義父の葬式に次々とやってくる“強面の男”たち…「隠しててごめん」妻が明かした義父の正体とは?/葬儀に関するトラブル相談はどれくらいあるのか調べてみた

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2026年09月12日 08:50  日刊SPA!

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※画像は生成AIによるイメージです
 家族の葬儀は、遺族にとって慌ただしくも大切な時間です。ただ、故人と親しかった人々が集まる場でもあり、時に「そんな知り合いがいたの?」と、家族の知らなかった一面が浮かび上がってくることもあります。
 国民生活センターが2026年6月に公表した資料によると、令和6年の死亡数は約161万人で、厚生労働省が調査を開始して以来最多となりました。葬儀の件数そのものは増えている一方、同センターは「葬儀の形態も変わりつつあり、家族葬、一日葬、直葬など、さまざまな葬儀のニーズが高まっている」と指摘しています。数は増え、規模は小さくなっているというわけです。

 今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ人気コラムから、身内だけの家族葬になるはずだった義父の葬儀に、次々と現れた“強面の男たち”のエピソード。妻が明かした義父の意外な正体とは――。

 記事の後半では、家族葬が一般的になった背景と、そこで起きている料金トラブルについて、公的な調査データもあわせてご紹介します。

*  *  *

 現在はそれほど珍しくはないひとり親家庭。厚生労働省『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査』によると、母子家庭119.5万世帯、父子家庭14.9万世帯の計134.4万世帯で全世帯の約2.6%を占める。

 それでも一緒に暮らしていなかった父親(母親)との交流が続いているケースも多く、結婚や子供が生まれた際には祝ってくれたという人も多いだろう。

◆温厚でいつも笑顔だった義父の知られざる過去

 11年前に結婚した若山宏司さん(仮名・40歳)は、2歳下の妻の実家が母子家庭。だが、彼女は父親との関係は良好で結婚前に挨拶した際には、「娘のことをよろしくお願いします」と頭を下げられたとか。入籍後も年1〜2回は自宅に招いて一緒に食事をしていた。

 ところが、数年前に病気で帰らぬ人となり、ここで義父が元極道だったことを知る。遺体に和彫りの刺青が入っていたことに気づいてしまい、「今まで隠していてごめんなさい」と妻から打ち明けられたという。

「戸籍上、義父母に婚姻関係はなく、『妻と子供に迷惑はかけたくない』との義父の強い意向だったそうです。妻が小学生のときに足を洗ったそうですが、それまで何度か刑務所に収監されていたらしく、最後に入った時に義父から切り出す形で義母と別れたそうです。ただ、仲違いしたわけではないため、妻だけでなく義母ともたまに会っていたと聞きました」

 ちなみに義父は30代後半で組を抜けた後、知人のツテで建設会社に就職。亡くなる数年前に退職するまで真面目に働いていた。職場では同僚や若い社員からの信頼も厚かったそうで、「いつもニコニコしており、とても元極道の方には見えなかった」と話す。

「葬儀は義父のお兄さんが喪主を務めたのですが、当時はまだコロナ禍。そのため、身内だけの家族葬になったのですが、ウチの両親も飛行機の距離に住んでおり、母親は福祉施設で働いていたこともあって参列できませんでした。

 少人数で見送ることになると思ったのですが、葬儀会場には強面の男性たちが次々と訪れ、20人近くはいたと思います。みなさん義父の昔からの知り合いらしく、現役か足を洗った方かはわかりませんが組員時代の関係者だとなんとなく察しました」

◆強面の男たちからの香典の多さにビックリ

 ただし、全員が通夜、告別式が始まる前に会場を出てしまい、滞在していたのは10分程度。せっかく来てくれたので引き留めようとしたが、義父と同年代らしき初老の男性からは「私のような人間が長居してもご迷惑がかかりますから」と言われたそうだ。

