使わないとモッタイナイ!働きながら介護する人を助ける「介護休業制度」ってなに?

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2014年05月05日 15:40  弁護士ドットコム

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アラフォー以上の年になると、「介護」は他人事ではない。高齢の親を抱える人たちにとって、いざというときに助けとなるのが「介護休業制度」だ。


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家族の介護のため、労働者が一定期間、会社を休めるこの制度。15年前からあるが、あまり知られていないようだ。国の「就業構造基本調査」によると2012年に同制度を使ったのは、介護しながら働く人のわずか3.2%だったという。



出産休暇や育児休暇に比べると、利用者が格段に低いといえるだろうが、そもそも「介護休業」とは、どんな制度なのか。そのポイントについて、労働問題にくわしい田村ゆかり弁護士に聞いた。



●要件を満たせば「介護休業」を取得できる


「介護休業は、『育児・介護休業法』で定められている制度で、次のような特徴があります。



対象となるのは『要介護状態の家族がいる労働者』です。事業主に申し出ることにより、介護休業を取ることができます(11条)。



労働者の申し出が要件を満たしていれば、事業主は取得を拒むことができません(12条)」



自分があてはまるなら「ぜひ取りたい」という人もいるだろう。どんな要件があるのだろうか。



「一番のポイントは、労働者の家族が『要介護状態』にあることです。具体的にいうと、負傷、疾病、身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上、常時介護を必要とする状態をいいます。



ここでの『家族』の範囲は、まず、配偶者(事実婚を含む)と父母、子、配偶者の父母です。さらに、同居し扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫も含みます」



●介護休業は最大で「93日間」とることができる


この介護休業は、どれぐらいの期間とれるのだろうか。また、その間の給料は、どうなるのだろうか。



「介護休業は、対象となる家族1人が『常時介護』を必要とする状態になるたび、1回とることができます。日数には上限があり、1人につき通算で延べ93日までとなっています(11条)。



休業中の賃金については、法律による決まりはありません。厚労省の調べでは、就業規則等で『無給』としているところが70%程度となっています。雇用保険から、賃金の40%が給付されます。



介護休業については、申し出や取得を理由として、解雇その他の不利益な取扱いをしてはいけないという決まりもあります(16条、16条の4)」



介護に関しては、時間外・深夜業務の制限など他にも支援する制度があるが、いずれも認知度は高くないようだ。



田村弁護士は「介護休業の取得率が低いのは、意識の問題が大きいと思います。産休・育休のように、労働者が介護休業を取得するのは普通のことなのだ、という意識が浸透することが必要でしょう」と話していた。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
田村 ゆかり(たむら・ゆかり)弁護士
沖縄県那覇市において、でいご法律事務所を運営。
平成26年度沖縄弁護士会理事。経営革新等支援機関
事務所名:でいご法律事務所
事務所URL:http://www.deigo-law.com/



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