承認欲求は悪?満たして伸ばす子育て術

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2014年01月28日 15:20  JIJICO

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JIJICO

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最近の若者は、承認欲求が強すぎる?


「最近の若者は、承認欲求が強すぎるのでは?」との意見があり、否定的な風潮も見られますが、「承認欲求」は人間なら誰もが本来持っている欲求の一つです。具体的には、「仲間から大切に扱われたい」「認めてもらいたい」、また「仲間を認めたい」「仲間の才能を伸ばしたい」という欲求のことをいいます。アメリカの心理学者アブラハム・マズローによると、人はこの「承認欲求」が満たされないと、未来の夢や目標、自己実現に向かってチャレンジしようという欲求が生まれてこないそうです。つまり、若者を育成するためには、大人が若者の「承認欲求」を満たすコミュニケーションスキルを身につけなければなりません。


ダメ出しや指示命令では、承認欲求を満たせない


例えば、小学生の子どもが100点満点で60点のテストを持って帰ってきた場合、どのような言葉をかけるでしょうか?「どこが間違っていたの?次はもっとがんばりなさい!」と結果だけ追求するのと、「どうやって60点取れたのか教えてくれる?次のテストまでに何をすればいいと思う?」とチャレンジしたプロセスや小さな成長の変化にも目を向けてあげるのとでは、コミュニケーションの質が変わってきます。


前者のようなダメ出しや指示命令のメッセージでは、彼らの「承認欲求」を満たすことができません。それは、テストの結果がそのまま人間的な評価になっているからです。後者のメッセージから伝わってくるのは、子どもに対する無条件の温かい愛情です。子どもの可能性を信じ、心から応援するサポーターになっています。結果よりも、がんばったプロセスを承認されると自己肯定感が高まり、自分に対する自信が生まれ、生きる勇気がわいてきます。


「たくましさ」を持った人間になるには「自己承認力」が必要


子どもを承認するにあたっては、「存在」そのものを承認してあげることが重要です。「あなたがいてくれて本当にうれしい」など、存在の承認メッセージを言われて育った子どもは、「自分は大切な存在だ」という自己肯定感が心の中に芽生えます。反対に親からの愛情を感じないまま育つと、「自分は悪い」「自分は意味のない存在だ」という自己否定感が大きくなり、「自信」や「自己肯定感」が生まれてきません。


チャレンジし、失敗しても何度でも立ち上がる「たくましさ」を持った人間に育てるには、人から大切に扱われて「自分はこの世の中で大切な存在なのだ」と自分自身を信じられる「自己承認力」が必要なのです。


子どもや若者の育成に関わる大人が自分自分を承認することも


「自己承認力」を高めるために有効なのが、毎日「自分の良いところ」「素敵なところ」を10個ずつノートに書き出していく方法です。「花の名前をたくさん知っている」「妹にやさしい」など、本人は「これくらい当たり前」と思っていても、実は「スペシャルなこと」が山ほどあります。


人と比べたり、謙遜したりする必要はありません。子どもにありのままの自分を観察させて、言葉に出させるようにしてあげましょう。そうすれば、まわりの人の「良いところ」「素敵なところ」も見えてきます。誰かとペアになって、互いに相手の「良いところ」を伝えあうことも効果的です。


一人では、なかなか自己承認はできません。だからこそ、相手の存在を心から認め、励ますコミュニケーションが大切です。自己肯定感は、承認欲求が満たされて初めて心の中に育つもの。子どものころから自分を育ててくれる人たちに愛されることによって、身に付けることができる感情です。そして何より、子どもや若者の育成に関わる大人自身が自己肯定感を高めるために、自分を承認する必要があるといえるでしょう。



(栗栖 佳子・コミュニケーションコーチ)

このニュースに関するつぶやき

  • マズロー、昔読んだなあ。まったくもって記事の通りと思う。1人で自己肯定するのは、自分で自分の足を持って空中に浮かぼうとするもの。よほどの天賦の才能がない人でないかぎり無理なことです。
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