
昔とは違いすぎる、日本の夏。“暑さ”が大きな原因となる悲しいニュースは珍しくない。それでもなかなか“変わらない”のが日本社会。10代から90代の男女1000人に、「もう見直すべき(やめるべき)」と思う夏の慣習・行事を3つ挙げてもらった。回答の“理由”は、「命」「死」という言葉が使われたものがあまりに多く……。
「あまりに昭和世代感覚すぎ」
■夏の甲子園(449票)
今回のアンケートでは断トツの1位。意外にも60代以上の年配層こそ厳しい目を向けている。
「すり鉢状の球場内の温度を考えればわかるでしょう? 根性論もいいかげんにしてください。死人が出れば、どなたがどのような責任を取るのでしょうか」(71歳・男性)、「猛暑の中でも頑張る球児という感動の押しつけも、あまりに昭和世代感覚すぎてうさんくさいです」(62歳・女性)
ただし、この449票は「やめろ」ではない。甲子園についての回答を見ると、熱中症からの命の危険を訴える声とともに、「ドーム・屋内化」を望む声が同率。「時期をずらせ」「ナイター案」を加えると全体の3割以上が代替案を提示。
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「真夏の甲子園より涼しく、雨天にも影響しないドーム球場がある札幌を推奨します。地域振興にも役立ちます」(52歳・男性)
甲子園の現状は─。
「夏の甲子園は、朝夕の2部制に。'24年に開幕から3日間で導入し、'25年に拡大。今年'26年大会では、午前8時開始の1試合と午後1時半開始からの3試合という形になりました。過去3年の熱中症疑いの件数が第2試合に集中していたためです」(スポーツライター、以下同)
炎天下の9イニングは「長い」と7イニングに短縮する案もあったが、今夏は見送られた。
「7イニング制は今年の夏を経て、“今後もナシ”とする意見も少なくない。理由は、夏の甲子園の酷暑対策がうまくいっているからというもの。確かに昨夏と比較して熱中症の疑いは24件から16件に減少しています。ただ甲子園は本大会だけでなく、その前に行われる地区大会もあるので、そこでの問題は現状でも心配がないとはいえない」
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対策が“別の問題”を生むことも
■部活・体育・プール(301票・262票・94票)
甲子園以外の“学校関連の運動”も当然ながら多くの声を集めた。
「夏の部活。もはや拷問のような暑さ。命懸けでやるものではないと思う」(42歳・男性)、「屋外体育。義務的なもの、不参加により不利が生じる類いのものは、猛暑なら不参加が不利とならずに中止できるような制度を整えるべき」(43歳・男性)
“当事者”と思われる10代からは切実な声が。
「体育は屋外種目が中心である必要はないのに、教師は屋外種目を積極的に行ってるから」(17歳・男性)
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判断基準として定着してきたのが暑さ指数(WBGT)だ。
「気温だけでなく、湿度や日射・輻射熱も加味した指標です。環境省と文部科学省が作成した基準で、WBGT31以上は“運動は原則中止”。ただ、“原則”なので正しく運用されているかというと学校ごとに差は大きいですし、“代替として何をするか”という負担も」(社会部記者)
また、対策が“別の問題”を生むことは世の中、多々あり……。
「子が入っている部活は、炎天下を回避するため朝6時からスタートすることになって大変」(49歳・女性)
暑さを避けるための早朝練習という対策が、新たな負担にもなっている。
■スーツ・ネクタイ着用(236票)
こちらは着用している自身が感じる不快ではなく、他者への心配として語られる声が多かった。これは実際に着用を強いられている側は「仕方ない」と諦めている証左なのか。
「スーツ・ネクタイ着用は見ているこっちも暑くなる。知らない人でも心配になるぐらい異常だから」(43歳・男性)、「女性のストッキングは暑さと汗で蒸れて不快。男性も見栄えよりも健康面や衛生面を重視するべき。すごく臭う人もいるので……」(22歳・女性)
制度としてのクールビズはすでに終わっている。環境省が'05年から発表していた実施期間(5月1日〜9月30日)の設定は'20年を最後に廃止され、各自の判断に委ねられた。結果として、業界・企業ごとに差が見られるようだ。
「かなり前から行政や企業で緩和されているが、古い考えのところではまだ残っている。もう令和時代、やめるべき」(40歳・男性)
嫌なのは暑さでなく同調圧力・古い風習
■夏のマラソン・駅伝(202票)
「炎天下でやる意味がわからない。秋とか涼しい季節に行ったほうが選手や応援者にとっても快適でよい。マラソンなどは夏に実施されるオリンピックを見据えてのことと思えるが、オリンピックも商業化の感が強い」(76歳・女性)
ちなみにこの“真夏のマラソン”を選んだ人の中の1割ほどが『24時間テレビ』(のチャリティーマラソン)を理由としていた。「要らない」「何のために走っているのかいまだにわからない」などなど……。
「今年のランナーは星野真里さんでしたが、ゴール目前に動画配信者が乱入する事態に。同様の事件は、'22年の兼近大樹さん、'23年のヒロミさんがランナーだった際にも起こっています。'06年にアンガールズさんがランナーだった際、同行していたスタッフが、沿道で応援していた一般の方を恫喝していたことが映像で映り、大きく批判されたので、“厳しい管理”を躊躇しているのかもしれません」(芸能記者)
■町内会の清掃(118票)/お中元(122票)
この2項目には、ほかとは違う特徴がある。不満の主役は暑さではない。
「町内会の草刈りなど、真夏の炎天下での行事。同調圧力がすごくて不愉快」(69歳・女性)、「夏は草取りなんかしても、またすぐ生えてくるので、町内会の草むしりなど意味がない」(59歳・男性)
お中元にいたっては、理由記述にて、暑さへの言及はほぼ皆無。
「お中元。いつまでやってんだよこんな風習。理由? 互いに負担」(47歳・男性)、「お中元は、一度始めたらやめられず、費用的にも負担と感じる」(50歳・男性)
■墓参り(67票)
先祖を供養する古くからの文化に一定の票が入る(全体14位)のは悲しいことだが、理由は“暑さ”。
「炎天下に高齢者が行くことが多く、普通に危険」(44歳・女性)
「お盆は時期をずらして行ってもいいのではないか」(55歳・女性)
「見直すべき」理由が暑さのもの、そうでないもの。「仕方ない」「なんとなく続いている」ではなく、今一度、見直したい。
※インターネットアンケートサイト「Freeasy」にて9月上旬、全国の男女1000人を対象に選択形式で実施
週刊女性2026年9月29日・10月6日号

