
現有戦力から読み解く「2026ドラフトで獲るべき選手」〜西武編
今年もドラフト会議の季節がやってきた。各球団ともシーズンを振り返りながら、来季に向けた補強ポイントを洗い出し、アマチュア選手の最終的な絞り込みに入っていることだろう。10月22日に迫る「運命の日」を前に、本当に獲得すべき選手は誰なのか──。3年連続Bクラスから一転、今季は79勝60敗4分、勝率.568の2位と躍進した西武。だが、昨オフに絶対的エースの今井達也(アストロズ)が抜けたうえ、今オフは海外FA権を取得している高橋光成に加え、かねてからメジャー挑戦の意向を示している平良海馬という主力投手2人が流出する可能性もある。そうなれば、投手力の大幅な低下は避けられない。
【西武を激変させた5つの要因】
球団の事情を分析する原稿を書くと、実際に球団の内情を知る人が読めば、「よくもまあ、こんな見当外れなことを平気な顔で......」と笑っているのではないか。そんな不安にいつも駆られるが、決して平気な顔で書いているわけではない。
とくに、近年の低迷から一気にAクラスへ浮上した今年の西武のような場合、短期間で劇的にチームが変わった要因が、私たちには見えないところに潜んでいるはずだ。だが、さすがにそこまでは見通せない。だからこそ、ここでは「見えているもの」を材料に、知ったかぶりをせず、考察を進めていこうと思う。
大前提として、今井達也が去った直後のシーズンだったことを忘れてはいけない。昨季10勝5敗、防御率1.92の大エース。その今井がいなくなってなお、この大躍進である。そこには必ず理由があるはずだ。まずは、目に見える変化だけを挙げてみる。
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・ドラフト1位捕手・小島大河の活躍。球団20年ぶりとなる新人開幕マスクをかぶり、99試合で打率.267、9本塁打、40打点。
・平良海馬の先発再転向が大成功。23試合に登板し、12勝5敗、防御率1.36。
・甲斐野央が中継ぎ、抑えで安定感を発揮。チーム最多の23セーブ。
・高卒2年目の篠原響をリリーフに抜擢。46試合に登板し、救援陣の一角として存在感を示した。
・滝澤夏央が二塁、遊撃の両ポジションで好守を披露。攻守にわたってチームを支える存在へと成長した。
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ほかにも、隅田知一郎(10勝8敗)、武内夏暉(11勝8敗)の先発左腕コンビが2ケタ勝利を挙げれば、豆田泰志も32試合に登板するなど、中継ぎとして成長を見せた。いくつもの「慶事」が重なり、西武を押し上げたのである。少なくとも、目に見える躍進の要因は、こうしたところだろう。
【平良海馬の後継者は沖縄にいる】
とはいえ、高橋光成や平良海馬が近い将来、チームを離れる可能性はある。今季急台頭した若手投手にも、来季はその反動が出るかもしれない。そう考えれば、投手陣のさらなる強化は必須だろう。
隅田知一郎、武内夏暉、佐藤隼輔に浜屋将太......。西武の左腕陣には、四球で大きく崩れない投手が多い印象がある。そこをチームの伝統にしてもいいだろう。
今年のドラフト候補でいえば、米沢友翔(金沢→関西大/投手/180センチ・80キロ/左投左打)や、常深颯大(つねみ・そうた/明石商→大阪経済大/投手/179センチ・80キロ/左投左打)が当てはまる。ともに1試合あたりの四球を2、3個程度に抑え、完投できるだけの力がある。常深はショートアーム気味のテークバックから繰り出すボールが特徴で、打者からリリースが見えにくいという利点もある。
平良のメジャー移籍を見据えるなら、彼に代わる「島人(しまんちゅ)エース」候補として、末吉良丞(沖縄尚学/投手/176センチ・94キロ/左投左打)にも目を向けたい。2年夏の全国制覇後はケガなどもあって調子を崩したが、そのポテンシャルの高さは誰もが認めるところだ。
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いっそ菰田陽生(山梨学院/投手/194センチ・100キロ/右投右打)も獲得し、末吉と左右の大型投手コンビを形成してはどうか。
雄大な体躯を持ちながら、運動神経とボディバランスにも恵まれ、投打に非凡な才能を発揮する。まさに「稀代の才能」というしかない。堅実な「いぶし銀」タイプが多い今の西武には、菰田のような、まばゆいスター性を備えた選手もほしいではないか。
【「ネクスト源田」に名乗りを上げる男】
その「いぶし銀」タイプの代表格とも言える滝澤夏央は、プロ5年目にして初めて規定打席に到達した。一方、長年にわたり遊撃のレギュラーを務めてきた源田壮亮も33歳。仮に滝澤を二塁のレギュラーに固定するなら、遊撃の後継者を育てる必要がある。
「ネクスト源田」を見据え、2024年のドラフト1位で獲得した齋藤大翔も、ファームでは守備に課題を残している。将来性は十分に感じられるものの、現時点ではまだ安心して遊撃を任せられる段階とは言いきれない。ならば、そこに強力なライバルを送り込んではどうか。
本拠地・ベルーナドームからほど近い鷺宮製作所に、島野圭太(履正社→帝京大→鷺宮製作所/遊撃手/176センチ・74キロ/右投左打)という適役がいる。お手本にしているのではないかと推測できるほど、源田そっくりのフィールディングスタイルだ。
スッと動き出し、軽快なフットワークで打球を捕らえにいき、フワッとグラブに収める。決して強く投げようとしすぎないスローイングは、じつに正確。盗塁を決められる快足に、インパクトでパチンと弾き返すパンチ力のある打撃。もしかしたら、トヨタ自動車時代の源田以上かもしれない。
地元・埼玉といえば、昨年のドラフト5位で山村学園から入団した横田蒼和が、1年目からファームで打率3割を超えるなど、素質の片鱗を見せた。今年の埼玉勢にも、興味深い候補が散見される。
一軍では古賀悠斗と小島大河の捕手コンビが存在感を示しているが、さらに次世代を見据えるなら、屈強な体躯と強肩を誇る内藤蒼(そら/浦和学院/捕手/180センチ・90キロ/右投右打)がいる。
また、ライバル校・花咲徳栄のエースである黒川凌大(りょうた/花咲徳栄/投手/182センチ・85キロ/右投右打)も進境著しい。この春から夏にかけて、大舞台のピンチでも堂々たる投げっぷりを披露。すっかりエースらしく成長したが、じつは私が密かに注目しているのが、彼のバッティングだ。
両腕とバットが長く見えるスイングから、逆方向のライトへ長打を運ぶことができる。本人がその気になって磨けば、細川成也(中日)のような大きな放物線を描くスラッガーになれるのではないか。もちろん、投手としての将来性も捨てがたいが、あの打撃を見てしまうと、野手としての可能性も試してみたくなる。
主力投手の流出に備えながら、数年後の内野陣を支える人材を確保し、さらに地元の逸材にも目を向ける。今季の躍進を一過性のものにしないために、将来のチームの骨格まで見据えた指名を期待したい。
安倍昌彦●文 text by Masahiko Abe