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米国では過去1年、電子たばこに関連するやけどや呼吸器疾患、心血管障害などの健康被害件数が急増していることが明らかになりました。電子たばことは、煙の代わりに少量の蒸気を吸引するたばこに似せた吸引器であり、構造的にはほぼ同じで「充電式バッテリー(蓄電池)」と「噴霧器としての本体」「希釈液を含んだカートリッジ(風味)」から構成されています。カートリッジの液体はニコチン含有量によって数種類用意されており、ニコチンを含まないものもあります。
最近、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、一部の電子たばこに発がん性物質をはじめとする毒性物質を含んでいることを報告しており、世界保健機関(WHO)は若年者の使用においてニコチン依存症の増大と喫煙に向かうリスクへの懸念を表明しました。さらに、FDAはこの件に関し、一部の業者の品質管理の杜撰さから来るものだとの見解を示しており、こうした安全性の懸念から一部の電子たばこの出荷を制限していると発表しています。
また、発売業者によっては、その禁煙効果を大きくうたっているところも見受けられます。基本的にニコチンなしの電子たばこについては香料の含まれる気体を吸うのみであるため、身体的依存によるニコチン摂取量軽減などの医療的効果は期待できないものと考えられています。
日本国内においては、中国製品が輸入代理店などを経由して発売されていますが、ニコチン入りの電子たばこを国内で発売することは薬事法に抵触するため、日本国内の業者が発売している全ての製品はニコチンなしのものです。
以上の様にさまざまな問題を持っている電子たばこですが、最大の問題点は製品によってニコチン以外の毒性物質が含まれている可能性を否定できないという点にあります。日本においては数年前にニコチンを含まない禁煙補助薬が保険の適応となっており、この薬剤の服用によって以前に比して禁煙効果は格段に上がったと感じています。実際、当クリニックにおいても本薬剤を100数十名の患者に投与し、約半数あまりの禁煙に成功しています。
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喫煙の害に関して、本人は言うに及ばず、周りのさまざまな人々に悪影響を及ぼし、地方自治体等でも対策に乗り出しているところが散見されます。確実な禁煙効果が乏しく、さまざまな健康被害が急増している電子たばこの安易な使用には注意が必要です。確実に禁煙を目指すなら、禁煙外来を実施している施設での治療が賢明です。
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