Beats、 完全ワイヤレスヘッドホン「Beats 360」を発表 - ブランドとしての方向転換を示すアイテム

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2026年09月22日 23:00  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
Beatsは、 完全ワイヤレスヘッドホン「Beats 360」を発表した。発売は2026年9月24日で価格は59,800円。本製品は、本体とイヤークッションおよびヘッドバンドクッションが分離できるようになっており、それらをセットにした「クッションキット」も同時発売となる(価格:8,900円)。


発売に先立って、プレス向けに製品を紹介する「Exclusive Beats Pre-Briefing | Tokyo」が実施された。登壇したAppleのハードウェアエンジニアリング/オペレーション担当ヴァイスプレジデントであるマシュー・コステロによれば、ジミー・アイオヴィンとドクター・ドレーがBeatsを設立して今年で20周年を迎えたそうだ(Beatsの10周年モデルの発売は2018年で、それから数えると18年目のはずだが、そう発言。創立が2006年で、初の製品「Beats Studio」の登場が2008年ということかもしれない)。BeatsがAppleの一員となって、そこからかなり変化があったそうだ。Beatsがブランドの物語を綴っていく、そのアイデンティティは変わらないのであるが、Appleのエンジニアリングやシステムの機能を活用できる点は大きく変わったとのことである。


20年の歴史の中で、「Beats Studio」はブランドにとって長らくアイコンと言えるアイテムであったが、そこからどう進化していくのかというところが肝になっていくと続け、その中で、オーバーイヤーヘッドホンのカテゴリーの使われ方というのが、以前と比べると変化していることを明かした。これまでオーバーイヤーヘッドホンは、飛行機の中であるとか、音楽をしっかり聴き込みたいという時に使われていたが、最近では、アクティブなライフスタイルの中に溶け込んでいるという。つまり、ワークアウトやエクササイズなどのシーンでということだ。そうしたニーズに応えるべく投入されるのが、「Beats 360」というわけである。



そこで今回取り入れたのは、スポーツシューズにインスパイアされたアイディアである。本製品の最大の特徴は、付け替え可能なイヤークッションとヘッドバンドクッションを採用し、スタイルやシーン、気分に合わせて、カラーや素材の異なるクッションでカスタマイズできる点であるが、それらに、スポーツシューズの持つフィット感だとか、快適さ、機動性、長時間の着用に耐えうる軽量さ、耐水性能や、洗っても外見が維持できるといった特徴を組み込んだのだ。また、Beatsの調査によれば、ユーザーのカスタマイズに対する非常に強い要望があることが分かり、中でもクッションを交換できるヘッドホンに特に高い関心が見られたとのことである。


クッションには、上質なメモリーフォームと通気性に優れたニット素材を採用し、軽やかな着け心地を実現したPerformance Knitと、「Beats Studio Pro」や「Beats Solo 4」と同じ素材のレザーを採用したUltraPlushの2種を用意。製品には、本体と同色のPerformance Knit クッションが付属する(ブラック、クラウド、ピンク、スカイの4色)。イヤークッションとヘッドバンドクッションをセットにした「クッションキット」は、Performance Knitがブラック、クラウド、ピンク、スカイ、ネイビー、ボルトの6色、UltraPlushでは ブラックとクラウドの2色を用意する。Performance Knitは、ダイヤモンドニット構造の繊維を採用し、36本の高強度マイクロファイバーを使用。耐久性と長期間使用できるレジリエンスを実現し、フィットネス時の安定性を追求した設計で、さまざまなワークアウトにも対応する。



イヤークッションは音響を考慮した形状で、耳全体を心地よく包み込み、最適な密閉性を実現。遮音性が高く、豊かで臨場感あふれるサウンドを届ける。デザインをまとめるヘッドバンドには、バランスのとれたフィット感を実現するために一新した構造を採用。ワイヤレスを前提とした設計にすることで、ヘッドバンド内部のスペースに余裕が生まれ、ケーブル管理ではなく、快適さそのものを追求できたというこれにより、重さ、バランス、側圧、ヘッドバンドのカーブ形状、クッションの密度、可動域といった要素を最適化し、使用上の快適さをしたとのことである。イヤークッションについては、従来製品で耐久性に問題がないとは言えなかった面があり、ボロボロになってしまった場合、修理対応となっていたので、自分で交換できるというのは、ユーザーにとっては大きなメリットであると評価できる。



ワークアウト、エクササイズ向けということで、本体は、IPX4等級の耐汗耐水性能を装備。リアアコースティックチャンバーなど、先進的な音響設計と内部の電子アーキテクチャにより、優れた耐久性を実現し、湿気や雨、暑さに耐え得る仕様で、実際の環境でも性能を損なうことなく利用できるようである。



サウンド面では、専用のアコースティックプラットフォームを中心に、新しい音響構造と本製品専用に設計されたドライバーが組み合わされている。各ドライバーに高感度な3層ダイアフラムとデュアルネオジム磁石を採用し、歪みを抑えながら、パワフルな低音と音域全体にわたる緻密なサウンドを実現する。また、アクティブノイズキャンセリングテクノロジー(ANC)は、周囲の音を遮断するアダプティブ型のシステムで、これまで以上にリスニングに集中できる。外部音取り込みモードでは、必要な時に周囲の状況を把握できる。アダプティブイコライゼーションは、リスニング中の装着状態に応じて継続的に周波数をダイナミックに調整し、クリアで安定した、一人ひとりに合わせたサウンド体験を提供。パーソナライズされた空間オーディオとダイナミックヘッドトラッキング、Dolby Atomosに加え、左イヤーカップに内蔵された加速度センサーとジャイロスコープが頭の動きを継続的にトラッキングする。なお、パーソナライズされた空間オーディオとダイナミックヘッドトラッキングを利用するには、対応するハードウェアとソフトウェアが必要となる。パーソナライズされた空間オーディオのためのパーソナルプロファイルを作成するには、TrueDepthカメラを搭載したiPhoneが必須となり、他のデバイスでは利用できないのでご留意いただきたい。



