日高屋と幸楽苑、なぜ好調? 「ちょい飲み」と「ロードサイド」、似た者同士でも道は別

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2026年09月25日 07:21  ITmedia ビジネスオンライン

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日高屋と幸楽苑、なぜ好調?

 外食チェーンの日高屋と幸楽苑が堅調に成長を続けている。


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 日高屋を運営するハイデイ日高は、2026年2月期の売上高、営業利益ともに過去最高を更新。今年3〜8月の月別客数、客単価は、既存店だけで見ても、全ての月で前年同月を上回っており、3年連続の最高益更新も視野に入る。


 幸楽苑は新型コロナウイルスの影響で業績が落ち込み、2023年3月期に28億円の最終赤字を計上。その後、創業者の新井田傳氏が社長に復帰してから、経営改革を推し進め、回復軌道に乗せている。


 ハイデイ日高は1973年に、現在のさいたま市に中華料理店「来々軒」としてスタートし、その後、首都圏を中心に472店を展開している。一方の幸楽苑は1954年、福島県会津若松市で「味よし食堂」として開店し、現在は首都圏や東北地方を中心に357店を運営している。


 両社は一見すると、いずれも低価格帯を武器に、中華料理やラーメンを提供するよく似たチェーン店だが、そろって好調な背景には、どのような理由があるのだろうか。それぞれの事業モデルや成長戦略を踏まえながら、好調な要因を見ていきたい。


●両社の決算をおさらい


 まずは両社の直近の決算から確認したい。


 ハイデイ日高の2026年2月期の売上高は622億円(前年同期比11.9%増)、営業利益は65億円(同19.4%増)となった。同社は売上高が伸長した要因について、


・新店の売り上げが好調


・既存店の客数が増加


・キャッシュレス関連キャンペーンやドリンク販促が好調


・コロナ禍で短縮した営業時間の延長


 などを挙げている。営業利益については、食材価格の上昇による原価率の増加や、社員増やベースアップに伴う人件費の増加分を増収で吸収し、前年から約11億円の増益となった。


 売上高に占める営業利益の割合は10.6%。売上高で業界2位の日高屋は、1位の王将フードサービス(2026年3月期:8.9%)を上回っている。さらに、外食チェーン大手のすかいらーくHD(2025年12月期:6.5%)やゼンショーHD(2026年3月期:6.4%)と比べても高い。


 一方、幸楽苑の2026年3月期の売上高は294億円(同5.9%増)、営業利益は15億円(同42.5%増)となった(※)。


(※)幸楽苑は2024年10月に完全子会社を吸収合併したため、決算書上の前期実績には子会社の上期分が含まれていない。本記事では同社が公表する「連結していたと仮定した場合」の数値で比較している。


 好調な要因について、


・既存店の売り上げや客数が堅調に推移


・既存店のリニューアルや厨房機器の入れ替えによる生産性向上


・スポットや季節限定メニューによる販促が好調


 などを挙げている。売上高に占める営業利益の割合は5.1%。原材料の高騰や人件費の上昇分を客数増と自社工場生産による原価抑制で吸収。コロナ禍の大幅赤字を乗り越え、過去最高益だった2019年3月期の16億円に迫る水準まで回復している。


●両社の共通点


 両社の決算資料からは、業績好調を支える共通項が見えてくる。


(1)「自社工場」で低コストを実現


 1つめは、両社とも自社工場を持ち、食材の調達から物流までの機能を自社工場に集約した体制を敷いている点だ。


 日高屋は埼玉県・行田工場に製造機能を集約し、品質の向上や均一化を図っている。対する幸楽苑は、福島県・郡山工場と神奈川県・小田原工場の2拠点体制を築き、自社工場での製造機能を生かしたメニュー開発を進めている。


 自社工場を持つことで、店舗での調理や仕込み作業を減らし、人件費や教育コストを抑えられるほか、原材料が高騰しても原価をコントロールしやすい。こうした構造が、両社が強みとする低価格戦略を可能にしている。


(2)既存店リニューアルで客数を底上げ


 2つめは、両社とも既存店の改装・リニューアルに注力し、客数を順調に伸ばしている点だ。


 日高屋は年間25店舗、幸楽苑は同23店舗の改装を実施。いずれも新店だけでなく、既存店の改装・リニューアルによって客数を順調に伸ばしている


 今年に入ってからも、既存店の客数は順調に推移している。日高屋は、2026年3〜8月の上期累計で前期比2.6%増。幸楽苑は、同年4〜8月の累計で同7.5%増と高い集客力を見せている。


