連覇を果たしたディクテオン(撮影:大恵陽子) 大井のディクテオンがコリアカップ連覇を決めた。
昨年の同レースを勝っての参戦で「ディフェンディングチャンピオンとして恥ずかしい競馬はできない」(荒山勝徳調教師)という立場。そのプレッシャーを背負ってこの1週間、調教から携わった矢野貴之騎手は「緊張と友達、と僕は言っていて、緊張するほどの馬に乗れるのは幸せなこと」と、ポジティブに捉えてレースに臨んだ。
好スタートを切ったのはサンデーファンデー。逃げると目されたコリアグランプリ勝ち馬・クリーンワンがそこまで速くなかったため、先手を主張したが、1コーナー手前で外からライバルに競りかけられてペースは上がった。一方でディクテオンは最後方。荒山調教師は「ヤバいと連呼して、ヒヤヒヤした」というが、向正面に入るとすぐに矢野騎手はムチを一発、二発と入れて進出を始めた。その胸中は「前の馬を射程圏に入れたいと思っていました」というもの。かなり早めに動いていったが直線でも脚が上がることなく、2着サンデーファンデーに6馬身差をつけて連覇を果たした。
「息の長い末脚と、恐ろしいスタミナが持ち味の馬で、それが生きたレースでした」と矢野騎手。「今年ほど『勝ちたい』と思ったことはなくて、この1週間はピリピリしていました」と心境を吐露した。
荒山厩舎としても矢野騎手を最大限にサポートして掴んだ結果だった。韓国滞在でレース騎乗の空白期間ができないよう、矢野騎手に2日の大井重賞・アフター5スター賞でティントレットを用意。矢野騎手は当日朝にディクテオンの最終追い切りを韓国で終えた後、日本に一時帰国して見事に勝利に導き、いい勢いを持って再び渡韓していた。
このあとは状態を見て、オーナーと相談して決めるとのこと。韓国メディアに向けて「馬が元気なら、来年は3連覇も目指したいですね」と荒山調教師は微笑んだ。
1レース前に行われたコリアスプリントも日本馬が魅せた。序盤から日本馬2頭が先団を形成すると、4コーナーから2頭の追い比べ。そこから抜け出したドラゴンウェルズが制した。前日は中山で騎乗し、その後に韓国入りした戸崎圭太騎手はこう喜んだ。
「前走より元気があり、返し馬もいい雰囲気でした。揉まれ弱い面があるので、主張しようと考えていた通りのレース。直線で交わしてからソラを使うところがあり、楽に走っていました」
殊勲の勝利騎手に向けて「トサキサーン」と韓国のファンは声援を上げたほか、レース前にはアメリカンステージを送り出す矢作芳人調教師に地元競馬関係者がサインや写真撮影を求める場面もあった。結果も存在感も大きなものを残した日本馬陣営。来年も両レースが盛り上がることを願っている。
(取材・文:大恵陽子)