ブックオフは店を増やさず、ゲオは増やす 好調な2社の「売り手」の集め方

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2026年09月28日 06:20  ITmedia ビジネスオンライン

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ブックオフとゲオ、なぜ店を増やす・増やさない?

 ブックオフグループホールディングス(以下ブックオフ、神奈川県相模原市)の業績が好調だ。2026年5月期の売上高は1301億円、営業利益は44億円、経常利益は47億円と、いずれも2期連続で過去最高となった。


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 一方、ゲオホールディングス(以下、ゲオ)も伸びている。2026年3月期の売上高は4812億円と過去最高を記録し、その6割超をリユース商材(3006億円)が占める。ゲオといえばレンタル事業のイメージだったが、いまの主力は、2008年に子会社化した「セカンドストリート」を中心とするリユース事業だ。


 2027年3月期第1四半期(4〜6月)も営業利益が53億円と好調で、10月1日からは社名を「セカンドリテイリング」に変更し、祖業のレンタル事業からの転換を打ち出している。


 国内のリユース市場規模は、環境省の資料によると、2023年に3兆1227億円(前年比で7.8%増)と成長しており、中古品の「売り手」をめぐる競争は激しさを増している。そんな中で、両社はどう伸びているのか。決算とこれまでの歩みから、両社の違いを見ていく。


●売り場を広げて伸びるブックオフ


 ブックオフの国内事業の売上高は1126億円で、前期比8.0%増だった。けん引したのは、トレカ・ホビーと貴金属・腕時計・ブランドバッグだ。


 特に、トレカ市場が伸びており、日本玩具協会によると、2025年度のカードゲーム・トレーディングカードの市場規模は3384億円で前年度比11.9%増と玩具市場全体(1兆1664億円)の3割近くを占める。ブックオフでも、既存店のトレカ・ホビーの買取額は同22.4%増えた。


 売上構成比で見ると、トレカ・ホビーは前期の21.1%から23.4%に上がり、書籍(21.3%)を上回った。創業以来の主力だった書籍が、構成比で首位の座を譲った。


 とはいえ、書籍の売り上げが落ち込んだわけではなく、3.7%増えている。2025年の紙の出版物の推定販売金額は9647億円で前年比4.1%減(出版科学研究所)と新刊市場が縮む中でも伸びた。要因は、新刊の値上げに合わせて買取価格と販売価格を見直し、単価が上がったためだ。


 ただし、書籍の買取額は前期比2.8%減で、仕入高に占める構成比は13.2%。売上構成比では2位だが、買取では4位にとどまる。この差は、数年先の品ぞろえに影響する可能性がある。


 売り上げを構成する商品の変化もあり、ブックオフでは売り場の刷新を進めている。2026年5月期は、既存店71店を改装し、トレカやホビー、アニメグッズの売場を中心に増床した。新規出店した直営店6店のうち3店は、大型店の「BOOKOFF SUPER BAZAAR」だ。


 6月25日にオープンしたBOOKOFF SUPER BAZAAR豊中三国店(大阪府豊中市)を訪れてみると、720坪の店内入り口正面には衣料品、その両隣に本とブランド雑貨、奥にホビー、おもちゃやフィギュア、家電が配置されていた。トレカは最奥に位置し、対戦スペースが隣接。売り場の広さでいえば、本はいまも主役のひとつという印象だったが、「本のブックオフ」という旧来のイメージと異なるレイアウトと品ぞろえだった。


 国内ブックオフ事業は、戦略的な退店を進めたこともあり、直営店の数(366店)は2022年5月期末と同じだ。一方で、4年の間に売り場面積は8.7%広がり、1店舗当たりの売上高は35%増えた。店舗数ではなく、1店舗当たりの売り場を大きくし、商材を拡大して書籍以外の商材が稼ぎ頭へ変化している。


●「銀歯」まで買い取り。「個店を磨く」ブックオフ


 ブックオフは1990年、神奈川県相模原市に1号店を開いた。1994年に中古のCD・ビデオ、2000年にアパレルと、扱う商材を増やし、2009年には複数の商材を集めた大型店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」を始めた。


