屋外排気式の電気衣類乾燥機「Solaire(ソレイル)」 電気衣類乾燥機はガス式に比べて、乾燥に時間がかかるのがネックだった。そんな中、パナソニックは11月上旬から、従来の電気衣類乾燥機の乾燥時間を約45%短縮させた屋外排気式の電気衣類乾燥機「Solaire(ソレイル)」を住宅設備ルートで販売する。6kgの衣類を約135分で乾燥できる。200V電源による高出力と屋外への排気、衣類にやさしい低温・大風量がポイントだ。
その他の画像はこちら●衣類乾燥機市場は2012年比で188%拡大、ガス式は545%の急伸長
衣類乾燥機の市場が拡大している。2012年に135万台だった出荷台数が、23年に255万台(12年比188%)まで拡大している。特に20年のコロナ禍以降の伸びが顕著だ。衣類への衛生意識が向上したことや、家で過ごす時間が増え、衣類乾燥機を使う機会が増えたことなどが背景にあると考えられる。
最近では、夫婦共働きの増加による家事の時短ニーズの高まりや、高層マンションでの外干し規制の影響、部屋干しによるにおいの不快さの解消、天候に左右されない乾燥ニーズも市場の拡大を後押しする。
市場の内訳をみると、23年の電気式の総需要は12年比120%の135万台。そのうちパナソニックの出荷台数は、12年比170%の60万台。ガス式はさらに伸びが顕著で、12年比545%の120万台となっている。
ガス式の伸びは、リンナイのガス衣類乾燥機「乾太くん」のヒットが大きい。6kgの衣類を約60分、9kgなら約90分という乾燥時間の速さや、ふんわりした仕上がりが受けている。
もちろん、電気式衣類乾燥機のニーズも、オール電化や太陽光発電システム、蓄電池、夜間電力契約などを導入している家庭では高いものの、乾燥時間の長さがネックになっていた。
パナソニックの従来機でも、デザインのよさや設置時の工事が不要、製品価格の安さなどのメリットを打ち出していたが、6kgで約235分という乾燥時間の長さに課題が残り、家電量販店での25年度の販売台数は約6.7万台にとどまっている。
●今後も拡大する市場をとらえる戦略モデル
一方で、パナソニックでは衣類乾燥機市場が今後も伸びると予測する。特に注目なのが、新規購入者が2割もいることだ。新規購入者のきっかけを聞いたアンケートでは、家族が増えたり、洗濯物の量が増えたり、新製品の情報を知ったりしたことが多い。
購入目的でも、「洗濯機と乾燥機を別々に運転したい」や「梅雨時や天気が悪い時のため」「生乾きの時の仕上げ乾燥のため」が全体と新規の両方で多くみられる。
興味深いのは、ドラム式洗濯乾燥機ユーザーにも衣類乾燥機のニーズがあること。家族が多い家庭で1日に2回洗濯する際、1回目の洗濯が終わったら衣類乾燥機で乾かし、その間にドラム式洗濯乾燥機で2回目の洗濯・乾燥をするという使い方をしている。
そこで、今後も高まる衣類乾燥機ニーズをとらえるために投入された戦略モデルが、屋外排気式電気衣類乾燥機「ソレイル NH-EN12A1WJP」というわけだ。
●パワフルな200V電源と、排気をダクトで屋外に放出
従来の電気衣類乾燥機は100V電源のため熱量が弱く、サニタリールームに湿気がこもらないよう、蒸発した衣類の水分を冷却して水に変えて排水する方式だった。これが乾燥時間の長さの大きな要因だった。
ソレイルは、200V電源による高出力と、ダクトを通じて排気を屋外に出す方式の採用によって、乾燥時間を約45%短縮した。ランニングコストもプロパンガスを使った衣類乾燥機よりも抑えられ、夜間電力や太陽光発電システムと組み合わせて再生可能エネルギーを有効活用できる。
また、同社のランドリー事業で培ったノウハウが詰まった衣類に配慮した運転コースにより、庫内温度60℃前後の低温・大風量でふんわりとした仕上がりを実現する。実際、ドラム式洗濯乾燥機で洗濯して天日干ししたタオルと比べると、ふっくらとした膨らみややわらかい手触りのよさが確認できた。
ドラム式洗濯乾燥機の洗いは、洗濯槽の回転により衣類を上から下にたたき落としてきれいにする。そのため、そのまま天日干しするとタオルのパイルが倒れる「パイル倒れ」が生じる。ソレイルで乾燥したタオルは、パイルが根元から1本1本しっかりと立ち上がっていた。
ちなみに、デモは一般的な標準コースで乾燥したもので、タオル3枚程度なら60分未満で完了するという。
細かいところでは、屋外と直接つながっているダクトと本体の接続部分に、排出時の風圧で開くフタがある。冬場の寒い時期に外の冷気が逆流して、室内が寒くなってしまうのを防ぐためのものだ。ソレイルが運転して風が出ている時だけ開き、停止時は自動的に閉じる仕組みである。
ただし、必ず確認しなければいけないのが、天井や壁に穴を開けて屋外へのダクトと接続する排湿管工事や、単相200V電源の引き込み工事が必要になること。そのため、ソレイルは住宅設備ルートの専売モデルとなっている。
業界内での注目度は高く、7月1日にプレスリリースを発表した後、9月時点で250件超の問い合わせがあったという。電材業界など取引先の展示会でも、70イベントから展示の引き合いがあるなど、発売前から関心が高い。電力会社からも、オール電化住宅に新規にガス管を引くことなく提案できるとして期待されている。
ガス式からのリプレイスも狙うほど、力を入れているソレイル。この点では、リフォームの取り扱いを拡大する家電量販店も増えていることから、今後は家電量販ルートからの引き合いもありそうだ。(BCN・細田 立圭志)