自民党の税制調査会と社会保障制度調査会の合同会議であいさつする小野寺五典税調会長(中央)=11日、東京・永田町の同党本部 政府・与党は来年4月からの食料品の消費税減税の実施に伴い、小売店の値札の貼り替えや予約販売などで特例・経過措置を設ける方針だ。ただ、準備期間が短い中で制度が複雑化し、事業者や消費者の混乱を招く恐れがある。減税で経営が圧迫される農林漁業者や外食業界の支援も課題となる。
税制改正大綱案では、小売店に税込み価格の表示を義務付ける「総額表示」に、特例措置を講じる。来年4月1日の税率変更の前後2カ月を猶予期間とし、減税前に税率1%の値札を付けたり、減税後も税率8%の値札のままにしたりすることを認める。
夜間に値札の貼り替え作業ができないコンビニなど24時間営業の店舗に配慮した。消費者が混乱しないよう、商品棚に「8%の税込み価格で表示しています。レジで1%の税率で精算します」と掲示するなど、誤認防止措置を講じることを条件とする。
食品が月1回自宅に届く定期便など予約販売には経過措置を設ける。通常のルールでは商品引き渡し時の税率が適用されるが、事業者の事務負担を軽減するため、年内に契約し来年4月1日より前に代金を支払えば、商品の受け取りが減税後でも8%を適用する。ただ、適用税率が契約時期で異なることとなり、買い控えなどを招く可能性がある。
事業者が課税期間の途中で消費税を申告・納付する「中間申告」も特例措置を講じる。前年の納税実績に応じ、分割して前払いする制度だが、減税後も前年実績を基に算定すると過大納付となり、資金繰りが悪化する恐れがある。このため、申告額を新税率で計算できるようにする。
小規模の農林漁業者の支援にも乗り出す。約8割が売上高が1000万円以下の免税事業者であるため、販売先から受け取った消費税は納税する必要はない。しかし、減税後は受け取る金額が減って、手元に残る収入が減る。大綱案には、売上高に応じて給付金を支給する仕組みの導入を盛り込んだ。
店内飲食が減税対象外となる外食業界では、弁当・総菜との税率差拡大で客離れが懸念される。大綱案は資金繰り支援のほか、「テークアウトなど多角化の支援」を行うとした。
ただ、事業者支援の詳細は決まっておらず、年末の予算編成で具体化する。城内実全世代型社会保障改革担当相は11日の記者会見で「現場の納得感のある対応を検討する」と強調した。