。契約内容によって差はあれど、死亡ないし重病で働けなくなれば、その時点で数千万円のローン返済がゼロになり得ます。
普通の保険で数百万円の給付金を受け取るより、数千万円の借金が消えて「住む場所」が残るほうがよっぽどコスパがいい。もちろん家の資産価値は不明ですが、生命保険に払うよりは全然マシです。
それに、貯蓄型の保険に入ったとしても、民間保険は経費や広告費で削られるので、よくて年利1%程度。対して世界経済に投資するインデックスファンドなら年5〜10%の利回りが期待できる。20年後、保険会社に“お布施”を続けた人と自分で運用した人では、資産に1000万円単位の差が出ます。
それでも明日死ぬのが心配なら、掛け金が安く割戻金もあるコスパ抜群の共済に入っておけば十分だし、安く済んでお金が余ったら投資に回せばいい。少なくともテレビCMを流しているような民間保険会社は微妙です。その広告費がどこから出ているか考えれば当然ですよね……。
そもそも生命保険は、自分が不幸になるほうに賭けるギャンブルみたいなもの。そんな不吉なものに賭けて毎月お布施を払うくらいなら、そして「不安」をビジネスにする人たちにカモにされるくらいなら、そのお金を活用して増やしたり自己投資で健康に全振りしたほうがいいと感じるので、生命保険に入っていないんですよね、僕は。
構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)
―[ひろゆきの兵法〜われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?〜]―
【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』