今度は“ディスプレイなし”のAIグラス、「Rokid Ai Glasses Style」を試す

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2026年09月22日 12:41  ITmedia NEWS

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Rokid Ai Glasses Style、 トランスペアレントグレーモデル

 AIグラスはAIをウェアラブルにするというタイプの製品群で、レンズ部に仕込まれたディスプレイがポイントなのは事実だが、ディスプレイなしで、音声を中心にやり取りする製品も存在する。日本で知名度が高いRay-Ban Metaもこのタイプだ。


【その他の画像】


 AIグラスはハードウェアの機能実装でいくつかの組み合わせがあるので、一度ここで整理しておきたい。


 まずAIグラスは人間からのコマンドを音声で受け取るのが前提なので、コマンド入力装置としてマイクは必須となっている。一方AIからの反応を返すものとして、スピーカーかディスプレイのどちらかは必須となる。両方搭載するモデルもある。


 カメラに関しては必須とは言えないのでオプション扱いではあるが、単に写真を撮るために搭載されているのではなく、目の前にあるものを認識して読み上げる、翻訳する、サマリーにまとめるなどの機能が使える。


 7月10日より一般発売が開始された「Rokid スマートAIグラス」は、カメラもディスプレイもスピーカーも搭載する、日本では数少ないいわゆる全部入りモデルだが、同じRokidから早くもディスプレイなし・スピーカーあり・カメラありのモデル「Rokid Ai Glasses Style」が追加された。価格は6万4990円と、全部入りモデルよりもだいぶ安くなっている。


 9月1日から既に先行予約販売は行われており、予約特典として専用ポータブル充電ケース(通常1万2990円)が無償進呈となっていた。9月15日の発売から9月30日までは発売記念特典として、調光レンズ(通常1万999円)が無償進呈される。


 今回は「Rokid Ai Glasses Style」と調光レンズをお借りしているので、こちらを試してみたい。


●「ディスプレイなし」にメリットはあるか


 文字を表示するディスプレイ内蔵のレンズは、特殊構造なので交換ができない。度付きレンズやサングラスのような調光機能を追加するには、ディスプレイの前か後ろかいずれかに追加で取り付けることになる。当然その分だけ重量が増すので、装着感が重たくなる。


 一方ディスプレイなしのAIグラスは、レンズ部分が交換可能なので、ここを外して度付きレンズに交換したり、調光レンズに交換できる。Rokidが提供する交換レンズは、自分で既存レンズを外して、はめ替えるという仕組みになっている。


 交換方法は動画で提供されている。外すときには、まずメガネの眉間に近い部分を内側から外側に向かって押してやると、外れやすいようだ。1カ所外れれば全体が簡単に外れる。


 レンズをはめ込む時は、外すのと逆方向、メガネの外側から内側へ向かってはめ込むことになる。まずレンズの上側からはめ込んだのち、メガネの下の縁の方をはめ込んでいくと、うまくいくようだ。レンズの下の縁の方が柔らかいからだ。


 ただしかなり堅いので、はめ込むにはかなりの力がいる。レンズはプラスチックなので簡単に割れることはないと思うが、メガネの方を壊してしまわないよう、注意が必要だ。特にヒンジ部分に力が加わって、折ってしまわないように注意する必要がある。


 筆者は片側はなんとかはめ込めたものの、もう片方をはめ込むには力が足りなかったので、メガネクリーナーを間に挟んでラジオペンチを使ってはめ込む必要があった。自分でやるのは難しいという人もいそうだ。


 調光レンズは、今回はグリーンをお借りしているが、光量が少ない時は透明だ。曇天や雨天の時も屋外では反応せず、透明のままである。またLEDライトのような光源を近づけても反応しない。ある程度太陽の紫外線を受けないと変色しないものと思われる。なお変色しなくてもUVA・UVBを99%以上カットするので、目を守る機能は常時動いている。


 グラスの本体重量は38.5gだが、これはレンズなしのフレーム部だけの重量だ。レンズを入れると、実測45g程度である。度付きレンズは度数や材質によって厚みや重量等も変わるので、これより重くなる可能性がある。


 ディスプレイがないので、AIアシスタントに音声で問い合わせた結果は、音声で返ってくる。こうしたやり方は、既にスマートスピーカーでおなじみだろう。AIアシスタントは、ChatGPTかGemini、または「自動」が選択できる。


 なおリアルタイム翻訳にはMicrosoft AI 翻訳エンジンを採用しており、オンラインでは最大76言語に対応する。言語データをスマホにダウンロードすれば、主要6言語はオフラインでも使える。


 リアルタイム翻訳で使用する場合、集音シーンとして「授業・映画」と「対面対話」から選択する。「授業・映画」では周囲360度の音声を拾うが、「対面対話」では正面からの音しか拾わないので、話者を正面に捉える必要がある。周囲が騒がしい中で特定の人の声だけを認識させたい場合には、「対面対話」へ切り替えが必要だ。


 カメラを搭載しているので、目の前にあるものを解説したり、書類のサマリーを音声で伝えたりといったことができる。もちろん写真撮影や動画撮影もできる。ただし動画は連続で最大10分までである。


●カメラ、マイク、スピーカー性能


 AIグラスのカメラについては賛否あるところだが、目の前にあるものや書類などを読み上げてくれる機能はかなり有用だと感じる。例えば老眼の人は手元の書類を読むには老眼鏡が必要だが、AIグラスに文字を読み上げてもらえば、老眼鏡の代わりになる。試しにいただいた名刺の電話番号を読み上げてもらったが、メガネから30cmほど離した位置に置いても、正確に読み上げてくれた。


