高市首相「風評に関わる」発言は「値下げ強要だ」…自らも店を休業した元市長が語る「値下げできない店へのSNSでの密告、叩きが心配」

1

2026年10月10日 11:21  web女性自身

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

web女性自身

写真

「高市首相はテレビのインタビューで、食料品の消費税率が現行の8パーセントから1パーセントに引き下げられたとき、それ以前と同じ値段で売っているお店があったら『その店の風評に関わる』と発言しました。この発言にSNSでも多くの批判が集まりましたが、一国の総理大臣の発言としては、非常に大きな問題だと私も思います」



こう話すのは、前岩手県陸前高田市長の戸羽太氏(61)だ。



10月5日に開会した今臨時国会では「飲食料品の消費税減税法案」の議論が焦点になるとみられている。



高市内閣は2027年4月から2年間限定で食料品の消費税を「8パーセントから1パーセントへ減税する」方針を閣議決定しており、10月1日の日本テレビによるインタビューで高市早苗首相(65)は「今日から消費税率が引き下げられましたという時に、同じ飲食料品を昨日と同じ値段で売っているお店があったら、その店の風評にも関わります」と発言している。戸羽氏はこう指摘する。



「この消費税減税法案は、現在は閣議決定された政府案の段階です。それが可決・成立し、来年4月に施行された場合を想定して、『決定は絶対で、それに従わないお店は信用にかかわる』つまり『あなたのお店は評判が悪くなるわよ』と言っているようなもので、まさに『値下げ強要』、恫喝や脅迫に近いものがあります」



ここ数年、燃料費や人件費の高騰、円安などさまざまな影響で物価が高騰している。私たち消費者も、スーパーなどの小売店の店頭で「また値上げか!」とため息が出る思いを何度もしてきた。



スーパーや近所の青果店など、仕入れ値の高騰にもかかわらず、極力値上げしないようにと努力しているお店も多いはずだ。戸羽氏は「そんな現実がまったく理解できていないのが高市首相だと思います」と指摘する。



「大手メーカー品のように、定価がハッキリしているものは、基準があるから価格の上下の判断はしやすい。しかし、地方の商店街の小さなお店などは違うんです。仕入れ値はお客には見えないなかで、価格を据え置きできるように必死になって値段設定しています。



というのは、たとえば900円のラーメンを、1,000円に値上げした瞬間、お客さんが逃げてしまうと思うから、中小企業の経営者や個人店の店主は安易に価格を上げられません。高市首相は、日本のトップでありながら、なぜそういう現場の苦しみが理解できないのか、単純に疑問ですね」





■「値下げしていないとSNSで叩かれる恐れが」



戸羽氏は陸前高田市長として、12年間市民に寄り添い、東日本大震災からの復興に尽力してきた。じつは市長を退任後の2023年から、市の地域産業の活性化を目指して和洋菓子の製造販売業を営んできたという。



「お店の名称は『ゆきのや』。家族経営のようなもので、私を含めて4人で運営していました。陸前高田市のブランド米『たかたのゆめ』を米粉に使い、どら焼き、チーズケーキ、シフォンケーキなどを製造・販売しました。元市長だからこそ、『たかたのゆめ』を使わなきゃと思って、アレルギーなどのある子どもたちも食べやすいように『100パーセント米粉のグルテンフリー』で始めました」



戸羽氏が地元でつくるお菓子は、市民が多く買いに来てくれたことで「トントンくらいの経営状態」にはなっていた。



そして「将来は障害者雇用の場にしたいという夢を温めていた」戸羽氏だったが……。



「ここ数年の米価の急騰で、ブランド米の価格が2倍近くになりました。でも、私としては絶対に価格転嫁できないと思いました。それで、売れば売るほど赤字という状況を迎えてしまいましたが、耐えられるところまで耐えようと」



ところが、中東情勢の悪化などによる物価高騰の波がさらに押し寄せた。



「どら焼きを包む袋、賞味期限や内容物を印刷するシール、封入する乾燥剤……お客さんには見えないところの資材価格が、何から何まで値上がりし、とどめは今年2月のイラン空爆でした。今年の春で、経営を『一時休止』せざるを得ませんでした」



そのように、戸羽氏は「ささやかな商売の苦労を身をもって味わった」からこそ「中小企業や個人事業主、個人商店の置かれている現在の状況」が実感としてわかるという。



「たとえ政府が来年4月に食料品の消費税率を7パーセント分引き下げたとしても、いまの物価高の状況で価格を下げろなんて、地域のお店などではとても無理だと、心の底から思うわけです。物価高騰で本来、値上げしたいところを我慢して、価格据え置きできたお店は、いくら国から『価格を下げろ』と言われても、難しい現状がある。それが国民生活の現実なんです」



戸羽氏は、このまま消費税法案が可決・成立した場合、次の2点が危惧されると話す。



「ひとつは、来年4月の減税施行を前に、お店が防衛手段として『いまのうちに値上げしておくしかない』というマインドになることです。そうなれば減税効果は限定的です。もうひとつは、4月以降に店頭価格が下がっていないお店が、SNSなどで『あの店は値下げしていない』と密告されたり、叩かれてしまうという醜い状況が国民同士で生まれてしまう恐れです。まさに、誰もハッピーにならない政策になってしまうことを危惧します」

動画・画像が表示されない場合はこちら

動画・画像が表示されない場合はこちら



このニュースに関するつぶやき

前日のランキングへ

ニュース設定