【サッカー日本代表】今のチームに「新戦力不足」批判は筋違い エクアドル戦でやっと示された森保監督続投の意味

0

2026年10月03日 07:01  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

 日本サッカー協会(JFA)は、なぜ森保一監督を半年間限定で続投させたのか。その答えが、ようやく示されたような試合だった。

 日本のほか、エクアドル、ニュージーランド、パナマの計4カ国が参加し、トーナメント方式で行なわれているキリンカップ。日本は初戦でエクアドルと対戦し、0−0で引き分けた(90分の試合のあと、PK戦が行なわれ、5−4で勝利した日本が決勝進出。敗れたエクアドルは3位決定戦へ)。

 この試合、日本は先発メンバーに10人のワールドカップメンバーを並べた。唯一の新戦力は、日本代表初先発となった1トップの谷村海那。ただ、その谷村も出場時間は前半の45分間だけにとどまり、後半開始とともに上田綺世と交代している。

 すなわち、後半開始時点でピッチに立っていたのは、すべてワールドカップメンバーである。

 その後、日本は6人の交代選手を送り出したが、そのうちの5人もワールドカップメンバー。こちらもまた、例外は相馬勇紀ただひとりだった。

 つまり、日本代表は"ほぼワールドカップ仕様"のチーム編成でエクアドル戦に臨んだわけだ。

 ワールドカップの興奮を再び味わうべく、会場の横浜国際競技場に集まった6万5012人の観衆にとっては、大満足のメンバー構成だっただろう。9、10月の日本代表4連戦では、いずれもチケットが完売。ワールドカップで火がついた日本代表人気を再燃、あるいは定着させるための興行としては、大成功だと言える。

 それはワールドカップ後もなお、日本代表がワールドカップメンバー中心のチーム編成を維持していることのひとつの恩恵でもあるだろう。

 森保監督の発言からも、いまだワールドカップの"余熱"がうかがえる。

 選手に対する新たな要求として、指揮官が「よりボールを(主体的に)奪いにいく。自分たちからアクションを起こすところを、ディフェンスからやっていこう」と語るのは、低く構える受け身の守備でブラジルに逆転を許したことが堪えているからに違いない。

 ワールドカップ当時とさほど変わらないメンバーで戦うからには、そうした悪いイメージを払拭したい、との思いもあるだろう。

 しかしその一方で、ワールドカップメンバーを中心に戦い続けることは、新鮮味を失わせることにもつながってしまう。一度チームを壊してしまうほうが、4年後に向けた再スタートの印象は強くなるはずだ。

 実際のところ、今年のワールドカップに出場したメンバーのうち、何人が4年後も同じ舞台に立てるのかはわからない。いつまでも負け戦を引きずり、リベンジよろしく、似たようなメンバーで戦い続けることは、4年後を考えれば、必ずしも建設的とは言えない。

 それでも、JFAが森保監督を続投させたのは、イチから新しいチームを作るより、従来のチームをベースに戦ったほうが来年1月のアジアカップを制する可能性が高いと判断したからだ。

 日本代表監督発表会見のなかでも、JFAの宮本恒靖会長が、「アジアで勝てる監督を重要視した」とし、「次の大事な大会(アジアカップ)を勝つのも重要である。森保監督にアジアでの強さを発揮してもらうことで優勝してもらいたい」と語っているとおりである。

 その意味で言えば、ウルグアイ戦やベネズエラ戦のように、何人もの新戦力を試すのではなく、従来のメンバーで戦い方のベースとなる部分を固めること。それこそが森保監督に求められているものであり、ワールドカップ後の3試合目にして、ようやくそれがわかりやすい形でピッチ上に現れた格好だ。

「過去2戦より、局面での強度が上がると想定した」

 森保監督がそう語るエクアドルは、いわば今回の4試合で対戦するチームのなかで最強の敵。先のワールドカップでもベスト32に進出している相手との対戦を待って、現状の主力メンバーをぶつけたのだろう。

 だが、半年間限定続投の最後に待っているのは、ワールドカップではなく、アジアカップである。

 過去の大会がそうであったように、アジアカップでの対戦相手は日本に対して引いて構え、弱者の戦いに徹してくる可能性が高い。ワールドカップで見せられなかった新たな日本代表の姿、つまりはアグレッシブな守備を披露する場にはなりにくい。

 選手にとっても、シーズン真っ只中で行なわれるアジアレベルの大会とあっては、モチベーションを高めるのが難しいだろう。ワールドカップと同じ気持ちで臨め、というのは酷な話だ。

 そんななか、森保監督はアジアカップで勝つために、半年間限定の続投を託されたのである。

 ここまでの3試合を通じて、新戦力の台頭が進んでいないとか、ワールドカップからの進歩が見られないといった批判の声も聞かれるが、続投の経緯を考えれば、そもそも森保監督にそうしたことを求めるのは筋違いなのかもしれない。

 森保監督続投の成果として評価されるべきは、16年ぶりのアジアカップ優勝を置き土産にできるかどうか、のみ。ただし、その結果次第では、この半年間は何だったのかと、さらなる批判にさらされかねない。

浅田真樹●取材・文 text by Masaki Asada

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定