
日本代表がワールドカップ後の初戦となるウルグアイとの親善試合に3−1で勝利した。
ワールドカップのラウンド32(決勝トーナメント1回戦)でブラジルに敗れて以来、日本代表が試合をするのは、およそ3カ月ぶり。森保一監督いわく、「活動期間が空くと、(新しいことよりも)ベースの部分をしっかりとやらないといけない」という事情もあり、久しぶりの試合では不安定な戦いぶりものぞかせたが、終わってみれば、後半アディショナルタイムの2ゴールで勝ち越した。
途中出場も含め、ワールドカップでの主力メンバーの多くがピッチに立った一戦は、スタジアムに足を運んだファンにとって、十分満足できるものになったのではないだろうか。
試合会場となった宮城スタジアム(キューアンドエースタジアムみやぎ)周辺は、試合前から黒山の人だかりだった。公式グッズの販売ブースであろうと、キッチンカーであろうと、ありとあらゆる店舗に長蛇の列ができ、歩いて進むのが難しいほどの状況になっていた。
宮城スタジアムで日本代表戦が行なわれるのは、2019年以来7年ぶり。隣県などからの来場者も含め、地元のサッカーファンにとっては、待ちに待った試合だったに違いない。
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個人的に言えば、日本代表が地方で試合をすることには、大賛成だ。
ワールドカップ予選などの公式戦は、どうしても首都圏(これまでの例で言えば、主に埼玉スタジアム)での開催が多くなるだけに、それ以外の試合は、できるだけ地方のファンに見てもらう機会になればいい。
ただ、日本代表戦にそうした興行的要素が強くなってくると、本来の長期的強化とは相いれない面が出てくる可能性があることにも気をつけなければならない。
日本代表の強化を語るうえで、選手個々の成長が必要であることは、すでに論じられて久しい。
個の成長とは、わかりやすく言えば、多くの選手がただヨーロッパに渡るだけではなく、よりレベルの高いリーグ、そのなかでもよりレベルの高いクラブでプレーするようになることだ。ハイレベルな環境に身を置くことが、個の成長を加速させることは間違いないだろう。
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そのためには、おそらく代表チーム側の協力も不可欠となる。
サッカー界では、FIFA(国際サッカー連盟)が国際試合を行なうための日程を事前に定めており、その期間の活動であれば、各国の代表チームはさまざまなクラブに所属する自国選手を招集できる権利(拘束力)を持つ。それゆえ、日本代表が日本で試合を行なうときも、ヨーロッパのクラブに所属する選手を帰国させることができるわけだ。
ただし、ヨーロッパから遠く離れた極東の地に、年に何度も呼び戻されることが、選手の負担になることも事実である。たとえば、イングランドのクラブに所属するスウェーデン代表の選手が、国際試合のために自国に戻るのとはわけが違うのである。
現在のサッカー界は、試合数過多が問題視されているが、皮肉にも"よりレベルの高いクラブでプレーする"選手になればなるほど、所属クラブと自国代表の両方で、その数が増えていくのだから厄介だ。
だからこそ、「個の成長=よりレベルの高いクラブでプレーすること」だとするならば、それを促すために、代表チーム側は選手個々のコンディションに配慮しなければならない。
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先のワールドカップでも、大会間近になって三笘薫をはじめ、主力選手が次々とケガに見舞われた。これは、たまたま運が悪かっただけ、と考えるべきではないだろう。
本当に個の成長が重要だと考えるなら、たとえ日本代表の主力選手であろうと、ときに代表招集を避け、所属クラブでのプレーに集中してもらうのも大切なことであるはずだ。
つまりは、日本代表が試合を行なうからといって、常にベストメンバーを集める必要はない、ということだ。
7年ぶりの宮城での日本代表戦では、後半18分、ワールドカップメンバーの上田綺世、久保建英、伊東純也、鈴木淳之介が同時投入されると、スタンドは大いに沸いた。
気持ちはわかる。
だが、たとえて言うなら「UEFAチャンピオンズリーグの準々決勝でレアル・マドリード相手に決勝ゴールを奪った上田が、所属クラブでの過密日程を考慮され、今回の活動では日本代表に招集されないことになった」――そんなことが当たり前になってこそ、日本代表は世界に近づけるのではないだろうか。
これからの4年間、さらに個の成長を加速させられるか、否か。
再スタートを切った日本代表の、そして日本サッカー協会の姿勢に注目したい。
浅田真樹●取材・文 text by Masaki Asada