本体には、Beats独自のチップを搭載し、Appleエコシステムとも Androidエコシステムともシームレスに連係する。また、Class 1 Bluetooth 5.3により、より広い通信範囲を実現する。Apple製品ユーザーは、ワンタッチペアリング、音声アシストのSiri、デバイス間の自動切り替え、オーディオ共有、空間オーディオ対応のFaceTime、先述したパーソナライズされた空間オーディオとダイナミックヘッドトラッキング、ネットワーク位置情報に対応した「探す」機能を利用できる。Androidユーザーは、音声の切り替え、Fast Pair、Find Hub、その他の連係機能により、スムーズで一体感のある体験を得られる。

左右のイヤーカップにオンデバイスコントロールを配置。右側には音量調節ボタンと音楽の再生や通話に使える再生/一時停止ボタン、左側には電源ボタンとリスニングモード専用ボタンを備えるが、ボタンの操作割り当ては、iOSの「設定」 やAndroid用のBeatsアプリで、好みに合わせてカスタマイズ可能となっている。



デジタルMEMSマイクは計9基組み込まれており、 そのうち8つをアクティブノイズキャンセリング、3つを集音に使用し、2タイプの用途を共有することによって高いSN比とクリアな集音を実現する。通話中は、音声専用のビームフォーミングマイクとフィードフォワード用のマイクが連係してユーザーの声を認識し、周りの雑音を低減。より強い信号が得られる場合は、追加のマイクを活用し、通話の明瞭さをリアルタイムで最適化する。


バッテリーは、ANCと外部音取り込みモードをオフにし、アダプティブイコライゼーションを有効にした場合は最大32時間、ANCとパーソナライズされた空間オーディオをオンにした場合も最大32時間の再生が可能。急速充電「Fast Fuel機能」も用意し、USB-Cケーブルを使用した5分間の充電で最大1時間の再生が行える。


イベントの冒頭、Beatsブランドの物語を綴っていく、そのアイデンティティは変わらないという発言があったが、果たしてそうだろうか。この「Beats 360」は、ブランドとしての方向転換を図っているように感じられないだろうか。と言うのも、以前のBeatsは、この製品は誰向けに作られているのか?といった質問を投げても、「よりクオリティの高い音を、より多くの人に楽しんで欲しい」と返答し、特定のユーザー向けにプロダクトを提供する姿勢は見せなかった。しかしながら、本製品は、ワークアウトやエクササイズのシーン向けに作られているのは明らかで、かつ、ワイヤレスでオーディオを聴く人だけに向けられている。オーバーイヤーヘッドホンのカテゴリーの使われ方というのが、以前と比べると変化しているとは言うが、穿った見方をすると、実際のところはそういった方向に誘導したいのでは?というところである。


間違いなく想定されていないのは、プロフェッショナルな音の現場での使用である。レコーディングスタジオやMAスタジオでは、ワイヤードの接続が常識で、ワイヤレスでの作業は、それ向けのソースのチェック用以外にはまず無いと言える。「Beats Studio Pro」や「Beats Solo 4」には、アナログの3.5mm端子が残っていて、USB-Cケーブルとの接続で、Apple Logic ProなどのDAWの出力先としても利用できたのだが、本製品では、それらの機能が省かれている。例えば、新幹線で移動中、届いたデータをチェックするといったことが、本製品ではできないのだ。



製品名に「360」を冠してはいるものの、実際のところは全包囲型のプロダクトではなく、最大公約数に向けて作られているのである。この最大公約数というアプローチは、プロモーションにケンダル・ジェンナーを起用している点でも明白である。これまでは、例えば写真家のマリポールなど、エッジの効いた人物を起用するケースが多かったが、ケンダル・ジェンナーの起用は、もうエッジには立ちませんと宣言しているようなものである。また、かつては、新製品のプロモーションで、著名なミュージシャン/DJをわざわざ海外から呼んでクラブイベントを実施していたのだが、それも開催されなくなって久しい。こういった瑣末な事柄にも、エッジには立たないという方向転換の足跡が見えるのだ。



創業時のメンバー、ジミー・アイオヴィンとドクター・ドレー、ルーク・ウッドがいなくなった時点で、BeatsはBeatsであることからの脱却を図っていて、言ってみれば、テセウスの船状態で航行を続けているのであるが、あまりこういうことを書くと、「ジョブズなら許さないおじさん/おばさん」と同じになってしまうのでこの辺で切り上げよう。



ここまで、「音質」に対しては殆ど言及してこなかったが、あまり音質云々について気にするプロダクトではないように思える。極端なところ、ユーザーターゲットは「音楽なんか鳴ってりゃいい」くらいの人々だからだ(一応お伝えしておくと、Beatsの荒々しさより、Apple製品の繊細さがウリであるようには感じられる)。それより、自分の好みにカスタマイズできる、お洒落!最高のファッションアイテム!!と評価すべきプロダクトなのである。もしかしたら、イヤークッションとヘッドバンドクッションの色を変えると、気分が変わって音も変わるよ、カラフル!くらいなレビューが出てきても不思議でない製品なのだ。音より圧倒的にルックス重視という向きにはピッタリ。音楽/オーディオ媒体でなく、ファッション媒体を読んでいる人、もちろんワークアウトアウトやエクササイズに勤しむ人、アスリートにオススメしたいプロダクトである。

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