日本人はうつ病の同僚に声をかけづらい?職場でのうつに関する国際調査

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2015年03月12日 17:10  QLife(キューライフ)

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うつ病の患者さんは世界で約3億5000万人

 現在、世界で約3億5000万人がうつ病を抱えているといわれています。その経済損失はヨーロッパだけでも920億ユーロとも推定されており、うつ病の治療は、世界的にも大きな関心事といっても過言ではありません。

 こうした現状を受け、ルンドベック・ジャパン株式会社が、日本を含む世界16か国のビジネスパーソン1万6,000人を対象に「職場でのうつ病に関する国際意識」調査を実施。2月26日、都内で行われたセミナーで調査結果が報告されました。

 その結果、日本でうつ病と診断されたことがある人は10%と他国に比べて低い一方で、うつ病経験者の約7割がうつ病が原因で仕事を休んだことがあると回答。平均休職期間は79日と、他国に比べても長いことがわかりました。また、日本では同僚がうつ病とわかっても「何もしていない」人は16か国中トップの40%。逆に、積極的にサポートを申し出た人は16%と、16か国中最下位という結果でした。

職場でのうつ病への対応が遅れている日本

 今回、他国の調査結果と比べて特に大きく差が出たのが、うつ病の同僚への対応です。職場で同僚がうつ病だと知っている、あるいはうつ病だと思うと回答した人に、その時にどうしたか尋ねたところ、日本では、「本人と話をし、自分に何か役に立てることはないかと尋ねた」人は16%でした。

 登壇した上島国利先生(国際医療福祉大学 医療福祉学部教授)は、「EUやアメリカの調査結果では、半数近くの同僚あるいは上司が声をかけています。また、日本では『何もしていない』人が40%と最も多かったのですが、EUでは13%、アメリカでは20%でした」と、日本はうつ病への対応が遅れていることを指摘。さらに、自社のうつ病の社員へのサポートに満足している管理職が21%と、こちらも他国と比べて最も低い値だったことをあげ、職場でのサポート体制の整備が必要だと強調しました。

「集中力低下」「物事を決められない」「忘れっぽい」も、うつの症状

 今回の調査では、うつ病の経験者に対してどんな症状を経験したかについても尋ねています。すると、気分の落ち込みや不眠以外にも、「集中力低下」「物事を決められない」「忘れっぽい」といった、仕事の効率に直接影響を与えうる症状を3人に2人が経験していることがわかりました。実際にうつ病の経験者は、職場で「以前よりも単純作業に時間がかかる」「ミスが多くなる」「物事を決められない」などを感じており、うつ病によって仕事の業績が大きく低下したことを実感しています。

 「こうした認知機能が低下するような症状は、職場での個人の業績や生産性に直接影響を与えるため、就業継続や休職後の復帰支援をする際、理解しておくべき症状です。うつ病の症状は個人差があるため、さまざまな症状をよりよく理解することが、職場でのうつ病を考える上で重要です」(上島先生)

 日本での、2008年のうつ病性障害の社会的コストは推計3兆901億円。うつ病を含む気分障害の患者数は増加傾向にあり、社会的にも大きな問題となっています。2015年からは、従業員50人以上の企業に対してストレスチェック制度が義務化されますが、今後、うつ病の予防から発症後の職場復帰の対応までを含む、包括的なメンタルヘルス対策を充実が求められます。(QLife編集部)

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このニュースに関するつぶやき

  • これが日本の現実ですね。職場のフォローを強化してもらいたいし、何より「うつ病」への偏見をなくしてほしいです。
    • イイネ!64
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