【肉豆腐そば】大好物の肉豆腐と町中華ラーメンの融合メニュー!? はたしてどんな一杯なのか......:パリッコ『今週のハマりめし』第254回

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2026年09月04日 17:30  週プレNEWS

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鷹の台にある「二幸」の肉豆腐そば

ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

【写真】ひき肉を使った肉豆腐

* * *

大好きな漫画家であり、たまにお酒の席をともにさせてもらうこともある、西村マリコさん。彼女は現在京都在住ながら、先日、東京都小平市にある鷹の台という駅の近くのギャラリーで個展を開催されていた。

鷹の台といえば西武国分寺線の駅で、我が家の最寄りである西武池袋線石神井公園駅からも、乗り換えはあるが30分ちょっとで行ける距離だ。こんな貴重なタイミングはそうないぞと足を運ぶ。


漫画家・西村マリコ個展「バッタリ日々」


会場である「zoeee gallery」は、玉川上水沿いに佇むとても雰囲気のいい場所で、運良く在廊中だった西村さんにも挨拶することができた。

日常を独自の視線で切り取るセンスは天才的としか言いようがなく、作品の膨大な原画を目の前で見られる幸せを堪能。手作りのZINEなども購入し、大満足で会場をあとにした。


1P漫画「涙」


ところで、時間は昼どき。せっかくめったに来ない、というか初めて来た街なので、どこかでランチ飲みをして帰りたい。実は行きの道中で、すでに気になる店を見つけていた。道中というか、駅の改札を出た目の前の店なんだけど、黄色いひさしに赤文字で「二幸」と書かれた、僕の大好きなタイプの町中華。


「二幸」


この手の店がはずれなわけはないが、店頭のメニューを見てがぜん胸が高鳴った。「ラーメン」を起点にかなりの種類がある麺類。そのなかに「肉豆腐そば」なる一品を発見してしまったのだ。

肉豆腐といえば、僕の最愛の酒場のつまみ。眺めているだけで酒が飲めるほどのその字面に、まさかこんなところで出会うとは。しかも、それとラーメンの融合。一体どんなものが出てくるのか、確認しない選択肢なんてない!


麺類メニュー


その他メニュー


店内は、カウンターに加えてテーブル席も豊富で、外観から想像していたよりもずっと広い。年季は入っているがどこもぴかぴかという、僕がいちばん信頼するタイプの店だ。お昼どきということもあり、地元の常連客と思われる方々で大盛況。厨房でご主人がひっきりなしに中華鍋をふり、女将さんが忙しそうにフロアを行き来している。

カウンター席に着き、すでに心は決まっているので、まるで自分も常連であるようなスムーズさで、「肉豆腐そば」(税込900円)と「ビール(大瓶)」(650円)を注文。


「ビール(大瓶)」


中瓶が600円なのに対し、たった50円しか違わないのが嬉しい大瓶の瓶ビール。サービスのミニ冷奴も嬉しすぎる。醤油をたっぷりめにかけ、おなじみのお冷用グラスにビールをトクトクと注ぎ、ぐいっ。

景気のいい調理音と、がやがやとしたにぎわいの音を聞きながらビールを飲みつつ、肉豆腐ラーメンが届くまでの間、あらためてメニューを眺めてみる。基本的には町中華の王道がずらりと並ぶが、気になるのは店名を冠した「二幸そば」(850円)だ。説明があり、それによれば「麺の所がしょうゆ味で、その上にみそ味の野菜が玉子とじでのっています」とのこと。なんとも興味深い組み合わせ。次回があればそれを頼んでみよう。

なんて思っていたら、いよいよ肉豆腐そばが到着。


「肉豆腐そば」


酒場の肉豆腐といえば豚肉や牛肉の薄切りが使われていることが多いが、ひき肉。それと、大胆な大きさにカットされた豆腐、にら、ねぎを炒め、とろみをつけたものがのっている。肉豆腐ということばに引っぱられてなんとなく想像していたものとは違うけど、確かに肉と豆腐の組み合わせであることは間違いない。


いただきます


まずは気になる肉豆腐部分をれんげですくって食べてみる。旨味爆発の甘辛味で、かなり強めのとろみが絡む絹豆腐が、うまいが熱い。が、うまい!

これは言ってみれば、辛さのない麻婆豆腐でもあるのかもしれない。いわゆる麻婆麺的な。そう考えてみると、なるほど、麻婆豆腐という料理もまた、肉豆腐の一種であると言えるのか。


たっぷりの麺


肉豆腐の下に隠れているのは、オーソドックスな醤油ラーメンのようだ。王道スープがこれまたうまく、ぷりぷりの中太ちぢれ麺とよく合う。量もたっぷりで、ずずずっ、ずずずっとすする町中華ならではの快感がたまらない。

食べすすめるうち、肉豆腐の甘辛い味、とろみが、醤油スープと混ざりだす過程がまたいい。食べながらにして、肉豆腐そばという料理として完成されてゆくのだ。

麺に加え、豆腐もかなりお腹にたまるので、なんとか食べきることができたが、最終的には大満腹。これで900円とは、このご時世に本当に頭が下がる。

というわけで、僕の肉豆腐史に新たなる1ページを加える体験をさせてくれた二幸さん、ごちそうさまでした。

取材・文・撮影/パリッコ

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