(写真左から)マウスコンピューター・軣秀樹社長、国立スポーツ科学センター所長・久木留毅。 (C)oricon ME inc. 18日、千葉・幕張メッセで開催中の日本最大級のゲームの祭典『東京ゲームショウ2026(TGS 2026)』にて、マウスコンピューターのブースステージに国立スポーツ科学センター所長の久木留毅(くきどめ・たけし)氏が登壇。同社の軣秀樹(とどろき・ひでき)社長とともに、eスポーツの未来をテーマにしたトークセッションを行った。
【写真】TGSで初披露されたマウスコンピューター新商品 ■五輪選手支援の知見をフル活用する「HPSC ESPORTS LAB」
今年6月、国立スポーツ科学センターも拠点を置く「ハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)」の一部である味の素ナショナルトレーニングセンター内に、「HPSC ESPORTS LAB」が新設されて大きな話題を呼んだ。この施設では、これまで五輪・パラリンピックに出場するトップアスリートの支援を通じて培われてきた医学的・科学的な知見をフルに活用し、eスポーツに特化したトレーニング環境を作り出しているとのことだ。
主に3つのゾーンで構成されている「HPSC ESPORTS LAB」。従来のeスポーツ競技を中心とした研究および支援を推進する「eスポーツゾーン」、現実空間での身体運動をセンサーなどを介してデジタル空間に反映させ、競い合うスポーツに対応した「バーチャルスポーツゾーン」、そしてアスリートの身体的・精神的・社会的な幸福感が相互に作用する状態を研究する「ウェルビーイングゾーン」が設けられている。さらに、視線計測装置や心拍計、脳波計、サーモグラフィといった最新機器を導入し、エビデンスに基づく緻密な研究と選手支援に取り組んでいるという。
久木留氏は「ゲームプレイ中の体温がどのように変化しているかなどを調査することで、eスポーツを行う前にどのような準備運動をすべきか、といったことが徐々にわかってきました。それらのデータを元に、一般の方向けのガイドブックを作成し、ゲームがさらに楽しくなり、より上達していくためのサポートを考えています」と述べ、一般のゲーマーにとっても「HPSC ESPORTS LAB」の研究成果が大いに役立つことをアピールした。
■初心者からプロまで支えるマウスコンピューターのPC展開
また、この施設にはマウスコンピューターのゲーミングPCブランド『G TUNE』が機材提供を行っており、久木留氏は「ハイパフォーマンススポーツの世界においては、最新テクノロジーの活用が極めて重要です。まさにマウスコンピューターさんのハイスペックな機材によるサポートが、私たちの取り組みの要となっています」とその強い関係性を解説した。
長年にわたりeスポーツ界へ多角的な支援を実施してきたマウスコンピューターだが、軣社長は自社のゲーミングPCのブランド展開に触れ、「eスポーツのプロ選手はもちろん、これからeスポーツの世界を目指そうとする若い世代にも使っていただけるような製品を用意しなければならないと考えております。これからゲームを始めたいという方には『NEXTGEAR』を、さらに上のレベルを目指したいという方には『G TUNE』へとステップアップしていただけるようなブランド構成にしています」と、プレイヤーの成長段階に合わせたラインナップ展開を説明した。続けて「国際的な競技大会の使用にも耐えうる高品質なPCであることが何より大事」と語り、数々の公式大会で採用されているブランド力の確かさを強調した。
さらに、大会やイベントへの協賛活動について軣社長は、「国内のeスポーツ大会には、これからも積極的に支援を行っていきたい。高校や大学の部活動、サークル活動などにも協力を惜しまないつもりです」と述べ、教育機関や地方自治体との連携強化にも意欲を見せた。
eスポーツの今後の展望について問われると、軣社長は「ゲームセンターに行くような感覚で、日本のどこにいてもeスポーツのゲームが手軽に楽しめる環境が整備されれば、eスポーツ文化はさらに大きく育っていくと信じています。ハイパフォーマンススポーツセンターで研究されたデータを蓄積・活用し、すべての選手たちが快適に最高のパフォーマンスを発揮できるようになれば素晴らしいですね」と期待を寄せた。
■認知症予防にも期待、研究成果を活用し世代を超えるツールへ
一方の久木留氏も、「現在、eスポーツが認知症予防に良い影響を与えるという研究結果が次々と出てきています」と、ゲームが競技の枠を超えて多方面にポジティブな効果をもたらしていることを報告。「子どもとおじいちゃん、おばあちゃんが一緒にプレイしたり、その際に(HPSCの研究データを生かして)リラックスした状態で楽しんでもらえれば、さらに安全かつ安心にゲームを満喫してもらえるはずです」と語り、「HPSC ESPORTS LAB」での研究成果を広く一般社会に還元していくことを誓った。
最後に、9月19日に愛知・名古屋で開幕する『第20回アジア競技大会』において、eスポーツが正式なメダル種目として実施されることについて触れ、久木留氏は「大舞台でeスポーツアスリートたちが活躍するその陰には、『HPSC ESPORTS LAB』のサポートもあるのだと少しでも思い出していただけると、私たちの取り組みにも大きな価値があると感じられます」と謙虚な言葉で締めくくった。