山本ゆりさんに料理が苦手な人も取り組めるようになるコツを聞きました! 料理が苦手な人が料理上手な人の頭の中をのぞいてみたらどう見える? もともと料理に苦手意識を抱いていたというイラストレーター兼マンガ家の池田暁子さん。発売中のコミックエッセイ『料理上手の頭ん中のぞいてみました!』では、SNSやテレビで大人気の山本ゆりさんや長谷川あかりさん、笠原将弘さん、藤井恵さんなど、数々の料理上手な方々に体当たり取材をした様子を描いています。
そのなかから、メディアで大活躍しながら3児の母として家事育児にも日々励んでいる山本ゆりさんから聞き出した、実際のところのご自宅での料理の様子や、初心者でも実践しやすい料理上手に近づくワザの一部をご紹介します。
◆小さい頃から食いしん坊でレシピ本もたくさん読んでました
――山本ゆりさんの著書で、日本一売れてるレシピ本シリーズ最新刊『syunkonカフェごはん8 読むとやる気が出る簡単絶品レシピ』(宝島社刊)の掲載レシピ数はなんと……257レシピ!
池田:あの……。そんなにたくさんいろいろ作らないとダメってこと……でしょうか。
山本:そんなこと全然思ってないです! たくさん載ってるのがプレッシャーになることもありますよね……。いろいろ作らなくていいし、毎日同じでもいいけど、いっぱい入れたほうがお得かなと思って、ついついどんどん。
池田:どんないきさつでレシピ本を作られるようになったんですか?
山本:私は小さい頃から食にすごく興味があって、レシピ本もめちゃくちゃたくさん読んでて……。レシピ本のアイデアや盛りつけを、ファッション誌を読むような感覚で見ていました。
山本:家に全然材料や調味料がなくて、お金もなかったので本のとおりには作れなくて、幼い頃からあるもの安いもので代用するようになってたんです。そんな自分でも作れるレシピブログを書いていたら、縁あって1冊目のレシピ本を出せることになりました。
◆もとがSNSだから料理をやらない人が見ても作れるレシピにしています
池田:私は……レシピ本って買っても買っても買っても買ってもうまく使いこなせなくて……。材料を見ると、あれこれ買ってこないと作れないものが多いし。
山本:ないわ! っていう食材や調味料が出てきがちですよね。
池田:あと、卵黄を3個分使いましょうとか。
山本:残った白身どうすんねん! みたいな。
池田:文字が多くて複雑そうなレシピは作る気にならないけど、かといって文字が少なくてカンタンそうなレシピでは上手な人しかおいしく作れないという……。
山本:すごくわかります!
――そんな山本ゆりさんのレシピの特徴は、まず「どこにでもある食材で」。
山本:両親が共働きで、平日の夕食は祖母が作っていました。なので、身近で手に入りやすい食材や調味料だけをキリよく使うことを意識しています。
――そして「だれでもできる(工程がシンプル。なのに文字がやたら多い)」――。
山本:いろんなレシピ本を見比べて…長いことやっていくなかでだんだんわかってきた必須じゃないところを徐々に減らしていって、今の簡単レシピになりました。小さい頃から料理にチャレンジしてたけど…よく失敗して。レシピを見て作った人が戸惑いそうなところに、フキダシなどで細かく説明を入れています。「ここの状態は不安になると思うけど合ってます」とか、「この時点でこの色になって、え? って思うけど、もうちょっと待っててください。絶対おいしくなりますから」とか。
池田:言われてみれば、文字がめちゃくちゃ多いですけど…読みやすいですね! それにものすごく親切丁寧!
山本:私の料理は、書いてあるとおりやっていけばできる、調理技術がいらないタイプの料理なんです。穴をたくさんあけてなにかをもみ込めばやわらかくなるとか。
池田:上手な人がサラッと書くレシピを使いこなすには、まず訓練して基本的な技術をひととおり身につけなければ! と思っていたのですが、ひとつひとつのレシピにその都度細かくコツが載ってて、よく読めば失敗しないのってとても助かるし、新しいのではと思います。
山本:もとがSNSだからかもしれません。料理をまったくやらない人がひとつのレシピだけを見ても作れるように、技術的なことを知らない前提で書いているので。
◆家族それぞれが食べるものも違うので栄養がとれればいい
池田:それにしても! こんなにたくさんレパートリーがあったら、一汁三菜組み立て放題ですね!
