1日990円の「滞在エリア」 大垣書店が「滞在型書店」を始める理由

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2026年09月13日 08:20  ITmedia ビジネスオンライン

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大垣書店の新店舗が登場

 京都の老舗書店が新業態を展開する。大垣書店(京都市)は、「BOOKHOME(ブックホーム)」を12月4日に開業すると発表した。書店に有料の滞在エリアや学習塾、親子教室、飲食店などを組み合わせた複合型文化施設で、同社は「滞在型書店」と位置付ける。どんな施設なのか。


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 店内には、新刊と古書が並ぶ書店エリアと、家のリビングのように過ごせるエリアが広がる。滞在エリアの一部は有料で、1日利用が990円(中学生〜18歳以下は880円)、月額利用が4950円(中学生〜18歳以下は2200円)で、いずれもドリンク1杯が付く。


 男女共同参画センター「ウィングス京都」(京都市)の1階にオープンし、営業時間は午前8時〜午後11時を予定。名称には、本のある場所が訪れる人にとっていつでも帰ってこられる「もうひとつの家」であってほしい、という意味を込めた。本を買う日以外にも足を運んでもらいたいという考えだ。


 BOOKHOMEは、豊かな読書体験や学び、放課後の子どもたちの居場所づくりなど、書店の新たな役割やあり方への挑戦から生まれた。その背景には書店の減少がある。


 全国の書店数は3月末時点で9993店となり、統計開始以来初めて1万店を下回った。最多だった1998年度(2万4237店)と比べると、約6割減少。新刊書店が1つもない「無書店自治体」も、3月時点で510市区町村となり、全市区町村の29.3%に達した。書店の減少は、一企業だけの経営課題ではなくなっている。


●なぜ、書店に有料エリア?


 BOOKHOMEでは、有料エリアを展開する。大垣書店は「単に新たな収益源をつくることではなく、書店という場所が地域の中で継続的に人の居場所であり続けるために、空間やサービスそのものにも価値を感じてもらえる仕組みが必要ではないかと考えた」と説明する。


 誰でも気軽に立ち寄れる開かれた空間は残しつつ、ゆっくり本と向き合ったり、学んだり、仕事をしたりできる環境を提供する狙いだ。読書、勉強や仕事、親子で過ごす時間などでの利用を想定している。


 本を買うという目的がはっきりしている従来の店舗と比べ、滞在時間は伸びると考えられるが、そのことが本の販売とどうつながるのか。


 同社は「長く滞在していただくことで、その分だけ本が売れるという単純な関係では考えていない」とした上で、大切にしているのは、本と接する時間そのものを増やすことだという。


 買う本を決めずに訪れた人が棚を眺めたり、人との会話をきっかけに知らなかった本に出会う。そうした「偶然の接点」を増やすことが、結果として購入につながるとみる。


●学習塾、分身ロボットのスナックまで


 書店エリアでは、新刊に加えて古書も扱う。古書は、古本の買い取り・販売を手掛けるバリューブックス(長野県上田市)と連携し、同社が開発した書店システムで新刊と古書の仕入れ・販売から買い取りまでを一元管理する。新刊と古書を分けず、どちらも「次に出会う一冊」として並べる考えだ。


 そのほか、本と学び、食に関わる6つのパートナー企業が参加する。探究型の学びを手掛けるTricoLogic(大阪市)は、教室ではなく書店空間そのものを学びの場として使う。教育サービスを展開する成基(京都市)は、幼児教育TAMの知見をもとに、生後3カ月から2歳0カ月までを対象とした親子教室を提供する。


 オリィ研究所(東京都中央区)は、分身ロボット「OriHime」を遠隔操作するパイロットが接客するスナック「OrySNACK Kyoto」を展開する。


 他地域への展開について、大垣書店は「全国一律のフォーマットをつくることを目的に始めたものではなく、『その街に本屋があることの価値』を考えるところから生まれた取り組み。現時点でそのまま他地域へ展開する具体的な計画は決まっていない」と話す。


 まずは京都での運営を通じて得た知見や利用者の声を蓄積し、今後の店舗づくりに生かしていく考えだ。



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