「犯人に直結するDNAがあるなら…」上智大生殺人放火事件から30年 遺族が求めるDNAの活用拡大を阻む“壁”【Nスタ解説】

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2026年09月09日 20:35  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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東京・葛飾区で上智大学の女子学生が殺害され、自宅が放火された事件から30年。現場からは犯人のものとみられるDNA型が検出されていますが、事件は未解決のままです。
遺族は、このDNAを使った新たな捜査方法の導入を訴えています。

【写真を見る】未解決30年 遺族が訴える「DNA捜査」の現在地

未解決のまま30年「上智大生殺人放火事件」 DNA鑑定は「世界に1人」特定可能に

出水麻衣キャスター:
殺人事件に関しては時効も撤廃されており、技術も進歩していることから、遺族らが事件を解決してほしいと思うことは当然だと思います。

現在、遺族らは新しいDNA捜査の法整備を求めています。

そもそも、いま日本で行われているDNA捜査は、事件現場に残された血液・体液などのDNAと、容疑者などから任意で提出してもらったDNAの「型が一致するか」、照合のために使用されているといいます。

TBS報道局 社会部 小倉直樹 記者:
現在の技術では、「世界に1人」を特定できるレベルにまで達していると言われています。

1999年に起きた名古屋市西区・主婦殺人事件が、2025年に26年の時を経て解決しました。これは現場に残されていた血痕のDNA型と、安福被告が任意で提出した検体のDNA型が一致したことが決め手となり、逮捕に至りました。

出水キャスター:
このように近年では、現場に残されたDNA型から実際に犯人逮捕につながった事例が出てきています。

今回、未解決事件の遺族らが求めているのは、そこから一歩踏み込んだ新しいDNAの活用法だそうです。

どのようなものなのでしょうか。

「DNA情報すべて活用して犯人逮捕を」遺族の切実な思い 国に法整備求める

TBS報道局 社会部 小倉直樹 記者:
DNAのあらゆる情報を使って似顔絵の作成や、年齢の推定などに生かしてほしいというのが、未解決事件の遺族の思いです。

ただ日本では現在、身体的特徴などが含まれる部分については使用しないことになっています。

被害者である小林順子さんの父・小林賢二さんは、「現場に犯人に直結するDNAがあるなら、DNAの持つすべての情報を活用して犯人を逮捕して頂きたい」と話していました。

遺族にとっては、30年という時が経ってもなかなか進まない“藁にもすがる思い“で、想像を絶するものがあると思います。そんな中、少しでも可能性があるならばという思いで、国に法整備を求めています。

「The HEAD LINE」編集長 石田健さん:
これまでは、目星がついている被疑者・容疑者にDNAを提出してもらうことで、型の一致を見ていました。
それに対し、現代ではAIを駆使したDNAデータベースが出てきています。例えば、GoogleのDeepMindというAI部門が「AlphaGenome Atlas」というものを公開しました。これは、いわゆるDNAのデータベースのようなものを作り、その組み合わせをAIで予測するといった研究で、技術が非常に進んでいます。

データベースができると、探している対象に極めて近いものを探せるため、そのDNAに近い人物から絞り込みができるようになります。

一方で、逆に捜査が誤った情報に基づいてしまったり、混乱があったりというリスクもあります。しかし、存在するデータベースから別の経緯で目星をつけることが可能になるため、今のAIとDNAの技術を駆使することで、より可能性が広がると思います。

出水キャスター:
実際に捜査で使われているのでしょうか。

「The HEAD LINE」編集長 石田健さん:
このサービス自体が非常に新しいものなので、現時点ではまだ使われていないと思います。他方、Googleは「DeepVariant」と呼ばれるDNA解析のサービスがかなり実用化まで進んでいるため、近い将来、現実的に応用できるのではないでしょうか。

活用拡大するも課題は? 人権侵害・誤った捜査に陥る可能性も

出水キャスター:
アメリカでは、「ゲノム・モンタージュ」という捜査手法があるそうです。

TBS報道局 社会部 小倉記者:
「ゲノム・モンタージュ」とは、DNA情報を基に作成した顔画像のことです。このような画像を作るアメリカの科学捜査会社「Parabon NanoLabs」(民間企業)のホームページによると、事件の重要参考人の特定に活用されたケースもあると書かれています。

出水キャスター:
独協大学・徳永教授によると、現時点では、顔の特徴を捉える正確性、さらには誤りが生じるケース・確率もあるということで、こういったことが確認できなければ実用化すべきではないという意見があるそうです。

TBS報道局 社会部 小倉記者:
精度が十分でないと間違えることが増えて、人権侵害につながるおそれがあります。また、間違った特徴を持った人物を追うことになるため、かえって捜査が混乱することも予想されます。

捜査関係者は、「DNAから似顔絵の作成・年齢の傾向の予測をしても、他の可能性を排除するわけにはいかない。人の顔もDNAだけが決めるわけではなくて、食事や普段の生活で変わることもある」と話していました。

技術が全くないわけではない中で、未解決事件の遺族の訴えに関心を持たれないまま放置されたり、議論されなかったりという状態です。このような現状への切実な問いかけがあるように感じます。

課題はもちろん色々あるとは思いますが、研究が少しずつ進んでいる中で、まずは私たちが関心を持つことが重要だと思います。

井上貴博キャスター:
アメリカの場合は多民族国家ということもあり、大雑把にでも人物を絞り込めるメリットを取ったのだと推測します。日本では、佐賀県警の科捜研職員がDNA鑑定の不正を長年繰り返していた事例がありましたが、第三者の調査はまだ行われていないようです。

DNA情報を活用した捜査手法を取り入れることの議論と、日本の警察組織の透明性を高めていくことの両輪で進めるのがよいのではないでしょうか。

「The HEAD LINE」編集長 石田健さん:
組織や制度の問題があったことから、従来であっても、DNAの問題が必ずしも冤罪を生まないわけではないと思います。DNA情報に関する事柄は、歴史的にも差別や誤った使い方をされてきた経緯があります。だからこそ一番の問題をしっかりと定義した上で、どのような方法であれば妥当なのか、十分に議論して突き詰めることができると思います。AIを含め、科学技術を積極的に取り入れることを忘れないでいてほしいと感じます。

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<プロフィール>
小倉直樹
TBS報道局社会部
警視庁捜査一課・東京消防庁を担当
殺人・強盗など凶悪事件を取材

石田 健さん
「The HEADLINE」編集長
鋭い視点で政治・社会問題などを解説

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