
森保一監督の"半年間限定続投"に対する風当たりが強い。
日本代表初招集の新戦力を登用しつつ、ワールドカップ後の初戦となるウルグアイ戦(3−1)、続くベネズエラ戦(2−1)と2連勝したにもかかわらず、である。
続投反対の理由はそれぞれだろうが、主なものは「4年後のワールドカップで指揮を執らないとわかっている監督が、いまだ日本代表を率いていること」に対する違和感だろう。
だが、個人的に言えば、今回の監督人事そのものについては、それほどおかしなこととは考えていない。
というのも、来年のアジアカップが1月開催、つまりは、今年のワールドカップからわずか半年後に行なわれるからである。
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新監督を据えたばかりで立ち上げ間もないチームよりも、完成度の高い従来のチームで臨んだほうが、タイトル奪回の可能性は高い。大陸王者決定戦であるアジアカップを重要視するのであれば、その考え方自体は、決して間違ってはいないだろう。
もちろん、アジアカップすらもワールドカップに向けた強化の一環とすべきであり、タイトル奪取という結果にこだわる必要はない、という考え方も、それはそれでアリだ。
しかし、現在進行中の9、10月の活動から新監督が指揮を執ったとして、それがどれだけ4年後のワールドカップに影響を及ぼすかは、正直、かなり疑問がある。
実際、過去のワールドカップでの日本代表の戦いを振り返っても、"4年間かけた長期的強化"は幻想に近く、4年の間のどこかでピークを迎え、ワールドカップ本番の頃には、むしろチーム状態は下降線をたどっているケースが少なくなかった。
日本代表は過去に5回、ワールドカップの決勝トーナメント1回戦で敗れているが、"最もいい負け方"だった2018年ロシア大会はというと、大会2カ月前に電撃就任した西野朗監督がチームを率いていた。何とも皮肉な結果である。
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これまで日本代表監督は、当たり前のようにワールドカップを区切りとして任期が設定されてきたが、異例の短期続投は、そのメリットとデメリットをあらためて考える、いいきっかけになっているのではないだろうか。
ただし、以上のことを理解してもなお、現在の日本代表に対して違和感が拭えないのは、森保監督は本当にアジアカップ優勝を最大にして唯一の目的としてチームの指揮を執っているのか、という疑問が浮かぶからだ。
森保監督の半年間限定続投が決まってから、アジアカップ前に用意された国際試合は6試合。活動機会としてはわずか2回だ。
森保監督自身が指摘するように、活動の間隔が空くと、チームの戦い方のベースとなる部分を取り戻すにも時間を要する。だとすれば、もっとチームを固めていく作業が必要になってくるはずだ。
にもかかわらず、今回の日本代表招集メンバーには初招集の選手が4人も含まれている一方で、ワールドカップメンバーから菅原由勢、小川航基らが選ばれていない。
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森保監督に託されているのは、4年後に向け、間口を広げて新戦力を発掘することではなく、アジアカップで優勝することであるはずなのに、である。
もちろん、アジアカップで戦力になると見込んでの新戦力登用なら、ためらう必要はない。だが、それが将来を見据えた期待値込みでの招集なら、話は違ってくる。
そもそも過去の実績を見ていると、次期日本代表監督への就任が決まっている現U−21代表の大岩剛監督の選手選考と、森保監督のそれとは、どうにもかみ合っていない。
大岩監督が率いたパリ五輪代表の選手のなかから、ひとりもワールドカップメンバーに選ばれなかったことは象徴的だ。それ以外でも、パリ五輪に向けたU−21〜23代表の活動には一度も選ばれたことがない望月ヘンリー海輝が、日本代表(A代表)に、それもパリ五輪直後に選ばれたことは、本来的には理屈の通らない抜擢だった。
こうなると、森保監督が将来への期待値込みで新戦力を登用したところで、それが新監督の考えと合致しているのか、非常にあやしくなってくる。
ならば、現在の日本代表メンバーがワールドカップ当時とさして代わり映えのしない顔ぶれになったとしても、「目的はアジアカップで勝つためなのだから」と言われたほうが、まだ話の筋は通る。
ところが、ウルグアイ戦、ベネズエラ戦の2試合を振り返ると、日本代表デビューとなった選手が6人もいたり、2試合合計で延べ18人もの選手交代が行なわれたりと、まるで4年後に向けたリスタートであるかのようにテスト色を強めているものだから、よくわからない。
森保監督は、何のために半年間限定で続投したのか。
それがはっきりしないのならば、風当たりが強くなるのも仕方がない。
浅田真樹●取材・文 text by Masaki Asada