風邪をひかせるのは親のせいなのか?

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2013年02月19日 11:10  MAMApicks

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真冬の屋外、息子が半袖Tシャツでかき氷を食べている。どうやら2杯目らしい。
ものすごく寒そうだ。
一転して、体温計をはさんで布団に横になる息子の姿。「あぁ〜だからやっぱり風邪ひいたんだよ〜!!」
落胆と憤りが混じったような気持ちが充満する。

……という夢を見た。もう母親6年目なのに、だ。



絶妙なタイミングで風邪はやってくる


母親にとって、子どもの体調管理は大きな主題のひとつだ。幼稚園の行事、家族の旅行、自分の仕事のピーク等に向けて、どうにかそこで風邪をひかないでくれ……! と、常にスケジュールを意識し、子どもの体調の変化に目を光らせる。

なのに、子どもは風邪をひく。絶妙なタイミングで。
なぜ明日から旅行なのに夜中になって高熱が出るのか、なぜ今週は大切な行事があるのにインフルエンザになるのか、なぜ明日納品の仕事があるのに今晩繰り返し吐き続けているのか……。

理由は無い。たまたまだ。子どもの風邪はある程度以上、防ぎようがない。
親ができる予防は、おそらく基本的な生活習慣を整えることくらい。栄養のあるものを食べさせ、早寝早起きさせ、不要な予定を詰め込まずに基礎体力を保つ。うがい手洗い励行。アレルギーや確固たる主義が無ければできる予防接種はしておく!

……それでも、やっぱり風邪はひく。

そしてそれは、母親にとって大きなストレスだ。看病の負担だけでなく、何か、子どもの体調管理ができなかったことへの自責の念のようなものにじんわりと襲われるのだ。

祖父母世代からのキラーワード


「風邪をひかせないようにね。」

祖父母世代がよく乳幼児の母親にかける言葉。冬の時候の挨拶並みに気軽に使っている節があるが、これ、実は母親のストレスキーワードの上位に来る言葉のひとつだろう。

初めての育児、特に乳児期はすべての責任が自分にある気がしがちだ。
母乳/ミルクの量は十分か? 離乳食の量やタイミングはあっているか? 睡眠パターンはこれで普通なのか? 発達のペースは申し分ないか? 十分に一緒に遊べているか? ほぼすべてのことを気にかけ、心配している。特に目立った問題がなくても、常に頭の中は子どものことで満タンだ。

その上、「風邪を『ひかせてはいけない』」。つまり風邪をひくのも母親である自分の責任ということだ。これは重責だ。

言っている方はただの挨拶代わりでも、精神的にいっぱいいっぱいな頃の母親なら、「それも私の責任なんですか!」と緊張が弾けて怒りさえ覚えるかもしれない。

風邪を「ひかせない」よう神経質になり、家から一歩も出さないような生活をする方がよっぽど不健康だし、たくさんのことを吸収する乳幼児期にはマイナスだと感じる。

が、このキラーワードは、おそらく、除菌ティッシュと消毒用アルコールを携帯し、あらゆる場所を拭きまくらなければ怖くて外に出かけられないような母親を一定数生み出しているのではないだろうか。

「風邪ひかないといいね。」

これでいい。
隠れた主語を親から子にするだけで、全然気持ちの負担が違う。

風邪は繰り返し親の心は疲れる


息子は乳児の頃から結構色々な場所に連れ出されていた方だけれど、それでも最初の集団生活を経験した頃は、冬中ずっと風邪をひいていたに等しい。ひとつの風邪が終わった頃にまた次の風邪をひく。そうして2年目は格段に丈夫になった。

鼻水や軽い咳だけなら外出させても大丈夫? これくらいなら病院に行く必要はない? はじめの頃はそんなことすらいちいち判断に悩む。予定と体調を天秤にかけ、常に判断を迫られ、精神的に疲労する。

さらに、自分の責任で「また風邪をひかせてしまった」ような気分になったら、もうへとへとだ。

子どもは勝手に風邪をひく


“題名”のつくような大きな風邪をひいた時ほど、あぁあれがいけなかったのかなぁ、と原因や感染経路を想像しがちだ。でもそんなことの真実はわからないし、考えるだけ無駄なことが多い。

この冬、息子は既にインフルエンザになった。予防注射をしていたからか軽かったとはいえ、一週間丸ごと休まざるをえなかった。これは親の私の責任か?といえば、そうではない。普通にそこそこ健康的な生活をしていただけだ。私ができるのはそこまで。子どもが勝手に「大きな風邪」をひいただけ。そうシンプルに考えればいい。

……と、理屈では理解していたってやっぱり思うのだ。
あの、本屋のお話会に行ったのがまずかったかなぁ……などと。


親になると、子どものすべてに責任を感じがちだ。でも、時には「たまたま」でしかない、ということを受け入れる必要がある。外部に明確な原因が存在したり自分に責任があった方が楽で、「たまたま」だなんて思いたくない、到底受け入れられないことも時に起きる。

親としてきっちり責任を追うべき範囲、「運」や「偶然」でしかない範囲、その境目がわからなくて惑い、必死にその境目を見極めながら、一歩ずつ親としての強さを身につけていくのだろう。


あぁ、真冬のかき氷で風邪ひく夢を見ているようじゃ、まだまだ弱いなぁ。
一緒にかき氷3杯食べて笑っている夢を見られるくらいになりたい!!


狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。

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