写真はイメージです―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!今回は、スマホを手放せず、仕事中でもSNSやマンガ、動画、ゲームなどを見続けてしまう33歳会社員からの相談。一日12時間以上スマホを見てしまうこともあるという彼女に、佐藤が勧めたのは――。
◆一日で12時間も、スマホを見ているときがあります
★相談者★Rin(ペンネーム)会社員 33歳 女性
私は完全なスマホ中毒です。5分、10分しか仕事の集中力が持ちません。すぐにスマホを触って、SNSを見たり、マンガを読んだり、動画を見たり、ゲームをしてしまいます。トイレでもベッドでもスマホを見続けてしまい、なかなか寝れません。週2日のリモートワークの日は、仕事よりもスマホを触っている時間が多いです(一日で12時間を超える日もあります)。スマホに支配された私の生活を変えるいい方法はないでしょうか?
◆佐藤優の回答
まず、あなたがスマホ依存の域に達しているかどうかについて、専門家に相談してみるといいでしょう。依存症の疑いがあるのならば、精神科や心療内科などの専門医療機関を受診して相談するといいと思います。スマホへの過度な依存には、さまざまな危険があります。高校の『倫理』の教科書には、こんな記述があります。
〈インターネットは、当初から数々の問題点もかかえていた。アクセスの匿名性を利用した詐欺や悪質商法、ポルノの流通、コンピューターウイルスによる被害まで、多くの問題がネット社会では多発していく。また、「炎上」とよばれるネット上での感情的な言い争いや個人への誹謗中傷、個人情報の流出、著作権の侵害なども頻繁に起こっていった。/これらのことの背景には、ネット社会がきわめて参入しやすく、だれもが気軽に、技術的・文化的リテラシーが十分でなくても簡単に発信者となれてしまうことも影響している。〉(『倫理』220頁)
あなたは相談文に「一日で12時間を超える日もあります」と記しています。このような状態が続けば、接する情報が著しく偏り、物事の見方にも影響が及ぶおそれがあります。検索サイトやSNSなどのアルゴリズムは、利用者の過去の閲覧履歴や検索履歴などに基づいて、表示する情報を選別しています。利用者が見たいであろう情報を推定し、それを優先的に表示する仕組みになっているのです。ですから、スマホを長時間使い続けていると、自分の関心に沿った情報ばかりに接するようになり、情報の偏りが強まります。
スマホ依存で困っている人に私は、ガラホへの切り替えを勧めています。スマホで時間を奪われやすいのは、電話やメールそのものではありません。SNS、YouTube、ゲーム、ショート動画などを、「少しだけ」のつもりで繰り返し開いてしまうことです。ガラホにすると、これらへのアクセスが大幅に不便になります。その一方で、電話やSMSなどの機能は残せます。つまり、スマホを使いたいのを我慢するのではなく、スマホを使わなくても済む環境に変えるという発想の転換が必要なのです。自己管理だけに頼る方法よりも徹底できると思います。PCと併用すれば、LINEやYouTubeも必要に応じて利用できます。
スマホに自分の行動を支配されているのならば、自分の意思だけでスマホを遠ざけようとするのではなく、スマホそのものを日常生活から物理的に遠ざける。そのくらい思い切った環境の変更を試してみる価値があると思います。
★今週の教訓……私はガラホへの変更を、お勧めしています
※今週の参考文献『倫理』竹内整一ほか 東京書籍
―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―
【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数