※画像は生成AIによるイメージです免許を取ったばかりの頃、後ろに車がつくだけでドキドキしませんでしたか。バックミラーばかり気になってしまい、「遅いと思われているかも」と、ついアクセルを踏みこんでしまう。誰でも最初は若葉マークの初心者で、あの緊張には覚えがある人も多いと思います。
警視庁によると、初心者マークを付けた車に対しては、まわりの車が守らなければならない専用のルールがあります。危険を避けるためにやむを得ない場合を除いて、幅寄せをしたり、必要な車間距離が保てなくなるような割り込みをしたりすると、道路交通法違反になります。普通車の場合、反則金は6000円で、違反点数は1点です。意外にも、初心者がマークを付けずに走ったときの反則金(普通車で4000円)より高く設定されています。若葉マークの車は、決まりの上でも守られる側なのです。
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ人気記事から、免許を取ったばかりの友人の車に乗っていて、あおり運転に遭遇した男性の話。
記事の後半では、交通死亡事故がどんな場面で多く起きているのかを調べてみました。
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◆車内に広がる緊張感、冷静さを保ち続けようとしたのだが…
大学の授業が終わり、家に帰る途中にあおり運転に遭遇した加藤隆文さん(仮名・20代)。
「その日は、友人と一緒でした。友人が免許を取ったばかりで、ちょっと浮かれており、車内は盛り上がっていました」
車はのんびりと田舎道を走っていた。すると突然、後ろから派手な色のスポーツカーが接近してきたそうだ。
「ものすごい速さでした。運転していた友人は焦ったようすで、『なんだあれ?』と呟き、スピードを上げました。しかし、後ろの車はますます距離を詰め、私たちの車にぴったりと張りついてきたんです」
スポーツカーにあおられ続けたことで、車内には緊張感が漂っていたという。当然、初心者マークなので、舐められているのかもしれない。「なんなんだよ、こいつ……」と友人が言いながら、必死に落ち着こうとしていた。
「あおり運転は収まるどころか、さらに激しくなっていきました。私も『ヤバいな』と思いつつ、何とかやり過ごそうと冷静に状況を見守りました。そして、しばらくすると……」
◆急カーブでガードレールに突っ込んだ
前方に急なカーブがあらわれ、友人は、「無理に追い越しをさせるのは危ない」と判断。そのまま道を進むことにした。すると、あおっていたスポーツカーが突然、加藤さんたちの車を追い越そうとスピードを上げてきたという。
「私たちは、『危ない!』と叫びましたが、相手はお構いなしに加速して、私たちの車を追い越して行きました」
しかしその直後、思いがけないことが起こる。
「あおり運転の運転手は、カーブに差しかかったところでバランスを崩し、タイヤが滑りはじめました。そして、あっという間にコントロールを失い、そのままガードレールに突っ込んだんです」
加藤さんたちは車を停止させ、ようすを見ることに。幸い、運転手は無事だったのだが、スポーツカーはひどい状態だったという。
「私たちは顔を見合わせて、『あんなに無茶なことをするからだよ』と、不謹慎ですが、つい笑ってしまいましたね」
その後、警察に通報した加藤さん。事故の対応を警察に委ね、友人とともに無事に帰宅できた。
「友人は、『危なかったけど、俺たち巻き込まれなくてよかったな』と言いながら、少し安心したようすでした」
加藤さんにとっても、無茶な運転がどれだけ危険なのかを教えてくれた出来事となった。
<取材・文/chimi86>
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◆■死亡事故でいちばん多いのは「工作物衝突・路外逸脱」
令和8年版交通安全白書によると、2025年に全国で起きた交通死亡事故は2495件でした。事故の種類別に見ると、いちばん多かったのは、ガードレールや電柱などにぶつかったり、道路の外に飛び出したりする「工作物衝突・路外逸脱」で、591件。およそ4件に1件にあたります。
歩行者の横断中(549件)や、出会い頭の衝突(292件)よりも多い数字です。白書によると、歩行者の横断中の死亡事故が年々減っている一方で、工作物衝突・路外逸脱は近年横ばいが続いています。
◆■カーブでの死亡事故は350件
同じ白書で、死亡事故を道路の形別に見ると、カーブで起きたものは350件で、全体の14.0%でした。加藤さんたちが目の前で見たのも、急カーブでの出来事です。運転手が無事だったのは、本当に幸いだったといえそうです。
あおられて焦りながらも、運転していた加藤さんの友人は、急カーブの手前で「無理に追い越しをさせるのは危ない」と判断し、そのまま道を進みました。もし自分が免許を取ったばかりの頃に同じ目に遭っていたら、同じ判断ができたかどうか。正直、自信がありません。
誰でも最初は若葉マークでした。後ろの車にドキドキしていたあの頃を思い出して、前を走る若葉マークの車を見かけたら、いつもより大きく車間距離をあけて走ってみませんか。
<再構成/日刊SPA!編集部>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。