1話完結の『相棒』タイプから、考察系の『VIVANT』タイプへ。ドラマの“勝ち筋トレンド”が変わった理由

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2026年09月13日 08:50  女子SPA!

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『マイ・フィクション』(テレビ朝日系)も考察が盛り上がり、Tver再生数が計2000万回を突破(番組公式サイトより)
 ドラマに散りばめられた伏線や謎を視聴者が読み解いて、推理を楽しむ「考察」。2026年夏の連続ドラマは考察系作品が多く、盛り上がっていました。

 前作でも考察ブームを巻き起こした日曜劇場『VIVANT』(TBS系)が高視聴率を連発し、TVerなどの配信再生数でも絶好調でした。また、売れっ子脚本家・生方美久氏が手掛けた金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS系)も、夫婦の過去など考察要素が多々あり、配信再生数で金曜ドラマ枠の歴代最高記録を更新しました。

◆今期は考察系と言えるのが5作品も

 この2作品を含め今クールのGP(ゴールデン・プライム)帯の連ドラは、下記の5作品が考察系と分類できるストーリーになっています。

●『マイ・フィクション』(テレビ朝日系)/主演:玉森裕太
●『一次元の挿し木』(日本テレビ系)/主演:山田涼介
●『Tシャツが乾くまで』(TBS系)/主演:蒼井優
●『告白−25年目の秘密−』(日本テレビ系)/主演:松村北斗
●『VIVANT』(TBS系)/主演:堺雅人
(※放送開始順で表記)

 たとえば『マイ・フィクション』もSNSなどで考察熱に拍車がかかっていた作品。TVerの配信再生数がすべての回で200万再生超え、全話合計は2000万再生を突破するという盛り上がりっぷりでした。

 以前から考察要素でヒットした作品は多々ありましたが、今期のように1クールのGP帯で5本もの考察系作品が並び、そのうえ大ヒットからスマッシュヒットまで飛び出していることを考えると、考察系ドラマブームが来ていると言えるかもしれません。

◆数年前は『相棒』のような1話完結型が強かった

 考察系ドラマブーム到来という現象は、視点を変えると「ヒットドラマの法則」に変化が生まれているとも考えられます。

 考察系作品は、謎が謎を呼ぶ展開となったり伏線が張り巡らされていたりすることもあるため、初回から最終回までのストーリーが連続して繋がっています。けれどそういった形の物語は、途中回を見逃すと話についていけなくなって、視聴者が途中で脱落してしまうリスクをはらんでいるのです。

 ですから数年前は、1話ごとに別々のエピソードを描く1話完結型が流行していました。

 たとえば刑事を主人公にした警察もの、医者を主人公にした医療もの、弁護士を主人公にしたリーガルものなど、途中回を見逃してその回は飛ばすことになっても、話についていけるような作品群です。

 1話完結型作品の大ヒットした例として、テレビ朝日系の『相棒』シリーズや『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』シリーズが挙げられるでしょう。

 フジテレビ系でも『イチケイのカラス』(2021年)や『ミステリと言う勿れ』(2022年)など、4〜5年前には高視聴率でヒットした1話完結型作品があったのです。

◆考察系に話題を持っていかれている感

 ちなみに今クールでも『クロスロード 〜救命救急の約束〜』(テレビ朝日系)、『ブラックトリック〜裁きを操る弁護人〜』(フジテレビ系)、『ファーストクライ 母子救命救急班』(日本テレビ系)など、1話完結型は多くありましたが話題性はイマイチ。

『大空港〜GATE24〜』(テレビ朝日系)は高視聴率を記録していますが、世の中の盛り上がりは、考察系の『VIVANT』、『Tシャツが乾くまで』に話題を持っていかれた感が否めません。

 以前は隆盛していた1話完結型に代わり、考察系が新たな“勝ち筋のトレンド”となったと言えるでしょう。

◆考察系のデメリットを、TVerや配信が解決

 1話完結型は手堅く世帯視聴率を稼ぎやすいという特徴がある一方、近年テレビ局が重視しているコア視聴率(13歳〜49歳の個人視聴率)やTVer再生数があまり稼げない印象があります。
 対して考察系はコア視聴率が高めで、TVerも“回り”やすい(再生数が上がりやすい)と言われているのです。

 また、考察系は途中回を見逃すと話についていきにくくなるものの、近年はTVerなどの配信で視聴するスタイルが定着し、リアタイ視聴しなくても見逃しを防げる環境が整っています。TVerでは3話まで無料公開をする作品なども多く、世間で話題になってからでも追いかけやすくなっているのです。

 このように、デメリットだった懸念点が薄れてきているため、考察系作品がヒットしやすいのではないでしょうか。

◆SNS時代に合ったヒットの法則

『VIVANT』、『Tシャツが乾くまで』といった考察系作品は、作品を視聴するだけにとどまらず、視聴者たちがXなどのSNSやネットニュースのコメント欄などに考察や感想を書き込むという、メタ的な楽しみ方ができるのも特徴。

 作品を「視聴する」だけで完結せず、視聴者がコメントを「発信する」という醍醐味もあり、相乗効果で盛り上がっていくというのが考察系のストロングポイントなのではないでしょうか。

 作品の“外”にも考察要素という楽しめる“余白”があることが近年の勝ち筋のトレンドであり、「ヒットドラマの法則」と言えるのかもしれません。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』(扶桑社)で恋愛コラム連載、『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は @SakaiyaDaichi

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