(3)営業時間を延長


 3つめは、日高屋がコロナ禍で短縮した営業時間を延長した点だ。幸楽苑もロードサイド店舗を中心に営業時間を延長し、収益増につなげている。


 これら以外に、好調なインバウンド消費に伴って外食需要が堅調に推移するほか、昨今は「空前のラーメンブーム」といわれるほど、ラーメン市場そのものが活況を呈しており、両社にとって追い風となっている。


 帝国データバンクによると、中華料理店も含めた「ラーメン店市場」は、2025年度の見込み値で過去最高の8855億円に達した。2027年度にも1兆円台に達する可能性があるという。


●似ているようで違う側面も


 日高屋と幸楽苑、両社は似ているようでいて異なる側面もある。


(1)ちょい飲みVS. ロードサイド


 1つめは業態の中身だ。2002年の開業以来「駅前の屋台」をコンセプトとしてきた日高屋は、首都圏の駅前を中心に出店し、仕事帰りの「ちょい飲み」需要を取り込んできた。そのため、アルコール飲料やおつまみなどの販売に強みを持つ。


 幸楽苑は、ロードサイドに積極的に出店し、店舗を「社会インフラ」と位置付けて、ファミリー層などを中心とした地域密着型の店舗運営を進めてきた。


(2)価格変更にも戦略の違い


 価格変更の戦略にも、両社の違いが表れている。日高屋は2024年12月、原材料価格やエネルギー価格の高騰を受けて、全体の7割に当たるメニューを10〜50円値上げした。看板商品「中華そば」は2002年の開業以来初めてとなる価格変更で、30円アップの420円となった。


 一方の幸楽苑は2023年10月、各社が値上げに踏み切る中、一部ラーメン商品を70円値下げしたほか、従来より80〜150円安くなる新たなセットメニューなどを出した。こうした“逆張り”戦略が奏功してか、2024年4月〜25年3月の既存店の客数は、年間累計で前期比11%増と大幅に伸びた。


 同社はその後、ラーメンなどの食事メニューは価格を据え置きしつつ、ソフトドリンクやアルコール飲料価格を段階的に上げるなど、メリハリを効かせた値上げ戦略を進めている。


(3)成長ステージの違い


 両社は成長ステージも異なる。日高屋は長期ビジョンで8年後に「売上高1000億円、営業利益率10%以上、店舗数は700店以上」を掲げている。


 対する幸楽苑は「2033年に500店舗」という中長期の目標を置いている。今年の事業テーマを「再生から進化へ」と掲げ、赤字からの脱却・再建を経て、回復・成長の安定軌道に乗せることを目指す。


 両社には、いわば「持続成長企業」と「V字回復企業」という違いが見て取れる。


●日高屋と幸楽苑、成長への次なる一手は?


 異なる業態、そして異なる成長ステージを歩む両社。さらなる店舗拡大に向けて、双方ともに動き出している。


 日高屋は2026年4月、新潟駅前に出店。関東圏以外への進出は、初めてとなった。この出店に際して、同社は外部企業と組んだフランチャイズ(FC)方式を初めて採用した。


 FC契約を結んだオーシャンシステム(新潟市)は、食品スーパーや企業向けランチサービス事業などを手掛けている。同社の物流網やセントラルキッチンを生かすことで、食材調達や調理のコストを抑えるという。


 ハイデイ日高の青野敬成社長は「関東1都6県に集中出店してきたわれわれにとって、新潟初出店はチャレンジであり、今後の当社の大きな成長につながる第一歩」と話す。同店は全国展開を見据えた布石となる。


 一方、「2033年に500店舗」を見据える幸楽苑は2026年1月、郡山工場、小田原工場に次ぐ3拠点目の自社工場建設に向けて、福島県郡山市と土地の売買契約を結んだ。2028年12月の稼働を予定している。


 さらに幸楽苑は、これまでロードサイドや大型ショッピングセンターのフードコートに出店してきたが、駅前への出店も検討し、新たな客層の開拓を進めるとしている。


 低価格帯の中華料理チェーンをめぐっては、王将フードサービスが東日本エリアへの出店を加速すると表明。今後、年間20店舗ペースで100店舗の出店を目指している。


 日高屋と幸楽苑、そこに王将が加わり、中華・ラーメンを巡る覇権争いは、これからますます過熱していきそうだ。


(濱川太一)



このニュースに関するつぶやき

  • 味はともかくラーメンなどの単価は低いから二次会とかでたまーに行きます。
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