ひろゆき―[ひろゆきの兵法〜われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?〜]―
「死ぬ前に後悔しないように生きよう」と言われるが、後悔をゼロにするのは無理――。そう語るひろゆき氏。旅行や家族との時間など「いつかやりたいこと」も、本当にやりたいのか、ただの憧れなのかは、予定を立ててみればわかるという。後悔を減らすために必要なのは、「やるべきこと」を全部こなすことではない。自分の本当の願望を見極めるための、意外な方法とは?
◆「死ぬ前にやっておいたほうがいいこと」の見分け方
氷河期世代くらいの年齢になると、「死ぬ前に後悔しないように生きよう」みたいな話が出てきたりします。ただ、後悔しない人生を目指すのは、けっこう無理な話だと思っています。もっと言えば、たぶん後悔はなくなりません。
死ぬ間際の後悔としてよく言われるのが、「家族との時間をもっとつくればよかった」「旅行に行っておけばよかった」「健康を大切にしておけばよかった」などです。これを見てもわかるように、「死ぬ前にやっておいたほうがいいこと」は人によって違います。みんな自分が大事にしているものを、他人にも勧めているだけだったりするからです。
では、どうやって「本当にやりたいこと」を見分けるかというと、僕は「予定を立てているかどうか」で判断をします。というのも、「いつかやりたい」と思っていることの中には、本当にやりたいことと、なんとなく憧れているだけのことが交ざっているからです。本当にやりたいことなら、いくらかかるのか、そのためにいくら貯める必要があるのか、いつ行くのかなどの計算を始めます。
逆に、具体的な予定を組む気がないことは、なんとなく憧れているだけ。僕も、オーロラとかイースター島のモアイ像とか、見てみたいものはいくつかありますが、本当にめちゃくちゃ見たいのであれば、ピラミッドみたいに見に行っているはずです。なので、死ぬ間際に「モアイ像を見てないなぁ」と思うことはあっても、たぶん強く後悔することはない気がします。
つまり、予定を立てていないという時点でその程度の願望でしかない。本当にやりたいことではなく、「やりたいと言っておくと人生に奥行きがあるように見えること」だったりします。
◆本当にやりたいことと「憧れ」は分けて考える
もちろん、予定を立てたからといって、必ず実行できるとは限りません。お金が足りないこともあるし、時間が取れないこともある。でも、その時点で、それは生活のほうが大事で優先しているだけのことです。
でも、それでいいのだと思うのです。少なくとも、予定を立ててみれば、自分が本当にやりたいのか、ただ言っていただけなのかはわかります。調べた瞬間に面倒くさくなるなら、たぶんその程度。逆に調べれば調べるほど行きたくなるなら、それはやったほうがいいことかもしれません。
後悔を減らすのに必要なのは、「やるべきことリスト」を全部埋めることではなく、自分が本当に気にしていることと憧れを分けることです。
そして、どれだけ分けても、たぶん後悔は残ります。仕事を選んだ人は家庭を大事にすればよかったと思うかもしれないし、家庭を選んだ人はもっと仕事をすればよかったと思うかもしれない。人間は、選ばなかったほうを美化する生き物です。だから、後悔をゼロにすることを目指すより、「どうせ後悔する」と思って準備しておくほうがいいのです。そのうえで、死ぬ間際に何か後悔したら、「やっぱりね」と思うのですよ、きっと。だって、後悔しない人生なんて、たぶん無理ですから。
構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)
―[ひろゆきの兵法〜われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?〜]―
【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』