
「週末くらいは、時間を気にせずゆっくり眠りたい……」そう思って、ついお昼近くまで眠ってしまうこともあるでしょう。一方で、起きた後「さすがに寝過ぎた」「貴重な休日を無駄にしてしまった」と罪悪感を覚えてしまうこともあるかもしれません。
実は休日の「寝だめ」に関して、驚くような研究結果が続々と発表されています。ストイックに早起きするよりも、賢く寝だめを取り入れることで、私たちが直面しやすい大きな健康リスクを避けられる可能性があるようです。
今回は、最新の睡眠研究から明らかになった「週末の寝だめ」の意外なメリットと、賢い「週末の正しい睡眠術」について分かりやすく解説していきます。
週末の「寝だめ」は、心と血管の健康を守ってくれる
気分が落ち込んだり、なんだかイライラしたり、食欲が湧かない、好きだった趣味が楽しくない、そして、何もやる気が出ない。そんな心の不調を感じることはありませんか? 実は、週末の寝だめがそんな「うつ」のリスクを減らしてくれるかもしれないのです。|
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ただし、注意したいのは「長ければ長いほどよい」というわけではない点です。1時間未満の寝だめや、逆に2時間を超える過度な寝だめをしたグループでは、明らかなリスクの低下は見られませんでした。つまり、平日の疲れを癒やすために、週末にいつもより1時間から2時間だけ長く眠ると、一番心の健康につながるというわけですね。
週末の寝だめは心のケアだけではありません。心臓や血管のケアにもつながるという研究もあります。2023年に発表された、アメリカの3400人以上の大人を対象にした大規模な研究では、週末の寝だめと、狭心症や脳卒中などの心血管疾患の関係が調査されました。
この研究では、平日の睡眠時間が6時間未満と短く、日頃から寝不足気味の人たちに注目しました。そして、日々の睡眠時間が6時間未満の人たちの中で、週末に2時間以上多く寝て睡眠を取り戻している人は、そうでない人に比べて心血管疾患になる割合が明らかに少ないことが分かったのです。つまり、心臓や血管の健康面からいうと、平日の睡眠時間が6時間未満と短い人は、週末は2時間多くたっぷり寝たほうがよいことが分かります。
週末の「寝だめ」は将来の物忘れ・認知症リスクの軽減にもつながる
さらに、もう一つ見逃せないのが脳の機能への影響です。いわゆる「物忘れ」や「認知機能の低下」のリスクですね。|
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もちろんこれは高齢者を対象とした研究ですが、脳の健康状態は日々の生活の積み重ねが大きく影響すると考えられます。しっかりと眠って脳を休ませるという行動は、今のうちから手軽に始められる、将来のための立派な予防策と言えますね。
以上の研究結果から、最も賢く週末の「寝だめ」を取り入れる方法をまとめると、忙しくて気分が落ち込みやすいなら休日は「1〜2時間」多く寝ること、平日の睡眠時間が6時間未満なら心臓や血管の健康を守るために「2時間」多く寝ること、そして「最近物忘れが増えた」と感じるなら認知症予防のために休日は「1〜2時間」多く寝ることがポイントです。
今まで「休みの日に寝坊するのは自分を甘やかしているみたいだ」と気に病んでいた方も、これからは少し見方が変わるのではないでしょうか。
睡眠学を専門とする筆者も、以前は仕事、家事や子育てがキャパオーバーだった週末は睡眠負債を抱えているにもかかわらず、ついつい自分へのご褒美に夜ふかししてしまい、結果的に昼前まで寝てしまうことがありました。ムダに休日を過ごしてしまったと自分を責めるばかりか体内時計が狂ってしまい、時差ボケ状態で月曜日を迎えたことが数えきれないほどありました。
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無理をして休みの朝も早く起きることにこだわるよりも、平日に足りていない睡眠を週末に補うことは、決して悪いことではありません。むしろ、我慢や特別な努力を必要としない、手軽にできる健康管理の一つと言えそうです。
おすすめの週末の「寝だめ」の実践方法は、平日の睡眠時間が短いと感じているなら、休日の朝は目覚まし時計をかけずにいつもより1〜2時間だけ長くベッドで過ごしてみることです。毎日の生活リズムを大きく崩さない範囲で、週末の朝は自分へのご褒美として、少しだけ長く甘い眠りを満喫してみてはいかがでしょうか。そのちょっとしたリラックスタイムが、今の心と、将来の体を守る最高の健康法になるかもしれませんよ。
秋谷 進プロフィール
小児神経学・児童精神科を専門とする小児科医・救急救命士。プライベートでは4児の父。子どもの心と脳に寄り添う豊富な臨床経験を活かし、幅広い医療情報を発信中。(文:秋谷 進(医師))

