"200万本出荷"も評価は大荒れ!? 「モンハン」シリーズ最新作『MH4G』評から、その原因を探る

635

2014年10月23日 00:10  おたぽる

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

おたぽる

『モンスターハンター4G』公式サイトより。

 人気ハンティングアクションゲームの最新作として10月11日に発売された『モンスターハンター4G』(以下 MH4G)。新作が出るたびミリオン単位のヒットを飛ばしてきた「モンハン」シリーズだけに注目度は高く、カプコンは10月15日、早くも国内で200万本出荷(ダウンロードカードおよびNintendo eShopでのダウンロード版販売実績を含む)の達成を明らかにした。また同日、「ファミ通.com」はダウンロード版を含まない『MH4G』の国内推定販売本数(初週)を161.8万本と報道。販売でも200万本到達ペースと好調なスタートを見せたようだ。



 しかし今回の『MH4G』では、ユーザーからの評価にちょっとした異変が生じている。 大手ネット通販サイト「Amazon.com」でのユーザーレビューを見てみると、10月19日時点で『MH4G』の平均評価は☆2.3(満点は☆5)。セールス数が多かった過去作『MH2G』の☆3.9、『MHP3』の☆3.9、『MH4』の☆3.6などと比較すれば際立って低い。「Amazonで購入」タグが付いた100件あまりのレビューだけを手作業で集計しても平均評価は☆2.8にとどまった。☆1の最低評価を付けている購入者が全体の30%を超え、「即売却しました」「これはひどい」「シリーズ最低の出来」など辛辣な言葉が並んでいるのは気にかかる。



 そこで今回は発売から一週間を迎えた『MH4G』に対する現状の評価をまとめてみた。シリーズ累計プレイ時間がたかだか3000時間台に過ぎない凡ハンターな筆者の主観も多少含まれていることはあらかじめご了承いただきたい。



■武器バランスの是正や待望の"キック機能"実装などプラス評価も



 まず、肯定的な意見をまとめてみよう。近年の「モンハン」シリーズでは"理不尽な冷遇を受ける武器種"がしばしば見られたが、『MH4G』の武器バランス調整は今のところ好評だ。強かった武器を下方修正するのではなく、弱い武器を強くするという、理想的な調整が施されたといえる。



 また、前作『MH4』を象徴するネガティブ要素だった"ゆうた"問題――ネットワークプレイで地雷行為を繰り返す悪質ユーザー――に対し、ついに彼らをパーティーから追放する「キック機能」が追加された点は大きい。同様に問題視されていた改造武器も、データ引き継ぎの際にある程度ははじくようになっているという。オンラインまわりの調整は、ひとまず一定の評価を得ている。



 だがこうした改善点については、もともとユーザーフレンドリーでなかったのをようやく是正しただけという否定的な意見も根強い。長らく切望されている「装飾品の一括取り外し」機能、そして前作ユーザーから要望が多かった「オンラインプレイ時に募集コメントを付ける」機能などが今回も実装を見送られ、いまだ不満を持つユーザーも少なくないようだ。



 あわせて、これからの改造ユーザーへの対策についても注目が集まっている。前作で蔓延した不正改造に対し、カプコンによる修正パッチのリリースはたった一回にとどまった。発売わずか数日の『MH4G』すら改造・解析されたという話もネット上に出てきているため、筆者としては今度こそカプコンには断固たる改造対策をお願いしたい。



■"フルプライス商法"などへ一部ユーザーから批判噴出



 システム面での改善点が評価された一方、購入者から批判されているのは主に「異常に強くなりすぎたモンスター」「前作から多少の追加要素を加えたマイナーチェンジなのにフルプライスでの販売」の2点。



 後者については、データ引き継ぎができる前作購入者へのフォローとして1500〜2000円程度のアペンド版を出せば済んだのではないか、という意見が目立った。過去作において"無印"→"G"【注:「モンハン」シリーズにおいて、"G"はアップグレード版を意味する】への進化はボリューム・システム面においてめざましい進化があったが、今回『MH4G』では追加マップや完全新規モンスターの数が控えめで、特に『MH4』からデータを引き継いだユーザーにとっては物足りなさが強かったようだ。



 そして前者、ここ数年のモンハンシリーズに共通しているのが「モンスターの過剰な強化」という批判だ。ソロ(単独)プレイをあきらめざるを得ない、最大4人のパーティーを前提とした"遊び方の幅を極端に狭めるバランス調整"に対する酷評は、今作でさらに増加した模様である。



 カプコンが目指すモンハンの方向性は、今や「ソロでも楽しめるストイックな狩りゲー」ではなく「仲間とワイワイ楽しむコミュニケーションツール」にシフトしてきたと考えられる。これは無料ネットワークプレイ対応となった前作『MH4』からの宣伝戦略を見ても明らかだ。



 コンシューマゲーム市場が縮小傾向にある現在、たしかにこの方針は正しいだろう。「仲間とつながっているから、自分だけが辞めるわけにいかない」という心理状態にユーザーを置くのは、隆盛を誇るソーシャルゲームの基本的な考え方である。利潤を求める企業であれば当然とるべき選択肢だ。しかし筆者のように比較的古いモンハンから入ってドハマりした層には、ソロプレイの選択肢を狭めるような方向性がいささか寂しくも感じられる。シリーズが不動の地位を築く起爆剤となった『MH2G』は、"ソロプレイも楽しい。仲間とやればもっと楽しい"作品だった。



 10周年を迎えて大きく舵を切ったモンハンシリーズ。この変化を"新たな進化"と見るか"シリーズ衰退の予兆"と見るかは、実際に購入してプレイするユーザー次第だと言える。低評価を付けている人も「前作を持っていない人なら買う価値あり」とゲーム内容自体には肯定的な意見を述べていたり、ユーザーからの評価は揺れ動いている。願わくば、古参ユーザーも新規ユーザーも納得できる理想のモンハン開発を、これからのカプコンには目指してもらいたいものだ。
(文/浜田六郎)



このニュースに関するつぶやき

  • 記憶では2ndGの頃って、集会所で同じクエストに参加する人数によってモンスターの体力上限が変動しませんでしたっけ?だからソロでも問題なかったんだけど、最近は…。
    • イイネ!18
    • コメント 2件

つぶやき一覧へ(318件)

ランキングゲーム・アニメ

前日のランキングへ

オススメゲーム

ニュース設定