
「全国の都道府県議会議員のなかで、過去5年間に育児休暇を取得したのがたった10人だったというのは、あまりに少ない数字です」
こう話すのは、兵庫県議会議員出身で現・衆議院議員の井戸まさえ氏(国民民主党)だ。
『読売新聞』(9月12日付)は、各議会事務局へのアンケート調査の結果を報じている。都道府県議約2600人中、子育て世代(20〜40歳代)は660人いるが、2021年1月〜2026年6月に育児休暇を取得した人は6府県10人で、男性9人、女性1人だったという。
都道府県議会の子育て世代の育休取得率は、わずか「1.5%」となり、同記事中にある《2025年度の男性の育休取得率(5人以上を雇用する事業所が対象)は、過去最高の50.9パーセント》という数値に比べても、大きな隔たりがある。
「地方議員は特別職の地方公務員にあたり、育児介護休業法という法律の適用外のため、各自治体、各議会ごとに育休に関する制度を作っています。それを実行性のあるものにしなければいけないはずの地方議員が、まったく使えていないに等しい結果で、大いに問題があります」(井戸議員、以下同)
|
|
|
|
井戸氏は、この「1.5%」という低すぎる育休取得率には「2つの側面がある」と分析する。
「ひとつは、制度を使いたくても使わせないような古い空気感や、同僚・先輩議員、あるいは支持者からのプレッシャーがあることです。
もうひとつは、地方議会は毎日フルタイム勤務しているわけではないので、制度として育休を申請しなくても、個人の裁量でやりくりして、自主的な育休を取っている人も一定数いるだろうと思われます」
地方議会において「制度を使いたくても使わせないような古い空気感」とはなにか?
5児の母である井戸氏は、自身が兵庫県議に初出馬した2003年当時のエピソードを明かす。
|
|
|
|
「当時は、4人目の子を出産して半年という、てんやわんやの状況での選挙戦でした。選挙事務所の窓際にベビーベッドを置いて、洗濯物も事務所内に干していたんです。
そうしたら、『政治の仕事をしているのに、中途半端に家事をして、洗濯物をそんなところに干すな』とか『家事もろくにできないのに、政治ができるわけない』などと散々言われました」
それらを男性、女性、年齢層など関係なく、何人もの人から言われ、「同じような内容の怪文書が出回ったこともありました」と話す。
「地域の会合に出ても『子どもにそんなご飯を食べさせているんだ?』『どんなメニューだ?』などと、根掘り葉掘り聞かれました」
このような誹謗中傷が何度も続いたり、怪文書が出回れば、「町全体の空気もその方向になびいてしまうという地方特有の怖さがある」と井戸氏。
|
|
|
|
「さらに、地元の有力者や長老議員ににらまれたら、一議員としてやりたい政策も一切できなくなってしまうというプレッシャーに耐えられなくなってしまいます。
すると、『育児休暇を取得しないほうが、むしろ面倒くさくない』という心理に追い込まれてしまう。
今回の調査結果は、私が県議だった約20年前と、地方議会の体質が変わっていないことの証左と言えるかもしれません」
一方で井戸氏が挙げる「個人の裁量で自主的な育休を取ることも可能」という側面は、地方議会のメリットでもあるという。
「1年365日中、地方議会の開催日数はおよそ100日前後です。残り約3分の2の期間は、スケジュールを自分で調整して活動することができるとも言えます。
つまり、制度に頼らずともフレックス感覚で子育てと仕事を両立できる機会があるということ。
本来、子育て世代が最も参画しやすい、活躍できるチャンスがあるのが、都道府県議会のはずです」
そのために必要なこととは何か?
「まずは、各都道府県議会で、育休の取得の実態、どんな理由で取得ゼロなのか、議員の内情や実態をキチンと調査・把握すべきです。
議会自体が子育てしやすい環境を体現することで、ひいては少子化対策や子育て政策の充実にもつながるのだと思います」
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2026 Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。