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「うちはホワイト企業」。会社の側はそう思っていても、学生からは「ブラック企業」だと思われているかもしれない。そんな認識の違いが浮き彫りになるアンケート調査結果が発表された。
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調査は、就職支援会社が今年2月、就職活動中の大学生1650人と主要企業約1000社の採用担当者を対象にネット上でおこなった。この調査では、「『1カ月の残業時間』が何時間を超えたらブラック企業になると思うか?」という質問に対し、学生は「40〜60時間未満」(23.8%)という回答が最も多かった。一方で、企業側の回答は「100〜120時間未満」(34.4%)が1位だった。
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「適正な労働時間」をめぐるこうした認識のギャップを、どうとらえるべきだろうか。労働問題にくわしい土井浩之弁護士に聞いた。
「月40時間の残業は、週になおすと約10時間の残業です。残業をするのが平日だけだとしたら、毎日2時間ずつの残業。つまり、10時間労働、11時間拘束ということになります。
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これでは、自分の時間も少なくなるし、将来の家庭生活にも不安が起きるでしょう。『疲れが取れないだろうな』『健康にも問題が出そうだな』と学生が考え、『ブラック企業』というイメージをもつことは健全な感覚だと思います」
このように土井弁護士は、学生側の認識に理解を示す。
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企業側の認識については、どうだろうか?
「企業側が『100時間超』と回答することにも、一定の根拠があるでしょう。
この数字は過労死の労災認定基準と重なります。厚生労働省は、過労死の労災認定基準を明確に考えていて、残業時間が月100時間になる、あるいは月80時間の残業時間が続くということがあれば、心筋梗塞やくも膜下出血になる可能性があると判断しています。さらに、他の事情と相まって、精神的にも破綻して自死の可能性まであるとしています。
こうした長時間労働は、命の危険がある。したがって、そのような働かせ方をさせる企業はブラック企業と言われても仕方がない。回答した企業側は、こう考えたのでしょう」
どちらにも一理ある・・・となると、ブラック企業とは、いったい何なのだろうか。
土井弁護士は「ブラック企業の概念を厳密に議論しても、仕方がありません。ブラック企業でなければそれで良いという問題でもありません。労働者が健康で、家族とともに、人間として当たり前の生活を送ることが大切だということが、この国の共通認識になることこそが、大切だと思います」と話していた。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
土井 浩之(どい・ひろゆき)弁護士
過労死弁護団に所属し、過労死等労災事件に力を入れている。現在は、加えて、自死問題や、離婚に伴う子どもの権利の問題にも、裁判所の内外で取り組んでいる。東北学院大学法科大学院非常勤講師(労働法特論ほか)。
事務所名:土井法律事務所
事務所URL:http://heartland.geocities.jp/doi709/
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