 写真撮影に関しては、元々センサーが縦長についているので、縦写真となる。解像度や発色、ホワイトバランスも問題ないが、基本的にはノーファインダー撮影になるので、スマホに画像転送してみるまでは何が撮れているのかわからない。構図よりもシャッターチャンスに重点を置いた撮影になるだろう。


 動画撮影は最大10分しか撮れないが、自転車に乗った状態で撮影してみたところ、スタビライズも十分で、かなり滑らかに撮影することができた。最大サイズの2400×1800ピクセルで撮影してみたが、ビットレートは10Mbps程度なので、細かい部分はブロックノイズが乗る。撮影動画はグラス内の32GB内蔵メモリーに収録されるが、それぐらい容量があればもう少しビットレートが高くても収録できそうだ。


スタビライズは十分だが、もう少しビットレートが欲しい


 今後はAIグラスも、内蔵メモリー容量で差別化されたり、microSDカードが挿せるようになるのかもしれない。


 Rokidの読み上げ音声は、デフォルトではふんわり系女子のようなしゃべり方で、特徴がある。若干訛りというか、アクセントにおかしなところもあるが、この声のファンも多い。男性にも切り替えられるが、アクセントやしゃべり方は似ている。


ゆるーい感じのお姉さんボイスがデフォルト


 翻訳を試してみた。ソースはDJIのOsmo 360 IIのマニュアル動画で、言語は中国語である。翻訳モードはMicrosoft AI 翻訳エンジンに変わるので、読み上げ音声のキャラクターも変わる。翻訳は概ね正確で、意味も通じる。しゃべりの音声と翻訳音声が同時に聞こえてくるのは、いわゆる同時通訳を聞いている感覚だ。サンプルの音声はわかりやすいよう右を原語、左を日本語に振り分けているが、実際にはセンターで混じって聞こえてくる。


リアルタイム翻訳の例


 日本人は昔から字幕に慣れているので、翻訳に関してはディスプレイで文字を表示した方が理解しやすい感じがする。


 内蔵スピーカーを利用して、音楽を聞くこともできる。音質としてはオープン型特有の広がり感が強く、開放的な音場だ。低音があまり出ないが、それはほとんどのメガネ型オーディオデバイス共通の課題である。


 音楽を聞きながらでもボイスコマンドは認識する。AIと会話している間は音楽がBGMレベルに落ちるので、実用上は困ることはない。


●現状の課題は何か


 メガネフレームとしてはブラック、トランスペアレントグレーの2タイプがあるが、サイズバリエーションはなく、1サイズである。今回はトランスペアレントグレーをお借りしているが、先に発売されたRokid スマートAIグラスよりもレンズ部分が大きいため、かなり大きいメガネに見える。


 また鼻あてがフレーム一体となっており、レンズ面が顔に近い。このため、筆者の顔にはテンプル部が後ろに余ってしまう状態となり、ずり落ちやすい。レンズ部の大きさと相まって、顔のサイズよりもかなりデカいメガネをかけているような感じになる。


 メガネとして、こうしたデザインを好んで購入する人は少ないだろう。まるでパーティーグッズにある変装用メガネのようで、ワールドワイドで受け入れられるとはあまり思えない。Metaも同様のディスプレイなしAIグラスを積極的に展開しているが、フレームデザインを多種多様に展開しているのとは対照的で、今後AIグラスは、機能がよくてもフレームデザインが原因で選ばれないというケースも出てくるだろう。


 音声のみのAIグラスは、音声読み上げ精度が重要になる。Rokidの音声読み上げは、結構音訓の読み間違いが多い印象だ。情報はクラウドのAIからテキストで送られてきて、スマホ上のアプリで音声化し、それをグラスに送っているものと思われる。スマホアプリ上の読み上げ精度に難があるようだ。特にStyleの場合はディスプレイがない分、音声が頼りなので、ここが読み間違えていると正確に情報が聞き取れない。


音声対応例。漢字の読み間違えが多く、意味がわからないところがある


 ナビゲーション機能としては、Google マップと連携し、音声案内でルート案内をしてくれる。渋谷駅周辺で試してみたが、周囲が騒がしくてナビの音声がよく聞き取れなかった。このあたりがオープンイヤー型スピーカーの課題だろう。


 ディスプレイ付きRokid スマートAIグラスでは簡易的な地図も表示され、進行方向が正しいかが確認できた。一方音声のみのルート案内は、「北へ進みます」と言われてもどっちが北なのかわからず、結局はスマホで地図を見るしかない。音声のみのルート案内は、進行方向が正しいかビーコン音で示すなどの少し工夫が必要だろうが、これはGoogle マップがどう対応するかにかかっている。


 会議メモやノートなどの機能は、音声を録音してAIが文字起こししてくれる機能である。日本語の文字起こしは、句読点が入ったり入らなかったりするので多少読みづらいが、概ね正確に書き起こしできているようだ。


 一方で要約機能の方は、これまで数回試した結果、日本語での要約は「失敗しました」として、一度もうまく機能していないし、一度失敗するとリトライもできない。一方英語のスピーチに関しては要約できているので、ここは日本語の対応待ちになっているようだ。


 現状では、機能的にできることと、実際に日本語環境で動くところがまだ完全に一致していない印象がある。ディスプレイなしAIグラスはMetaの存在が大きく、一番競争が激しいところゆえに、日本語音声処理が勝負の分かれ目になるだろう。



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