
赤茶けた大地に、何重もの円が刻まれた不思議な光景。まるで巨大な的のようですが、実は自然の力だけで生まれたものです。
NASAが2026年に公開した衛星画像には、地上に立っているだけでは気づきにくい、サハラ砂漠の驚くべき姿が写っていました。
アフリカ北西部、モーリタニアのアドラール高原にあるリシャット構造。直径およそ40キロにも及ぶ円形の地形で、その見た目から「サハラの目」や「アフリカの目」とも呼ばれています。
地上では岩山や谷がどこまでも続くように見えるため、全体の形を捉えるのは簡単ではありません。ところが宇宙から眺めると、大小の輪が幾重にも重なっている様子がよく分かります。
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宇宙からこの地形が撮影されたのは、1965年のこと。NASAのエド・ホワイトさんとジェームズ・マクディヴィットさんが搭乗したジェミニ4号から、リシャット構造の姿が捉えられました。地元では以前から知られていましたが、この写真が世界に広まるきっかけの一つとなったのです。
それから60年以上が過ぎた現在も、宇宙飛行士たちにとっておなじみの撮影スポットです。
NASAの宇宙飛行士ジェシカ・メイアさんも、国際宇宙ステーション(ISS)から捉えた写真をXで紹介しています。普段から多くの宇宙飛行士が撮影している場所ですが、この日は光の当たり方や色合いが特に印象的だったそう。アフリカの大地に広がる色彩や質感を「アース・アート(地球の芸術)」と表現しました。
ところで、これほど大きな円形の地形は、いったいどうやってできたのでしょうか。
1930年代、フランスの地理学者たちがこの場所を調査・記録した当時は、隕石の衝突によって生まれたクレーターだと考えられていました。外側が盛り上がり、中心部がくぼんでいる様子は、確かに衝突の跡を思わせます。
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ところが、研究が進むにつれて、隕石とは関係のない成り立ちが分かってきました。
もともと、この場所には何層もの地層が重なっていました。そこへ地下からマグマが入り込み、上にある岩石を押し上げたことで、地表がドームのように盛り上がったとされます。
しかし、その後も風や砂、水による侵食が続き、地形は少しずつ変わっていきました。岩石には硬いものもあれば、比較的もろいものもあります。削られやすい場所は低くなり、硬い岩石が残った部分は尾根に。その尾根が円を描くように連なり、現在の姿になったと考えられています。
つまり、空から見える何重もの輪は、岩石の硬さの違いや長い年月をかけた侵食が生み出したもの。欧州宇宙機関(ESA)によると、この地形の歴史は少なくとも1億年前にさかのぼるそうです。
ESAは2025年11月、地球観測衛星「センチネル2(Sentinel-2)」が同年9月に撮影した画像を公開しました。実際の見た目に近い色の写真と、地形の特徴が分かるように色を加工した写真を比較できます。
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注目したいのは、輪の部分にある高低差です。中心近くの環状の高まりは約80メートルもあり、外側より古い岩石が露出しています。硬い砂岩が高い尾根をつくり、削られやすい岩石のある場所は谷になっているのです。
一方、NASAも2026年4月16日、地球観測衛星「ランドサット8号」と「9号」が、同年3月5日と6日に撮影したデータを使った画像を発表しました。
写真では、赤茶色の砂地と暗い色の高原の違いが目を引きます。ESAの説明によると、アドラール高原は周囲の砂地より約200メートル高い位置にあり、リシャット構造の南側には砂が入り込んでいることも確認できます。
ちなみに、この地域には人間が暮らしてきた長い歴史もあります。旧石器時代の石器や新石器時代の洞窟壁画などが見つかっており、かつてサハラ砂漠を横断した隊商が利用していた町の遺跡も残っているそうです。
宇宙飛行士たちが何度も撮影してきたリシャット構造ですが、実は私たちもGoogleマップの衛星写真で見ることができます。ぜひ一度、宇宙から眺めるような気分で、その不思議な姿を確かめてみてください。
NASA「Eyeing the Richat Structure」
Science Direct「How old is the Eye of Africa? A polyphase history for the igneous Richat Structure, Mauritania」
The European Space Agnecy(ESA)「Earth from Space: Eye of the Sahara」
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パスワード「123456」だった?(写真:ITmedia NEWS)138

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