 取り扱う商材が増えているが、何を置くかは誰が決めているのか。同社は「個店を磨く」という考え方を掲げており、地域や客層に合わせて、店ごとに売り場をつくっている。


 その取り組みの成果は、品ぞろえに表れている。例えば、熱田国道1号店(名古屋市)は、プラモデルの売り場が充実し、茅ヶ崎駅北口店(神奈川県茅ヶ崎市)は、海から2キロという立地を生かし、サーフボードが並ぶ。BOOKOFF DCM上磯店(北海道北斗市)には、ミニ四駆のコースが設置されている。


 店ごとの違いは、商材だけではない。三宮センター街店(神戸市)では、客からの問い合わせをきっかけに銀歯の買取を始めたところ、開始から2カ月半で100個以上が持ち込まれたという。社長の堀内康隆氏は同社の採用サイトで、スタッフが売り場を磨いた結果、地域の客から「うちの地元のブックオフっておもしろいよね」と言われるようになったと語る。


 直近の出店にも、個店主義の考え方が見える。7月に開いたイオン吹田店(大阪府吹田市、約330坪)はホビー、トレカ、本、レコードの売り場を広げ、9月のイオン福岡東店(福岡県志免町、約270坪)はデジタル家電を強化した。同じく9月には、アパレルに特化した「BOOKOFF FASHION 武蔵境連雀通り店」(東京都武蔵野市)も開いた。


 中期経営方針の「本を中核商材に地域に合わせた商材拡張」とは、こうした積み重ねを指す。


●店を増やし続けるゲオ


 ゲオの2027年3月期第1四半期は、売上高が1250億円(前年同期比19.7%増)と伸びた。けん引したのは、衣料・服飾雑貨(350億円、同27.3%増)だ。同社は、新規出店で販売チャネルが広がったことに加え、夏物衣料の需要が前倒しになったことを理由に挙げる。


 ブランド品や時計などのラグジュアリー商材も、178億円(同95.2%増)とほぼ倍増した。訪日客の需要や中古時計の相場上昇が追い風となったが、売上総利益率は約10%で、衣料・服飾雑貨の64%を大きく下回る。ラグジュアリー商材の比重が高まったこともあり、全体の売上総利益率は1.0ポイント下がった。


 ブックオフと異なり、店舗数の変化が特徴的だ。リユース店の「セカンドストリート」は、2025年3月末の993店から、2026年6月末には1107店(うち海外158店)へ増えた。今期は国内100店、海外38店の出店を計画し、国内1000店の目標は当初より2年早い今期中の達成を見込む。


 レンタル店として出発した店舗ブランド「GEO」は、同じ期間に1054店から1022店に減った。同社はGEOを「成熟領域」と位置付け、出店よりも店舗のリニューアルなどで収益を高める方針を示す。


 ゲオは既存店の売上高を開示しておらず、1店舗当たりの伸びは分からない。それでも、衣料が伸びた理由に新規出店を挙げている点から、店舗数の拡大が売り上げの伸びを支える構図がうかがえる。


●「レンタル」から「リユース」へ


 ゲオの原点はビデオレンタルだ。1986年、創業者の遠藤結城氏が愛知県豊田市にレンタル店を開き、1989年から店舗の屋号に「GEO」を使い始めた。リユースにも早くから取り組み、1990年に中古CDの取り扱いを開始。1993年には古本、2000年には中古ゴルフ用品に手を広げた。


 衣料などを扱うリユースショップ「セカンドストリート」の運営会社を完全子会社化して以降、リユース事業を拡大する。2018年には、米国にセカンドストリートの海外1号店を出し、2026年6月末の海外店舗は158店に達している。


 一方、祖業のレンタルは縮小が続く。2026年3月期の売上高は251億円で、連結売上高の約5%にとどまる。2027年3月期第1四半期も前年同期比14.5%減と、8四半期続けて前年同期を下回った。


 こうした変化は社名にも表れる。同社は10月1日から創業40周年の節目に合わせ、社名を「セカンドリテイリング」に変更する。新社名は英語の「セカンドハンド(中古)」から着想したもので、リユースで世界のトップランナーを目指すとしている。レンタル店として生まれた会社は、40年をかけてリユースの会社に姿を変えた。