山本:いえ、うちは一汁三菜並べることはほとんどなくて……。たとえば夕食だったら……まずメインを考えて、あとは野菜の入った汁物とか。それと野菜ですね。野菜は料理っていうより食材って感じで……みんな手元で好きなものつけて食べてます。イケキョーさんのこの本(『池田暁子の必要十分料理』トランスビュー刊)でいうと…うちの普段の食生活は「1日1回・野菜をどっさり入れた袋麺またはパスタ(アカン気がする)」寄り、ブログに載せてる献立や盛りつけは撮影用で「1日3回・栄養バランスのとれた完璧な献立(そこまでやらんくていい気がする)」寄りです。
山本:家族は好き嫌いが多くて、夫も薬味が苦手なので、みそ汁の上のねぎとかなんなら私しかかけないので、撮影に使った料理からねぎだけどけて出したり。カレーのときはカレーだけドンッて出したり。「今週妙にやる気あるな」ってときはちゃんと作りますし、逆に買ってきたお総菜ばっかりになるときもあります。調理法も色合いも味のバランスも並べ方も正直なんでもよくて。ただ……食べるものさえ食べていれば、栄養を補えてればいいかなと思ってます。子どもたちがそれぞれ食べられる野菜が違うので……。
池田:工夫して食べさせたりされてますか?
山本:いいえ、無理に食べさせることはしてなくて、食べられるものを前においてます。長女のときは食べさせようとしてみたんですが、私もしんどいし、向こうもイライラするしで。無理に食べさせようとすると共倒れになるので……家族全員が同じものを食べなくても、それぞれが食べられるものから栄養をとれればいいかって考えてます。
◆「なにを食べるか」を決めてからどうやって食べるか決めています
山本:1食とか1日ずつでバランスをとるのは難しいので、1週間とか……1か月ぐらいでバランスがとれたらいいかなと思ってます。「最近野菜食べさせてないな」と思ったら、野菜がいっぱい入った汁を出したり。
池田:その日のメインはレパートリーのなかから「なにを作ろうかな?」と考えて決める感じですか?
山本:いいえ。「なにを食べるか」から決めてるっていうことに、イケキョーさんの過去の本を読んで気がつきました。
池田:私はずっと「なにを作るか」を決めてから材料をそろえなければいけないと思っていて……。難しすぎて立ち往生していました。料理の手際がよくないとレシピが無限にあって決められないし、レシピの材料をそろえたらそろえたで、半端に残る食材をうまく使いきれないし……。
山本:「なにを食べるか」を決めてから、それを「どうやって食べるか」を考えてます。「なにを食べるか」は、スーパーで目についた「食べたいもの」や、冷蔵庫で傷みかけてる「食べきらなきゃいけないもの」で決まってきます。
山本:食材の食べきり方はイケキョーさんと一緒で、お肉とか冷凍うどんとか、いつも使うレギュラーを冷凍しておいて、野菜などのゲストを必死で使いきっていく感じで。
山本:最終的に半端な野菜はごった煮にして、自分で食べてます。
池田:そう伺うと、なんだかホッとします!
――栄養さえ満たされていれば、巷にあふれるレシピや献立の立て方にとらわれすぎずに、ラクな気持ちで日々の食卓をまわしていけばいい、という山本ゆりさん。毎日の料理に困っている人こそ、気負わずにぜひ試してみてくださいね。
<漫画・イラスト:池田暁子 撮影:林紘輝>
【池田暁子】
通称・イケキョー。1969年、愛媛県出身。イラストレーター・マンガ家。『料理上手の頭ん中のぞいてみました!』(扶桑社)、『池田暁子の必要十分料理』(トランスビュー)、『片づけられない女のための こんどこそ!片づける技術』(文藝春秋)など多数の著書がある。X: @ikedakyoko