名古屋アジア大会で初の57kg級に挑む「シン・霊長類最強女子」藤波朱理に注目!

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2026年09月30日 06:20  週プレNEWS

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2024年パリ五輪決勝で勝利し、日の丸を掲げて喜びを表現する藤波。2年後の連覇に期待がかかる


2024年パリ五輪決勝で勝利し、日の丸を掲げて喜びを表現する藤波。2年後の連覇に期待がかかる

2004年のアテネ五輪で正式種目になって以来、日本女子レスリングは金メダルを量産し続けている。24年のパリ五輪では4つの「金」を獲得。女子の活躍に刺激を受けたのか、男子も同数の金をゲットした。

【写真】飾らない性格の藤波朱理

28年のロス五輪でも女子の活躍が期待されている。前人未到の五輪の個人競技4連覇を達成した伊調 馨、今もスポーツタレントとして活躍中の吉田沙保里は長らく�狃�王�瓩箸靴瞳�臨していたが、その流れを受け継ぐ者がいる。

パリ五輪では女子53�垉蕕廼皀瓮瀬螢好箸箸覆辰親G伴詬�(22歳)。彼女の代名詞は「153」と記録を更新し続けている連勝記録だ(9月中旬時点)。吉田の119連勝、伊調の189連勝(不戦敗を除く)という記録と比較しても、なんら見劣りしない。このまま記録を伸ばせば、伊調の記録を更新する可能性もある。

いつの日からか、藤波は連勝記録について聞かれると、顔をこわばらせ口数が少なくなった。かつて藤波は筆者にそのときの心境を打ち明けてくれた。

「何回勝っているかなんて、本当に何も意識していなかったんですよ。だから自分から記録はなるべく見ないようにしていました」

しかしパリ五輪前、藤波の意識は大きく変わった。連勝記録について尋ねられても、笑顔で対応するようになったのだ。

「自分はレスリングを有名にしたいという思いもあるので、これからは連勝記録も背負っていきたい」

レスリングは、�犧廼�のマイナースポーツ�瓠�4年に1度のオリンピックでは大騒ぎされるが、オリンピックイヤー以外だとそれほど大きく報道されることもない。

だからこそ藤波は「もっと有名にしたい」と切に願う。そのためには市井の人々に、わかりやすい連勝記録を入り口にしてでも、レスリングに興味を持ってもらいたいと柔軟に考えられるようになったのだ。

藤波を語る上で、連勝記録以外にも欠かせないキーワードがある。度重なるケガである。パリ五輪の5ヵ月前には練習中に左ヒジを脱臼し、翌月に予定されていたアジア選手権への出場を取りやめた。

ある選手とスパーリングの最中、がぶり返し(組み合った状態から後方に体を反らすようにして投げる大技)を食らったときに、手をマットにつけ耐えようとして脱臼してしまったという。

多くの日本代表選手は本番前に一度体重を落とした状態で実戦の舞台に立つことが多い。藤波もそうしたかったが、このケガにより、ぶっつけ本番でパリに挑まなければならなくなった。

「仕方ないことですけど、(アジア選手権に向け)体重を落としている段階だったので、それも影響したのかもしれません」

パリ五輪の1ヵ月前にインタビューしたときには、片目に眼帯をつけて現れた。スパーリング中に練習相手からバッティングを受け、まるでストリートファイトをやってきたかのような青あざをつくってしまったというのだ。

心配で顔面蒼白となった筆者を藤波は一笑に付した。

「このくらいのケガはしょっちゅうしているので大丈夫」 

五輪の頂を目指す者にとって、青あざなど�爐�すり傷�當�度のものなのか。

体重調整(減量)も、藤波にとってはナーバスにならざるをえない�爐發Δ劼箸弔瞭�い�瓩世辰拭�というのも、藤波の身長は163cm。パリ五輪のときは下から2番目に軽い階級の代表だったが、藤波は重量級の選手と比較しても見劣りしない背丈だった。

減量モードに入ると、藤波が口にする甘みはラカントとハチミツのみ。徹底した�犧重�断ち�瓩蚤僚鼎鰺遒箸后�

だからこそ53kg級での闘いは「パリが最後」と以前から決めていた。


飾らない性格の藤波は、取材でも率直に自分の思いを話してくれた

「53kg級だと減量がすごくきつかったし、減量の過程で筋肉が落ちていく感覚もありましたから」

新たに藤波は、五輪階級としては1階級上の57kg級をセレクトした。

「普段(通常体重)の60kgから3kgくらい落としたときのパフォーマンスが一番いいと思っていました」

過去、日本の女子レスラーの中では吉田、伊調、川井(現・金城)梨紗子が五輪での2階級制覇を成し遂げているが、階級を上げてそれを実現した例は一度もない。57kg級への転向は藤波のモチベーションを上げる、ひとつのきっかけとなった。

「今まで階級を上げての連覇はないと聞いているので、それほど難しいことなのだと思います。でも、挑戦のしがいはある。さらに強いレスリングを次の場所で見せたいです」

次の場所とは、10月3日、名古屋で行なわれるアジア競技大会を指す。三重県四日市市で生まれ育った藤波にとって、尾張の地はほぼ地元。「これ以上の喜びはない」と話した。


2025年12月に行なわれた、天皇杯全日本選手権準々決勝の様子。足を触らせないレスリングを信条に鉄壁のディフェンスで153連勝を記録している(9月中旬時点)

3年前、藤波は中国・杭州で開催されたアジア競技大会でも優勝しているが、決勝で地元・中国の代表と組み合ったことをこう振り返る。

「会場中が相手を応援している中で、勝てたことがうれしかった。3年後、名古屋のアジア大会では『この歓声の中で勝ちたい』と思いましたね」

アジア競技大会でV2を達成しても、休む暇はない。10月下旬にはカザフスタンで開催の世界選手権を控えている。同選手権では、16年のリオデジャネイロ五輪女子53kg級決勝で吉田を打ち破ったヘレン・マルーリス(米国)との初対決に期待がかかる。

テレビで吉田と闘ったときのマルーリスを見て、当時中1だった藤波はその強さに衝撃を受けたという。

「『なんて強いんだ、なんて(闘い方が)美しいんだ!?』と思いました。私にとって彼女はヒーローでしたね」

そして12月の天皇杯全日本選手権からは、ロス五輪に向けた闘いが本格的にスタートする。

「オリンピックに対する向き合い方も、パリのときとは全然違っている。もちろんロスでも金を目標にしているけど、見すぎてはいない。(やるべきことは)今の練習の積み重ねでしかないですね」

トレードマークの笑顔と共に、藤波は怒濤の3連戦に挑む。

取材・文/布施鋼治 撮影/保高幸子

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