●カギは「売り手」の集め方


 ゲオは、リユース分野の競争が激しくなっているとした上で、商品の仕入れ(買取)の量と質の確保が業績に影響を与える可能性を指摘する。リユース店の品ぞろえは、客から買い取った商品で決まる。競合が増えて奪い合いになるのは、商品を買う客よりも、商品を売る客だ。


 では、ブックオフはどうやって商品を確保したのか。2026年5月期の既存店の仕入高は前期比10.2%増と、前期の0.4%増から大きく伸びた。ただ、買取を利用した客数は0.4%増とほぼ変わらない。売り手の数を増やしたのではなく、1人当たりの買取額を増やした形だ。


 1人当たりの買取額が伸びた背景には、店ごとの売り場づくりがあると考えられる。地域の需要に合わせて特定の商材の売り場を厚くすれば、「あの店はこのジャンルに強い」と認知され、その商材を売りたい人が集まりやすくなる。商材に詳しい店員がいれば、値付けもしやすくなる。こうした売り場の強さが、買取の強さにつながる構図だ。


 また、ブックオフは買取の入り口も広げてきた。24時間365日受け付ける買取ロッカー、査定が終わるとスマホに通知が届き店頭で待たずに済む「おまかせ買取」、コンビニなどへ持ち込んで発送する買取サービスは、利用件数が10万件を超えた。


 アプリには買取価格を事前に調べる機能があり、会員数は2026年5月末で1046万人に達した。2026年5月期は査定・買取管理システムを拡充し、価格管理機能も刷新している。


 ユーザーとの接点はブックオフ事業だけではない。百貨店などに入る買取窓口「hugall(ハグオール)」を中心とするプレミアムサービス事業は、仕入高が前期比123.4%と3年連続で過去最高を更新した。百貨店の外商部門や銀行・金融機関との提携を広げ、仕入高100億円を目標に掲げる。


 仕入高の伸びの大半は、トレカ・ホビーと、貴金属・腕時計・ブランドバッグの2つのジャンルによる。金の参考小売価格(田中貴金属工業、税抜きの月平均価格)は、2025年5月の1グラム当たり1万5349円から、2026年5月には2万3560円に上がっており、相場が上がれば持ち込まれる品の単価も上がる。


 ゲオもセカンドストリートを中心に出店を拡大し、売り手との接点を広げている。店の数が売り手を集める力になる。集め方は違っても、両社が競うのは「売り手」の獲得だ。


●「高単価」と「訪日客」


 両社が次の成長の柱として力を入れる分野は重なる。単価の高い商材と訪日客だ。


 ブックオフが育てるプレミアムサービス事業は、売上高が85億円(前期比18.8%増)に上り、2026年5月期末の54店舗から、今後は100店体制を目指す。貴金属やブランド品といった、一般の店頭で扱う商材より単価の高いジャンルを扱う。


 訪日客の取り込みも進む。2026年5月期の国内ブックオフ事業では、訪日客向けの売り上げが前期比25.6%伸びた。期中に直営店全店で免税対応を終えている。


 ゲオは9月18日、東京・銀座に「2nd STREET GINZA」をオープンした。セカンドストリートのブランド専門店として初の旗艦店で、売り場面積は約211坪、約5000点をそろえる。グループで高級時計などを扱うOKURAと連携して、査定に詳しいスタッフを置き、英語と中国語での接客にも対応する。


 高単価商材と訪日客の両方を狙う店だ。2027年3月期第1四半期のラグジュアリー商材の売上高は178億円と、前年同期から95.2%増えた。インバウンド需要や中古時計相場の上昇が追い風になったという。


 両社とも先の目標は大きい。ブックオフは、2028年5月期の目標に掲げていた経常利益50億円を、1年前倒しして2027年5月期に達成することを目指す。ゲオは2035年度にグループ売上高1兆円を掲げる。


 ブックオフは、本がトレカに抜かれた今も「BOOKOFF」の看板を掲げている。ゲオは、リユース企業として新たなスタートを切る。店舗数を大きく増やさず既存店を伸ばす会社と、店舗数を増やし続ける会社。両社の競争は、まだ続きそうだ。


(カワブチカズキ)



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