
中国INNOCN(イノセン)は9月10日、LIFORK秋葉原II(東京都千代田区)においてディスプレイ製品のメディア向け体験会を開催した。
イベントの“目玉”は、国内では初披露となる49型ウルトラワイド液晶ディスプレイ「E49M1R」だ。ウルトラワイド液晶ディスプレイというと、通常は湾曲のある「カーブパネル」を使うのだが、本製品はあえて“フラットな”パネルを使っていることが特徴だ。なぜ、湾曲(カーブ)パネルを使わなかったのか――中国から来日した担当者が説明した。
●そもそも、INNOCNってどういう会社?
体験会では、INNOCNのジンウェイ・リウ氏(グローバルマーケティングマネジャー)が同社や製品に関する説明を行った。
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INNOCNは、中国語の社名を「深セン市世紀創新顕示電子」(センはつちへんに川)という。その名の通り、中国の深セン市で2014年に生まれたディスプレイ専業メーカーで、リウ氏は「現在に至るまで、ディスプレイだけを作り続けてきた」と語る。
従業員は約3000人(うちエンジニアが500人)で、取得特許は260件以上あり、中国国内に4カ所の生産拠点を持つという。ディスプレイの研究開発から金型の製造、製品の生産、販売まで自社で一貫して手掛けているのが強みだ。
同社が日本に進出したのは2021年で、Amazon.co.jp上の公式ストアを通して販売を開始した。現在はプロフェッショナル向けに色再現性を高めた「4Kシリーズ」、業務効率の改善を重視したウルトラワイド「21:9シリーズ」「32:9シリーズ」、きめ細かい明暗制御が行えるMini LEDバックライト液晶を搭載する「Mini LEDシリーズ」の4シリーズを軸に商品展開しているという。
●E49M1Rってどんなディスプレイ?
今回の体験会の主役であるE49M1Rは、先述の通り49型のフラット液晶パネルを搭載する液晶ディスプレイで、先ほどのシリーズ分けでいうと「32:9シリーズ」に属する。
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液晶パネルはVA方式で、解像度は5120×1440ピクセル(アスペクト比32:9)となる。ちょうど27型のWQHD(2560×1440ピクセル)のディスプレイを2枚並べた場合と同じサイズと解像度を確保している。バックライトはMini LEDで、画面全体を1760の区画に分けて明暗制御を行える。
INNOCNによると、E49M1Rは「49型のフラット型Mini LEDディスプレイ」としては世界初の製品だという。
ディスプレイの最大輝度は通常時が450ニト、HDR表示時が1000ニトとなる。コントラスト比は3000:1だ。リフレッシュレートは最大165Hzで、表示同期技術「VESA AdaptiveSync」にも対応する。応答速度(Grey to Grey)は通常時で8ミリ秒、オーバードライブ時で2ミリ秒なので、ゲーミング用途にも利用できる。
なぜ“湾曲”じゃないのか?
E49M1Rはフラット設計なのが特徴のウルトラワイドディスプレイだが、見方を変えると「なぜカーブパネルにしなかったのか?」という疑問が湧いてくる。
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この点についてINNOCNの担当者は「ウルトラワイドディスプレイは使いたいけれど、曲面パネルは困る」という声に応えたものだと説明した。
同社は同じ49型のウルトラワイドディスプレイとして、「49C1R」(直販価格12万9900円)という製品も取りそろえているが、こちらは曲面パネルだ。
曲面パネルは没入感に優れる一方で、直線が曲がって見えるというデメリットがある。特にCADや3D、デザインデータを扱う人にとって、制作物/作品が曲がって見えてしまうのは致命的だ。
その点、E49M1Rはフラットパネルを採用することでこの課題を克服した。クリエイター/デザイナー/設計者にも適する商品に仕上がっている。
横長画面を生かした機能も搭載
映像入力は、HDMI 2.1が2系統、DisplayPort 1.4が2系統で、最大4台の機器をつないでおける。USB 3.2 Gen 1(USB 5Gbps)ハブ機能も備えており、ディスプレイにつないだUSB機器をデバイス側から使うことも可能だ。
ただし、KVM機能は備えていないため、本製品につないだ機器を複数デバイスで使い回す場合は、デバイスとつながるUSBケーブルをつなぎ替える必要がある。
