マーベルのライセンスを受けた(と称する)完全ワイヤレスイヤホン「MV30 ブラックパンサーモデル」 世界一の電気街は、実は秋葉原ではない。中国・広東省 深センにある華強北(ファーチャンペイ)だ。当初秋葉原を手本として作られた街だが、今や完全に凌駕。出藍の誉れだ。店舗数としては、秋葉原のおよそ30倍と表現されることが多い。しかし感覚的には100倍。歩けど歩けど電気街。およそ50棟もある電気店専門ビルは、例えば1階から9階まで細々した店舗がぎっしり。一棟だけでも途方もない規模だ。何度か訪れたが、いまだに街の全貌はつかめていない。秋葉原は電気街というよりサブカルとホビーの街に変貌した。華強北は、電子部品から見たこともない完成品までがっつり電気街そのもの。先日、久々に歩いてきたので、そこで見つけたものをいくつかご紹介しよう。
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まず、完全ワイヤレスイヤホンだ。メカメカしくて合体ロボのパーツのような形状が目を引いた。Uranus Zというブランド名で販売されていたBluetoothイヤホン「MV30」だ。アメリカのエンタメブランド、マーベルの公式ライセンスを受けたとしている。これは黒の「ブラックパンサーモデル」。他にも赤の「アイアンマンモデル」や白の「キャプテンアメリカモデル」があるようだ。普通イヤホンケースには「蓋」があるが、これにはない。左右からイヤホンを引き出すスタイル。イヤホン本体は磁力で保持され、ケースに入れておけば、蓋なしでも不用意に落ちるようなことはなさそうだ。低遅延の「ゲームモード」と音楽用の「メディアモード」がある。Bluetoothは5.0。通話時に使えるノイズキャンセリング機能もあるという。価格は158元。4000円弱といったところ。普通のイヤホンに飽きたら、これはちょっといいかもしれない。
続いてはゲーム機能内蔵のモバイルバッテリー。スマートフォン周辺機器メーカーREMAX(リマックス)の「FP-18」(MAGNETIC Charging Power Bank Game Console)。価格は398元。1万円弱といったところだ。バッテリーとゲーム、どっちが主なのかよくわからないが、あくまでも主はモバイルバッテリー。ゲームはおまけの扱い。なんとも華強北らしい製品だ。バッテリーは、リチウムポリマー電池で5000mAh。USB Type-C端子では最大約20Wの出力、最大15Wのワイヤレス充電にも対応する、まあ、ちゃんとしたモバイルバッテリーだ。ゲーム機能では、ディスプレーが3.0インチIPS液晶。搭載ゲーム数は不明だが、一説によると「5000本超は入っているのでは?」という話もある。ライセンスに関しては怪しい部分があるが……。
実際に購入した戦利品もご紹介しよう。こまごましたものを3つ。1つはセミハードケース。M-VAVEの「FM-1」というミニシンセサイザー用のケースだ。セミハードケースは種類が多いが、なかなか欲しいジャストサイズを見つけ出すのが大変。ネットでも買えるが、実際にサイズを確かめて買えるのがリアル店舗の良さだ。ぶらぶら歩いていると、セミハードケースが山積みの店を見つけた。FM-1の製品ページを見せながら、こいつのケースが欲しいと伝えると、サイズを調べてくれて、奥の方からジャストのケースを見つけ出してくれた。実際入れるとかなりキツキツだったが何とか入る。言い値は20元。ちょっと高いと思ったが、まあ、色々調べてくれたことだし買うことにした。ところが、スマホのAliPayがうまく動作しない。現金で払おうとしたら小さな紙幣が19元しかない。おっちゃんは「いいよ19で」ということになって、1元負けてもらった。
もう一つは、短いアンカーストラップ。いわゆる「でんでん太鼓式」で取り外しができるストラップだ。カメラなど持ち運ぶ機器につけて使う。いくつか持っているのだが、短いのを探していた。10元。230円ぐらいだ。これは安かった。最後は「CCC認証」(China Compulsory Certification=中国強制製品認証)付きのモバイルバッテリー。中国で国内線に搭乗する際にはCCC認証を受けたものしか持ち込めない。認証なしだと没収されてしまう。例えば国際線で羽田から北京、国内線に乗り換えて北京から成都というルートだと、この制限に引っかかる。国際線で中国に発着するだけならこの制限は適用されない。たまに中国の国内線に乗る機会があるので、1つ手に入れておきたかった。日本でも買えるようだが、本当に認証がついているかどうか、現物を確かめないと不安だ。製品のバリエーションも少ない。今回は、REMAXの「FC-22a」という、20000mAh・100W出力の製品を購入した。今流行の巻き取り式USB-Cケーブルがついている製品だ。もちろん製品裏にはでかでかとCCCマークがついている。307元で7000円強。容量からすればちょっと割高だったが、形状も気に入ったし、よしとしよう。
番外編として少し「城」に触れたい。中国には「何とか城」と称し、特定商材が集結するエリアやビルがたくさんある。もちろん華強北にもいくつかあるが、それ以外にも、例えば、撮影機材が集まる上海の「星光撮影器材城」、世界最大の日用雑貨の集積地と言われる浙江省の「義烏国際商貿城」、おもちゃならなんでもありそうな、広州の「国際玩具礼品城」などが有名だ。これらほど大規模ではないが、深センにも「城」があった。「中威眼鏡城」だ。華強北のもう一つの最寄り駅華強路駅から地下鉄1号線で3駅の老街にある。ビルの3階から6階まで、4フロアにわたって約200のメガネ店がひしめき合っている。実際にメガネを作るようなチャレンジはしなかったが、種類はきわめて豊富。見ているだけでも楽しい。普段、なかなか好みのメガネの形に出会えない、と思っているなら、行ってみる価値はあるだろう。
深センは、高速鉄道を使えば香港からでも2時間弱。最初から行く計画がなくとも、香港を訪れたついでに寄るのも面白い。ガジェットオタクにとって、世界一ワクワクが止まらない街。それが華強北だ。今回は、そのごくごく一部分しかご紹介できなかったが、まだまだ広大で無限ともいえる魅力が詰まっている。ぜひ一度訪れてみてほしい。(BCN・道越一郎)