「開催中もリーダー募集」アジア大会トラブル続出!専門家が指摘する“電通離れ”とプロ不在のツケ

0

2026年09月29日 15:30  web女性自身

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

web女性自身

写真

9月19日に開幕した愛知・名古屋アジア競技大会で、運営をめぐるトラブルが相次いでいる。選手団が宿泊施設へのチェックインで長時間待たされたほか、韓国男子バスケットボール代表からは、宿泊施設のベッドが短い、トイレから水漏れしているといった不満が噴出。輸送でも、選手を乗せるバスが予定時刻に来ないなどの混乱が報じられた。



さらに男子ホッケーの韓国戦では、試合前に韓国国歌ではなく北朝鮮国歌が流れるという重大なミスまで起きた。なぜ、これほどトラブルが続くのか。「東京オリンピック・パラリンピック2020」をはじめ、大型イベントにおける広告代理店と行政の関係を長年取材してきた作家の本間龍さんは、「その背景の一つに、大会全体のオペレーションを統括するプロ集団の不在があるのではないか」と指摘する。



「組織委員会は国歌の取り違えなどについて『ヒューマンエラー』と説明していますが、ヒューマンエラーは起きることを前提に、それを防ぐ仕組みをつくるのが運営のプロです。



例えば2メートル級の選手がいるバスケットボールチームに小さなベッドを用意すれば問題になることは、少し考えれば分かる。そうした初歩的なミスが相次いでいること自体、経験を持った人が全体を見ていないことの表れではないでしょうか」



■東京五輪の談合事件で変わった「電通頼み」



本間さんによると、東京五輪では、組織委員会に100人を超える大手広告代理店・株式会社電通(以下、電通)の社員が出向するなど、電通が大会運営に深く関与していたという。しかし大会後、テスト大会や本大会の運営業務をめぐる入札談合事件が発覚。公正取引委員会は、電通や株式会社博報堂などが受注予定者を決めるなどして競争を実質的に制限していたと認定し、排除措置命令などを出した。



当時の報道によると、アジア大会でも当初、スポンサー集めなどを担う専任代理店候補が内定していたが、2023年2月に辞退。その後、組織委は従来の大手広告代理店1社に委ねる方式を見直した。組織委は辞退した企業名を明らかにしていないが、電通だったと報じられている。本間さんは、電通に頼らない大会を目指したこと自体が問題なのではないという。



「電通に頼らず、自分たちでやろうとした志そのものは悪くなかったと思います。ただ、電通の場合、実際の仕事をするさまざまなイベント会社を集め、全体を見る役割を担っていた。今回は業務がそれぞれの会社に分かれていて、大会全体のオペレーションを最終的に誰が仕切っているのかが見えてこないんです」





■3,700億円に膨らんだ大会経費、コスト削減に躍起



本間さんがもう一つの大きな要因として挙げるのが、行きすぎたコスト削減だ。報道によれば、アジアパラ大会の大会経費は、当初約1,000億円とされていた。その後、物価高騰などによる上振れもあり、現在の大会経費は計3,700億円にまで膨らんでいる。



「そもそも当初の見積もりが甘すぎたと思います。そこへ物価高などが重なり、後半はコストカットへの意識ばかりが強くなった。最低限、お金をかけなければならないところにまで、お金が回らなくなったのではないか。その最たるものが『人』だと思います」



大会の会場運営で大きな役割を担っているのが、フランスに本社を置くイベント大手GL eventsだ。会場運営の統括調整や設営、観客サービスなど幅広い業務を担う一方、競技運営や開閉会式運営などは担当外で、大会全体を統括する立場ではない。



「GL eventsをめぐっては、大阪・関西万博でも、同社が元請けとなった海外パビリオン工事で下請け業者への未払い問題が起きています。



アジア大会に関して同社は自分たちの担当領域を担っていますが、では実際に大会全体のオペレーションを誰が見ているのか。本来は組織委員会のはずですが、そこがうまくいっていないように見えます」



■大会が始まっても「リーダー」を募集



そして、本間さんが驚いたのが、いまだに“スタッフ募集”が続いていることだ。



「9月25日に求人サイトのIndeedを見ると、運営補助だけでなく、リーダー職の求人も行っています。大会開催後もスタッフを募集していること自体おかしいのに、しかもリーダーを募集するってどういうことなのか。



東京五輪ではボランティアでさえ事前研修がありました。ましてリーダーなら、事前に確保して何度も研修や訓練をしておく必要がある仕事でしょう」



本間さんは、今回の混乱はアジア大会だけの問題ではないと指摘する。札幌市は現在、冬季五輪・パラリンピックの招致活動を停止しているものの、北海道内では将来の招致再開を求める動きも出ている。



「もう先進国で、こういう巨大な大会を開催する必要はないと思います。大都市で新たに選手村を造れば莫大なお金がかかるし、既存施設を使って分散開催すれば、今度は輸送などにお金がかかる。当初予算の何倍にも膨らむ。今回のアジア大会を見ても、日本がこれだけのお金をかけて、さらに五輪を招致する必要があるのか。そこから考え直す時期に来ているのではないでしょうか」

動画・画像が表示されない場合はこちら

動画・画像が表示されない場合はこちら



    前日のランキングへ

    ニュース設定