スピーカーは5W×2を内蔵し、周囲の明るさに合わせて表示を調整する光センサーも搭載している。
WQHDディスプレイ2台分の画面空間を生かすべく、2台のPCの映像を左右に並べて表示する「PBP(ピクチャー・バイ・ピクチャー)」と、一方の映像を小窓で重ねる「PIP(ピクチャー・イン・ピクチャー)」にも対応している。
付属のスタンドは約120mmの範囲で高さを変えられ、上下の角度調整(チルト)と左右の首振り(スイベル)にも対応する。背面は100×100mmのVESAマウントの取り付けに対応し、市販のディスプレイアームにも取り付けられる。
●主要なディスプレイ製品も展示
今回の体験会では、E49M1R以外の主要なディスプレイ製品も展示されていた。
Samsung製QD-OLEDを搭載した49型曲面ディスプレイ「49Q1R」
「49Q1R」はE49M1Rと同じ49型ウルトラワイドディスプレイで、1800Rの曲面を描いており、座った位置から画面の両端まで首を大きく振らずに見渡せることが強みだ。直販価格は19万9999円となる。
Samsung Display製のQD-OLED(量子ドット有機EL)パネルを採用しており、黒い部分を完全消灯することで150万:1という超高コントラストを実現している。色域はDCI-P3カバー率99%で、映画制作で使う色の範囲をほぼ網羅する。
パネルのリフレッシュレートは144Hzで、応答速度(Grey to Grey)は最短0.03ミリ秒と、E49M1Rと比べてもさらに速く、動きの速い映像でも残像が出にくい。
本製品は映像入力を兼ねるUSB Type-C入力端子も備えており、USB PD(Power Delivery)規格の90W給電にも対応している。KVM機能も備えているので、映像ソースに合わせてUSBデバイスの接続先を変えることも可能だ。有線LAN端子(1000BASE-T)も備える。
4K/160HzとフルHD/320Hzを切り替え可能な「GA32V1M MAX」
「GA32V1M MAX」は32型のゲーミング4Kディスプレイで、Mini LEDバックライトを適用した32型IPS液晶パネルを採用している。パネルの解像度は4K(3840×2160ピクセル)で、リフレッシュレートは最大160Hzなのだが、解像度をフルHD(1920×1080ピクセル)に落とすと最大320Hzで駆動できる「デュアルモード」を搭載することで、「画質優先」と「速さ優先」を1台で使い分けられる。直販価格は11万9800円だ。
画面の鮮やかさを重視する観点から、パネルは光沢加工となっている。そうなると映り込みが気になるところだが、パネル全体に低反射コーティングを施すことで、映り込みを抑制している。
Mini LEDバックライトは2304区画に分けて制御されている。先に紹介したE49M1Rより画面が小さい分、明るい部分の周囲に光がにじむ「ハロー現象」を抑えやすいメリットもある。KVM機能と光センサーも備える。
色差をΔE2未満に抑えたクリエイター向けの「CB32U1」
「CB32U1」は4K解像度/120Hz駆動のIPS液晶を採用したクリエイター向け32型ディスプレイで、表示した色と本来の色のずれを示す「ΔE(デルタE)」が2未満と、色再現性の高さを売りとしている。1台ずつカラーキャリブレーション(色の校正)を施し、その結果を記したレポートを付属して出荷するため、箱から出したその日から正確な色で作業を始められるという。直販価格は9万3890円だ。
主な用途は写真のレタッチや動画編集を想定しているが、リフレッシュレートが高めなので、ゲーム用途にも向いている。本製品も映像入力を兼ねるUSB Type-C入力端子を備えており、最大90WのUSB PD給電に対応している。映像入力はHDMI 2.1×2とDisplayPort 1.4×1も用意している。
3辺フレームレスのボディーで、スタンドは150mmの昇降に加えて縦回転(ピボット)に対応し、画面を縦長にして使える。
リウ氏は、INNOCNのディスプレイ製品の強みとして「他社にない“フラット型”の49型ウルトラワイドディスプレイ」「21:9モデルの品ぞろえの広さ」「色の再現性」「映り込みを抑えた目に優しい設計」の4点を挙げる。
今までAmazonでの直販が中心だったINNOCNディスプレイだが、この3月からリンクスインターナショナルが国内正規代理店となり、一部製品は家電量販店での展開も始まった。日本のディスプレイ市場においてどのような活躍を見せるのか、今後の動向に注目したい。
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