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スマートフォン(スマホ)が普及する今、歩きながらスマホを利用する「歩きスマホ」をしている人の姿が珍しくなくなりました。そんな中、特に通勤通学の時間帯には、駅の構内で「歩きスマホ」の危険性を訴え、これをやめるよう求める駅員のアナウンスを頻繁に耳にするようにもなりました。
「歩きスマホ」をしている最中に、過ってホームに転落して自ら怪我をするのみならず、逆に、前の人が止まったことに気付かずにそのままぶつかってしまい、その人を駅のホームから転落させてしまったり、下り階段の場合には、多くの人を転落に巻き込んでしまったりして、「歩きスマホ」をしていた人が重大事故の加害者にもなってしまう危険性があることは疑う余地がありません。実際、多くの人が、ホームや階段、エスカレーターなどで「歩きスマホ」をしている人を見るにつけ、疑問や危険を感じているのではないでしょうか。
現在、「歩きスマホ」が原因で他人に怪我をさせたり、最悪、死亡させてしまった場合に、「歩きスマホ」をしていた人物(加害者)に適用され得る罪としては、まず、刑法209条1項の過失傷害罪(30万円以下の罰金または科料)、同法210条の過失致死罪(50万円以下の罰金)が考えられますが、これらよりも重く処罰をするとなると、刑法211条1項後段の重過失致死傷罪(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)を適用することが考えられます。
「歩きスマホ」そのものが危険であることは十分認識できるものである以上、あえてそのような行為に及び、周囲への注意を怠って他人を死傷させる事故を発生させた場合には、単純な過失ではなく、重過失があるものとして、それだけ罪が重くなっても仕方がないのではないでしょうか。
「歩きスマホ」をしている最中の視野は、通常の場合の20分の1になり、歩く速度も7割程度に落ちるといわれています。「歩きスマホ」が危険性を孕(はら)んでいる以上、これを規制すべきだとの意見が出るのは当然でしょう。 ヤフーがインターネット上で行った意識調査では、75%の人が「規制が必要」と回答しているようです。
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ただ、スマートフォンを利用すること自体は何ら規制されるべき筋合いのものではありませんので、「歩きスマホ」そのものを直ちに規制してしまうことには、やはり国民の理解が求められます。
規制する場合には、全面一律的に規制するのか、時間や場所を制限して規制するのかなど、もう少し国民的議論が必要であることはいうまでもありません。
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