
スキマバイトで募集されていたフードデリバリー配達案件をやってみました
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第168回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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スキマバイトアプリで募集している仕事を見ていると、たまに「それって一体どんな仕事?」というものが出ています。そんな中、ウーバーイーツ配達員をしている私にとって気になったのはこんな案件でした。
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●ウーバーイーツや出前館の商品をバイクで配達する仕事 4時間5700円(交通費500円)
ウーバーイーツや出前館などのフードデリバリーは、各社で配達員登録をした人が店に商品を受け取りに行き、配達するスタイル。対してこの募集は、ウーバーイーツや出前館のアプリを経由して店に入った注文を、店が独自に集めた配達員が注文先へ届けるというもの。配達員の多い東京都内でなぜこのような募集をするのか、とても気になります。
さらにこの仕事、募集の出るタイミングと人数が集まって募集を締め切るタイミングをチェックすると、ほとんどの仕事は募集が出てから10分以内で締め切られていました。都内でバイクを使ってウーバーイーツの配達をする場合、普通にやっていればクエスト達成の特別報酬込みで時給換算1500円以上は稼げるのですが、なぜ時給1300円のバイク配達の仕事が人気なのか。こちらもとても気になります。
夏のはじめに発見してから、実際に働いて本連載で内容を紹介したいと思っていたところ、ようやく先日、この不思議な仕事に入ることができました。
今回は、そんな配達員にとって謎の多い仕事と、この仕事が成立する理由を考察します。
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9月某日。ランチタイムより少し前の時間に向かったのは環七通りより外側にある住宅地の多いエリア。駅から徒歩数分のところの居酒屋でした。店に入り「タイミーから来ました」とあいさつ。タイムカード代わりとなるQRコードの読み込み作業を終えて待機していると、普段から配達を担当されているスタッフの方が登場。配達の手順など、仕事の説明を受けます。その際の指示は以下の内容です。
●出前館とウーバーイーツから入った注文を届ける仕事
●配達先の住所は商品に貼られた伝票に記載してある
●届けるルートは自分でGoogleマップを使い確認
●商品を届けたら店にLINEで報告
●多い時は3、4件同時配達する場合がある
●配達員用アプリは使わない
私がウーバーイーツの配達員をやっているため、少々複雑に感じましたが、要は伝票に書かれた住所に配達して、届けたら店に連絡するだけ。作業としては単純です。
夜は居酒屋、昼はゴーストレストランという営業形態のようで、運ぶ商品はカレー、とんかつ、汁なしそばなどさまざま。厨房では多彩な料理が黙々と調理され、カウンター席で梱包スタッフが商品をラッピング。出前館やウーバーイーツの伝票を次々と貼っていきます。
その中から、まずはふたつの商品を渡され、配達スタート。
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バイクの荷台のボックスに商品を入れ、届け先の住所、電話番号やコード番号が記されている伝票を見てGoogleマップに届け先を入力。バイクのホルダーにスマホをセットして目的地へ向かいます。
出前館の場合は届け先で「出前館です」と言うので、ウーバーイーツでしか配達をしていない私にとって言い慣れない感じがありましたが、ウーバーイーツでは他のデリバリーサービスの代行配達を行なっていて、その配達でインターホン越しに「マックデリバリーです」などと答えたりするので、大きな違和感というほどではありませんでした。
仕事に慣れてきた頃に店から頼まれたのは、ウーバーイーツ2件、出前館2件の同時配達。
「到着時間に余裕を持たせているので安全運転で」
ところが、配達の1件目でいきなりトラブルが発生。指定された住所にはマンションが建っているのですが、伝票には部屋番号がありません。
そこで、伝票に書かれている050から始まる電話番号にかけてみると出てきたのは「こちらはウーバーイーツサポートサービスです。伝票に記されているコード番号を入力してください」という案内でした。
指示通りに番号を入力すると、注文された方に電話がつながり、部屋番号を教えていただき、無事に配達完了。残りの3件はスムーズに配達。その後も15時過ぎまで配達をして、謎仕事が終わりました。
なぜ、このような仕事を募集しているのか、ウーバーイーツはこのような店独自の配達スタイルを容認しているのか、人気の働き口となっている理由はなんなのか。
部屋番号が書かれていなかったトラブル解決の際にかけた電話番号はウーバーイーツ公式のもので、コード番号を入力すると注文された方につながったことから、このような店が配達員を集めて稼動するスタイルをウーバーイーツは正式に認めているようです。
また、店の方から「到着時間に余裕を持たせている」と店の人が到着時間を管理しているようなことを言われたことや、ウーバーイーツは近くに配達員がいないとマッチングまでに時間がかかるというシステムから考えると、「注文から商品到着までの時間が早い」もしくは「予定時刻通りに商品が届く」ことをセールスポイントにしている店だと考えられます。
店の場所は環七通りより外側の住宅の多いエリア。以前、「ウーバーイーツ配達員の収入に関するルールがコロコロ変わる件」で書いた通り、最近はアプリの仕様変更で、運ぶものがない状況の移動でも配達を受ける状態にして移動していると「稼働時間」にカウントされてしまうことから、1日の稼ぎを多くしようと考える配達員は住宅街で配達を受けない状態にする傾向があります。
そのため、この店周辺で配達を受ける状態にしている配達員は少なく、マッチングに時間がかかってしまいます。店が独自に配達員を確保していれば配達はスムーズに進みますし「他の店は時間通りに来ないので、この店にしよう」と考える人も増えるでしょう。
時給1300円なのに人気なのは、ウーバーで稼ぐには新宿や渋谷まで出なければならないので往復の時間が手間、不安定な大きなリュックより三輪バイクの荷台のボックスのほうが安定している、自前のバイクだとガソリン代がかかる、といった理由が考えられます。
募集を見た当初は謎の多い、どちらかといえば闇仕事っぽい印象のあったスキマバイトアプリの代行配達でしたが、その店の事情にマッチした配達スタイルなのだと、働いてみて実感しました。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明