 なお、驚いたのは香典の金額。故人が仕事関係者や友人の場合、5000円〜1万円が相場だが、全員が5万円や10万円、なかにはそれ以上包んでいた者もいたそうだ。

「義父のお兄さんや義母は平然としていましたが、私だけでなく妻も金額の多さに驚いてる様子でした。義父が組員だったのは亡くなる四半世紀も前のことですが、当時はそこそこのポジションに就いていたそうです。辞めてからも付き合いがあったのかは知りませんが、義理事を欠かさない世界だと聞きますし、それがあちらの常識なのかもしれませんね」

 そこで思い出すのは、結婚の際に義父からいただいたご祝儀。披露宴に本人は出席しなかったが、事前にいただいたご祝儀袋には50万円も入っていたからだ。

◆自分にとっては大切な義父であることには変わりない

「妻もちょっと引いていました(苦笑)。すぐに電話しましたが『このくらいしかできないから。それに娘には子供のころから苦労させたから』って。しかも、出産祝いも同じ50万円。正直すごく助かりましたが、妙に太っ腹なところがあったのは元極道だったからかもしれないですね」

 義母からも妻と同じように義父の過去について黙っていたことを詫びられたが、若山さんはまったく気にしていない。

「最初は驚きましたがあくまで過去の話。私にとっては優しい義父で、孫娘にデレデレのおじいちゃんでしたから。もちろん、人に言い触らす内容でもないため、葬儀に来られなかったウチの両親には言ってませんし、今後も話すつもりはありません。余計な波風を立てる必要はないので」

 自分たちには優しくても違う一面や人には言えない過去を持っている者は少なくない。実際、暴力団関係者の数はこの数十年で激減している。本人は知らないだけで今回のエピソードのように義父が元極道というケースは案外多いのかもしれない。

<TEXT/トシタカマサ>

*  *  *

◆■「小さな葬儀」が当たり前になるまで

 義父の葬儀が身内だけの家族葬になったのは、コロナ禍という事情もありました。ただ、家族葬そのものはそれ以前から広がっていた形です。公正取引委員会が平成29年3月に公表した「葬儀の取引に関する実態調査報告書」では、葬儀業者696社への調査で、増加傾向にある葬儀の種類として「家族葬」を挙げた回答が年間取扱件数・年間売上高ともに50%を超えました。逆に減少傾向として「一般葬」を挙げた回答は、どちらも70%近くにのぼっています。

 公取委はこの変化について、家族葬や直葬には「参列者数が少ない、葬儀日数が少ない、葬儀費用を低く抑えることができる」といった特徴があると整理しています。義父を見送った日の会場も、統計の上では「参列者数が少ない」ほうに数えられる一件だったはずです。

◆■「家族葬だから安い」とは限らない

 ところが、その「費用を低く抑えられる」というイメージが、思わぬ落とし穴になることもあります。国民生活センターの資料によると、葬儀サービスに関する相談のうち「高価格・料金」に関するものの割合は、2019年度の33.2%から2025年度は52.6%へと上昇。相談件数は年間900件前後で推移しており、2025年度の平均契約購入金額は約109万円で、年々増加傾向にあるといいます。規模は小さくなっても、支払う額が下がるとは限らないわけです。

 実際に寄せられた相談には、「家族葬50万円」の表示を見て依頼したところ、明細のない見積書のまま追加費用が重なり総額200万円を超えたという事例や、「一日葬は約30万円」とのチラシで頼んだのに約80万円の契約になったという事例があります。同センターは、「家族葬」「一日葬」は葬儀社によって取り扱い範囲が異なるため、言葉のイメージにとらわれず参列者の人数や実施日数、料金を具体的に確認するよう呼びかけています。打ち合わせを喪主一人で行わず複数人で臨むこと、見積書の明細を必ず確認することも挙げられています。

 義父の葬儀では、20人近くの男性が現れ、10分ほどで静かに引き上げていきました。四半世紀も前に足を洗った人のもとへ、それだけの人数が集まったという事実だけが残ります。葬儀の規模は数字で追えても、誰がどんな縁で足を運んだのかまでは、どの統計にも表れません。もっとも、慌ただしさのなかで数字と向き合わなければならないのも、遺族の現実です。不安を感じたときは消費者ホットライン「188(いやや)」番という窓口があることを、頭の片隅に置いておくといいかもしれません。

<再構成/日刊SPA!編集部>

【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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