アーヴィング・ペンの展覧会開催、イッセイ ミヤケとの特別な関係にも焦点

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2026年10月01日 16:52  Fashionsnap.com

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 パリの写真美術館「ヨーロッパ写真美術館(Maison Européenne de la Photographie、以下MEP)」で、アメリカを代表する写真家アーヴィング・ペン(Irving Penn)のファッション写真に焦点を当てた展覧会「PENN & FASHION」が開幕した。会期は2027年1月17日まで。1947年から2008年まで約60年にわたる仕事を辿り、ファッション写真を中心に、ポートレートやビューティ、イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)との協働などを紹介している。


約60年にわたり、時代のファッションを捉える
 同展は、MEPの開館30周年シーズンの幕開けとして企画された。ペンは1990年代初頭から同館と深い関係を築き、現在MEPは100点を超えるプリントを所蔵する。今回は同館のコレクションに加え、アーヴィング・ペン財団、ニコラ・エルニ・コレクション、三宅一生財団からの貸し出し作品も展示。ペンのキャリアとともに、MEPとの長年の関係も振り返る。
 会場は年代やテーマごとに空間を分けて構成。1950年代のオートクチュールから、著名人のポートレート、1960〜70年代のファッション、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)、イッセイ ミヤケ、2000年代の作品、「VOUGE」のビューティへと続く。時代ごとに展示を追うことで、ペンの表現とともに、戦後から2000年代までのファッションの変化も見えてくる、見応えのある展覧会だ。

「Vogue」で築いた独自のファッション写真
 ペンは1943年に米「VOUGE」に参加。1950年にはパリのヴォージラール通りに自然光の入るスタジオを構え、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「ロシャス(ROCHAS」などの服を、古い劇場のカーテンを背景に撮影した。装飾的なセットを排し、服のシルエットや素材、モデルの存在感を際立たせる手法は、その後のファッション写真を象徴するものとなった。

 キュレーターのパスカル・オエル(Pascal Hoël)は内覧会で「優れたファッション写真は、しばしば『ファッション』という領域そのものを超えていく。服を紹介するために撮られた写真が、やがて写真史を代表するイメージになっていく」と語った。VOUGEの誌面や表紙のために撮られた作品が、商業写真という枠を離れ、一枚の写真として残っていく。それは本展を貫く視点の一つでもある。

ポートレートにみる、構図の緊張感
 ペンが優れたポートレート写真家だったことも、展示を通じて浮かび上がる。ジャン・コクトーやクリスチャン・ディオール(Christian Dior)、エルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)らを写した「コーナー」シリーズでは、2枚の壁を斜めに組んだ狭い空間に被写体を置き、床に座る、寝そべるといった予想外の姿勢を引き出した。自由なポーズとは対照的に、画面は緻密に構成されている。服、人物、花と被写体が変わっても、形や質感を見極める視線は一貫している。

三宅一生との13年間の協働
 なかでも重要なセクションの一つが、三宅一生との協働だ。ペンと三宅は1986年から1999年まで13年間にわたり仕事を共にしたが、ペンは三宅のファッションショーを一度も見なかったという。パリで発表された服はニューヨークのスタジオへ送られ、三宅は撮影方法を細かく指示せず、ペンに委ねた。撮影された写真は東京へ送り返され、三宅は「ペンの写真を通して、自分自身のクリエいションを改めて見ることができた」と語ったという。会場では、こうした両者の仕事のやり取りや制作プロセスを伝える映像も公開。さらに、田中一光がペンの写真を用いて制作した「イッセイ ミヤケ」のポスター12点も展示されている。写真が服を記録するだけでなく、デザイナーに新たな視点を返す、両者ならではの創作の往復が伝わる。


時代の先端を見続けた、最晩年の仕事
 展示の終盤では、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)による「ディオール(Dior)」、「シャネル(CHANEL)」、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)に加え、「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」や「アンダーカバー(UNDERCOVER)」を捉えた作品も登場する。長いキャリアの最後まで、ペンはその時代のファッションと向き合い続けた。オエルは「白髪の老巨匠が昔ながらの写真を撮っていたわけではない。彼は最晩年まで、その時代の最も新しいファッションを見ていた」と話す。晩年の作品にも、演劇性やシュルレアリスムを感じさせる鮮烈さが残る。

 服、人物、花、ビューティと被写体が変わっても、対象を研ぎ澄まし、一枚のイメージへと変えるペンの視線は変わらない。本展は約60年のキャリアを通じ、ファッションの変遷とともに、雑誌のために生まれた写真が時代を超える作品になっていく過程を伝えている。

◾️PENN & FASHION会期:2026年9月30日〜2027年1月17日会場:Maison Européenne de la Photographie(MEP)所在地:5/7 rue de Fourcy, 75004 Paris開館時間:水・金曜 11:00〜20:00/木曜 11:00〜22:00/土・日曜 10:00〜20:00休館日:月・火曜公式サイト:MEP「PENN & FASHION」 岡本真実 (MAMI OKAMOTO) EDITER / WRITER 東京生まれ。大学卒業後、Huge、装苑のエディターを経て渡仏。現在、パリを拠点にフリーランスの編集者として活動中。

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