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「ぼっち育ち」のオタマジャクシは、仲間とちょっぴり距離を置くようになる……。そんな興味深い研究結果を、京都大学が発表しました。
アズマヒキガエルのオタマジャクシを、仲間と一緒に育てた場合と、1匹だけで育てた場合とで比較したところ、単独で育った個体は、仲間のいる場所へあまり近づかず、少し距離を置いた場所に長くとどまる傾向が確認されたといいます。
研究成果は8月6日、国際学術誌「Animal Cognition」に掲載されました。
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研究を行ったのは、京都大学大学院地球環境学堂の長谷和子研究員。
今回の研究では、アズマヒキガエルのオタマジャクシを、きょうだいと一緒に育てる「集団飼育」と、1匹だけで育てる「単独飼育」に分け、およそ2週間飼育しました。
さらに水環境による影響も調べるため、それぞれを水道水と池の水で育てる条件に分けています。
その後行われたのが、オタマジャクシの「仲間の選び方」を調べる実験です。
実験用の水槽は、ポリエチレンネットで3つの区画に分けられました。片側には、試験する個体にとって「きょうだい」にあたるオタマジャクシ10匹、もう片側には血縁関係のない同種のオタマジャクシ10匹を配置。その二つに挟まれた中央の区画に、試験対象となる1匹を入れました。
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さらに行動を分析する際には、中央の区画を「きょうだい側」「血縁関係のない個体側」、その間の「中立ゾーン」の3つに分け、それぞれにどれだけ長く滞在したのかを60分間にわたって追跡しました。
では、オタマジャクシは血のつながった「きょうだい側」を選んだのでしょうか。
結果は意外にも、どの飼育条件でも、きょうだい側と血縁関係のない個体側との間に明確な差は確認されませんでした。
一方ではっきりと違いが表れたのが、それまで「ひとり」で育ってきたかどうか。
単独飼育されたオタマジャクシは、集団飼育された個体に比べ、中央の「中立ゾーン」に長く滞在する傾向が確認されました。
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つまり、「きょうだいだから近づく」というよりも、幼い時期に仲間と一緒に過ごした経験そのものが、その後の仲間への近づき方に影響していた可能性が示されたのです。
なお、水道水か池の水かという水環境の違いについては、行動への影響は確認されなかったとのこと。
アズマヒキガエルのオタマジャクシは、自然界では黒い個体がまとまって群れをつくる姿が見られます。こうした集団行動には、捕食される危険を減らすなどの意味があると考えられています。
今回の研究では、その「群れる」という行動に、血縁関係よりも、発達の早い段階でほかの個体と過ごした経験が大きく関わっている可能性が示されました。
ただし論文では、今回の研究では一般的な運動量を独立して測定していないため、単独飼育が全体的な活動量にも影響した可能性は排除できないとしています。今後は、「社会的反応性(仲間への反応)の低下」と「運動量そのものの変化」を区別するため、非社会的な対照条件を設けた研究が必要だとしています。
長谷研究員は、社会性は人間だけのものではなく、野生動物にもさまざまな形で見られると説明。今回の結果について、小さなオタマジャクシでも、幼少期の経験がその後の仲間との関わり方を左右することが分かったとしています。
「ぼっち育ち」だったオタマジャクシが、なぜ仲間から少し離れた場所を選ぶのか。その詳しい仕組みの解明はこれからですが、身近なオタマジャクシの行動から、動物の「社会性」がどのように育っていくのかを知る手がかりになりそうです。
<参考・引用>
京都大学「幼少期の社会経験がオタマジャクシの仲間への関心を育てる」(2026年9月7日発表)
長谷和子「Social isolation, rather than kinship, influences association behavior in toad tadpoles (Bufo formosus)」『Animal Cognition』29巻、記事番号56(2026年8月6日公開)。DOI:10.1007/s10071-026-02090-0。ライセンス:CC BY 4.0。
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